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第5章 世界大戦
第208話 シンデレラと白馬の王子サマ
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苦しんで両手を付いた時、レベッカ魔法兵長の姿は消えて無くなってしまった。
その体はすぐさま修斗の元へと送られていたのだ。
そう、レベッカが瀕死の状態に陥ってしまったからだろう。
寝室で5Pをしていた修斗の頭上にレベッカが現れ、ゆっくりと下降していく。
それに気付いた修斗はすぐさま行為を中断、レベッカを両手で受け止めると、透明な長方形の箱でレベッカを覆った。
「シュウト? レベッカが転送されて来たって事は、まさか!」
「ああ、どうやら瀕死の状態のようだな。今は時間を止めているが、急いで治療をする必要がある」
巨大なベッドの上にレベッカを置くと、ピクリとも動かないレベッカのステータスを確認する。
名前:レベッカ
HP:2/145822
MP:962426/962426
力強さ:17498
知 力:32081
防御力:20415
素早さ:23331
魅 力:23001
状 態:昏睡 生命力低下 時間停止
スキル:炎系魔法LV212
水系魔法LV207
風系魔法LV200
大地系魔法LV229
空間系魔法LV182
光系魔法LV194
闇系魔法LV199
激励の咆哮LV145
短刀術LV122
状態としてはHPが減っていて昏睡状態だが、生命力低下となっている。
元のHPが10万を超えていたので、一体何をされたら外傷も無くここまで減らせるのだろうか。
まずは生命力低下を削除し、HPをMAXにまで戻す。
その状態で時間停止を解除する。
透明な枠が無くなりベッドに体が接触すると、体に沿ってベッドが沈む。
だが意識が戻らない。
頬を叩いたり声をかけたりするが、目を開けない。
「シュウト様! レベッカが目を覚ましません! 一体何があったのでしょうか!?」
「分からんが、昏睡状態から抜け出せないな」
無くなると思っていた昏睡が無くならず、それも削除する。
すると小さな唸り声が上がり、ゆっくりと目をあけた。
「あ、あれ? シュウト様……? え!? じゃあアタシは死にそうだったんですか!?」
「そうだな、今にも死にそうな状態だった。一体何があった?」
「わ、分からないんです。敵が攻めてきたと思ったら突然胸が苦しくなって、気が付いたらここに」
「何の因果も無しに結果は生まれない。よく思い出せ」
言われて順番に思い出す。
姿、会話、行動……一連の行動を思い返し、いくつかの仮説が完成する。
「だとしたら兵士が危ない! シュウト様! アタシを都市に戻してください!」
いった瞬間、レベッカ魔法兵長は都市の防壁の上にいた。
そこには先程の少女が怯えた顔で立っており、周囲には苦しんでいる兵士、転送される兵士が見える。
「お前達は手を出すんじゃないよ! 防壁から降りな!」
仲間の仇を打ちたいだろうが、命令とあっては仕方がない。
渋々防壁から降りて行くと、防壁上には2人だけが残された。
「あ、あの、無事だったんですか? な、なら降参してください。ワタシ……ワタシ! 人を殺したく無いんです!」
「気にする事は無いさ。これ以上殺させはしないからね」
都市専属防衛隊は護符を持っていないため、瀕死の重傷になっても軍医の元に転送されない。
だがいま苦しんでいる者は全て正規軍であり、危険な状態になれば転送されて治療を受けられる。
昏睡状態の謎は解けていないが、死ぬ事は無いだろう。
「でも……でもだって! みんな死んでしまうんですよ!?」
「安心おし、アタシが殺させやしないさ。お前は優しい子だね」
不用意に少女に近づくと、レベッカ魔法兵長はしゃがみ込み、少女と視線を合わせる。
「可愛い服じゃないか。ウチの城にも似たものがあるよ」
「え! 本当ですか! この服装を理解してくれる人が、他にも居るんですか!?」
「ああ、アタシの主だけどね。女の子に着させて楽しんでいるよ」
楽しんでいる、少々言葉を濁しているが、何の事は無い、コスプレでいたしているだけだ。
ちなみにメイドにも魔法少女系メイド服を着ている者が居る。
「あれ? でもあなたの主のシュウトって、悪人ですよね? この服は正義の味方の服ですよ?」
「悪人じゃないさ。あの方はとても……ああそうだね、一度会ってみるかい?」
一瞬言葉を止めて、何かに気が移ったかと思えば城に案内しようとしている。
