ステータスを好きにイジって遊んでたら、嫁たちが国造りを始めました

内海

文字の大きさ
上 下
250 / 373
第6章 ダンジョンから始まる世界交流

第249話 黒い影

しおりを挟む
 奴隷を駆使し、41階の全体を回り終わった時、生き残っている奴隷は12人だった。
 死んだ奴隷の数は100を超えているが、それでも隙間なく調べる事が出来た様だ。

「色々と見つかりましたね。一度戻って換金しますか?」

「そっだな。リュックも一杯だし、このフロアは終わりだしな」

「残った奴隷はここに残していこう。移動が面倒なのは困る」

「ほっとけば勝手に死ぬよ。ここは冒険者が少ないから構わないが、他のフロアじゃ目立っちまうからねぇ」

 一応自分達がいけない事をしている自覚はある様だ。
 あっても直す気は無さそうだが。
 40階からテレポーターステーションに入り、1階へと戻ってくる。
 簡易冒険者ギルドへ向かうと調査結果を受付に報告をした。

「わあ! ありがとうございます! このフロアは罠ばかりで、確認作業も進まなかったんです! でもこれで地図の確認作業が進みます」

 41階は罠フロアなため、ヤクシ達が地図を提供した後も確認の作業が遅々として進まなかった。
 それが一気に全部の確認が終わったので、受付嬢は喜んでいる。

「なになに、俺達にかかりゃ~簡単なもんよ」

「アイテムの換金……買取もお願いしたいのですが」

 ヘルメット男が悦に入っていると、ドレス女は沢山の荷物が詰め込まれたリュックを複数個、受付嬢に渡した。
 ニコニコ顔で受け取ると、担当に渡して受付業務を続ける。
 ヤクシ達が出した地図との違いや、新しい発見が無いかの確認だが、ヤクシ達の地図が正確だった事の確認にしかならなかった。

「こんな正確な地図をいきなり完成させる者とは、一体何者なのだ?」

 黒ローブが興味深そうに尋ねるが、受付嬢は笑顔を崩さず口を開く。

「申し訳ありません、そういった情報は言えない事になっていますので」

「そうか、それは残念だ」

 そういって懐から飴の様なものを取り出し、ポイっと口に入れる。
 他の3人も同じく自分の口に放り込んでいく。

「おっと、お嬢さんもどうだね、甘くておいしいぞ」

 小さな包みに入った飴の様なものを受付嬢に渡す。

「ありがとうございます、いただきます」



「それで、地図を描いたのは誰なのだ?」

「ヤクシ……ガッコウ……シャンディラという……3人の新人冒険者です」

「あの3人か。ウワサじゃ全員女だって聞いたぜ?」

「はい……まだ若い……キレイな人たち……でした」

「ふむ、今はどこにいるのだ?」

「地図の確認……が……取れるまで……さらに上……の攻略を」

「いつごろ戻ってくるか分かりますか?」

「2~3日……で、戻ると……言っていました」

「それはいつなんだい?」

「2日前……に入った……ので、明日か明後日……だと」

 更にはヤクシ達の特徴を聞き出し、しばらくは塔に登らないで待つ事にした様だ。
 受付嬢に何か飲み薬を渡し、その後はアイテムの買い取りを待っていた。

「あ、あら? 私ったら一体何を……? は! すみません! 私ぼーっとしてたみたいで!」

「いえいえ、構いませんよ。受付業務は大変ですからね」

「本当にすみません、あ、アイテムの鑑定が終わったようです。あ! Bランクの武器があったようですよ!」

 見つかったのは狙った相手に誘導するように飛んで行く投げナイフ『糸引きナイフ』だった。
 かなり良い物なのだが、投げナイフは使わないという理由で売る様だ。
 地図情報、その他のアイテムを売った価格は12ゴールド23シルバー(122万3千円)だった。
 地図の確認だけなのと、アイテムは糸引きナイフ以外は普通だったようだ。
 それでも1日でこの金額だ。

 翌日、ヤクシ達は塔から戻って来て、120階までの情報を提供する。
 更にはまたAランクアイテムを見つけたようで、ギルド内はお祭り騒ぎだ。

「凄いです皆さん! 地図は正確ですし、罠や魔物情報も文句ありません。ああんもう! はやくSランクになって欲しいです!」

 Aランク冒険者では100階には到達できない。
 Sランクですら未開の地域を開拓する事には及び腰だ。
 それを進んで、更には実力にも問題は無く、性格も特に問題は無く、しかも美しい。
 ある意味憧れの冒険者を体現している。

「どうでしょうか。お役に立てるのは嬉しいですが、ランクにはこだわりませんので」

「そっだよな~、ワタシらはランクなんて必要ないかんな」

「こ、怖い所には……い、行きたくないです」

 ある意味もっとも恐ろしい場所を探索しているのだが、どうやらその自覚は無いようだ。
 ついでにいうと3人は、Sランクの枠からはとうの昔に飛び出している。
 今回見つけたAランクアイテムは『はっぱの剣』で、斬る事よりも刺す事に重点を置いたものだ。
 
 前回もそうだったが、ヤクシ達が見つけた高ランクアイテムは、オークションで売りに出される。
 本人達には特に必要がないし、修斗からの命令は100階までの攻略であり、アイテムなど見つけたものは自由にしていいのだ。
 余程自分にあったものなら使うだろうが、前回見つけたSランク武器の剣は使わないし、今回の剣も使わない。

 ちなみに前回の『澄み渡るやいば』は、どこぞの国の貴族が1億5千5百G十五億五千万円で落札したらしい。
 思ったよりも安かった。

 まだ100階までの確認が終わっていないようなので、3人はしばらく町で過ごす事にした様だ。

「お嬢さんがた、少し話を聞いてもいいかね?」

 黒いローブの男が声をかけた。
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】 その攻撃、収納する――――ッ!  【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。  理由は、マジックバッグを手に入れたから。  マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。  これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

異世界で美少女『攻略』スキルでハーレム目指します。嫁のために命懸けてたらいつの間にか最強に!?雷撃魔法と聖剣で俺TUEEEもできて最高です。

真心糸
ファンタジー
☆カクヨムにて、200万PV、ブクマ6500達成!☆ 【あらすじ】 どこにでもいるサラリーマンの主人公は、突如光り出した自宅のPCから異世界に転生することになる。 神様は言った。 「あなたはこれから別の世界に転生します。キャラクター設定を行ってください」 現世になんの未練もない主人公は、その状況をすんなり受け入れ、神様らしき人物の指示に従うことにした。 神様曰く、好きな外見を設定して、有効なポイントの範囲内でチートスキルを授けてくれるとのことだ。 それはいい。じゃあ、理想のイケメンになって、美少女ハーレムが作れるようなスキルを取得しよう。 あと、できれば俺TUEEEもしたいなぁ。 そう考えた主人公は、欲望のままにキャラ設定を行った。 そして彼は、剣と魔法がある異世界に「ライ・ミカヅチ」として転生することになる。 ライが取得したチートスキルのうち、最も興味深いのは『攻略』というスキルだ。 この攻略スキルは、好みの美少女を全世界から検索できるのはもちろんのこと、その子の好感度が上がるようなイベントを予見してアドバイスまでしてくれるという優れモノらしい。 さっそく攻略スキルを使ってみると、前世では見たことないような美少女に出会うことができ、このタイミングでこんなセリフを囁くと好感度が上がるよ、なんてアドバイスまでしてくれた。 そして、その通りに行動すると、めちゃくちゃモテたのだ。 チートスキルの効果を実感したライは、冒険者となって俺TUEEEを楽しみながら、理想のハーレムを作ることを人生の目標に決める。 しかし、出会う美少女たちは皆、なにかしらの逆境に苦しんでいて、ライはそんな彼女たちに全力で救いの手を差し伸べる。 もちろん、攻略スキルを使って。 もちろん、救ったあとはハーレムに入ってもらう。 下心全開なのに、正義感があって、熱い心を持つ男ライ・ミカヅチ。 これは、そんな主人公が、異世界を全力で生き抜き、たくさんの美少女を助ける物語。 【他サイトでの掲載状況】 本作は、カクヨム様、小説家になろう様でも掲載しています。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

処理中です...