敵の、しかも能力が不明で殺されかけた人物を、だ。
「い、良いんですか!? あ、でもワタシみたいのが行っても、それに……そ、そうですよ! 敵陣に引き込もうったってそうはいきません!」
「大丈夫さ。お前は強いんだろう? このアタシを殺しかけたんだからね。シュウト様は強くてカワイイ女の子には何もしないさ」
「カワ!?!? カワイイ……ですか?」
「可愛いねぇ。それにお前は優しい子だ、出来れば殺すことなく戦いを終わらせたくはないかい? ならトップを説得するのが一番早くは無いか?」
少し考えて、シャンディラは顔を上げる。
「分かりました。連れて行って下さい」
「分かった。シュウト様、聞こえていますか? 転送をお願いします」
(そいつの手を握れ)
頭の中に修斗の声が響き、言われた通りにシャンディラの手を握る。
景色が変わり、修斗の執務室へと転送が完了した。
「へあ!? こ、これは一体なんですか!」
「ようこそシャンディラ。俺が修斗だ」
イスに座り、机に両手を置いて手を組んでいた修斗は立ち上がり、シャンディラの元へとゆっくり歩いて行く。
いつになく優しい顔で、優しい声を出して。
「シャンディラ、シュウト陛下だよ」
「ええ!? こここ、この人が……この御方がシュウト……様ですか!?」
……? なぜ様を付けているのか。それに両手で顔覆っているし、しっかり指の間から修斗を見ている。
もちろんきちんと服は着ている。
「どうしたんだいシャンディラ。恥ずかしがらずに、ほら、顔を見せてくれ」
敵である少女の前でしゃがみ込み、そっと手をどかすと、顔を真っ赤にしてうるんだ目をしていた。
「王子……様」
「王子……?」
「白馬の……王子様!」
どこから白馬が出てきたのか知らないが、どうやらこの少女、服装だけでなく心の中も夢見がちなようだ。
修斗にどかされた手をいつの間にか握り返し、涙を流して喜んでいる。
「私を暗闇から助けに来てくれたのね! 王子様!」
どうやら重度のシンデレラコンプレックスのようだ。
相手に高い理想を求め、いつか自分を助けに来てくれる、そう思っていたのだろう。
それが目の前に現れてしまった。
流石の修斗も面食らっているが、アニメやゲームが好きだった修斗には多少の免疫があった。
なのである程度話を合わせられたのが幸いした。
「姫、私がお守りして差し上げますよ」
そう言ってお姫様抱っこで持ち上げると、シャンディラは歓声を上げて修斗の首に抱き付く。
……実はある意味一番厄介な相手だったのだが、意外な方法で対処できてしまった。
その体はすぐさま修斗の元へと送られていたのだ。
そう、レベッカが瀕死の状態に陥ってしまったからだろう。
寝室で5Pをしていた修斗の頭上にレベッカが現れ、ゆっくりと下降していく。
それに気付いた修斗はすぐさま行為を中断、レベッカを両手で受け止めると、透明な長方形の箱でレベッカを覆った。
「シュウト? レベッカが転送されて来たって事は、まさか!」
「ああ、どうやら瀕死の状態のようだな。今は時間を止めているが、急いで治療をする必要がある」
巨大なベッドの上にレベッカを置くと、ピクリとも動かないレベッカのステータスを確認する。
名前:レベッカ
HP:2/145822
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力強さ:17498
知 力:32081
防御力:20415
素早さ:23331
魅 力:23001
状 態:昏睡 生命力低下 時間停止
スキル:炎系魔法LV212
水系魔法LV207
風系魔法LV200
大地系魔法LV229
空間系魔法LV182
光系魔法LV194
闇系魔法LV199
激励の咆哮LV145
短刀術LV122
状態としてはHPが減っていて昏睡状態だが、生命力低下となっている。
元のHPが10万を超えていたので、一体何をされたら外傷も無くここまで減らせるのだろうか。
まずは生命力低下を削除し、HPをMAXにまで戻す。
その状態で時間停止を解除する。
透明な枠が無くなりベッドに体が接触すると、体に沿ってベッドが沈む。
だが意識が戻らない。
頬を叩いたり声をかけたりするが、目を開けない。
「シュウト様! レベッカが目を覚ましません! 一体何があったのでしょうか!?」
「分からんが、昏睡状態から抜け出せないな」
無くなると思っていた昏睡が無くならず、それも削除する。
すると小さな唸り声が上がり、ゆっくりと目をあけた。
「あ、あれ? シュウト様……? え!? じゃあアタシは死にそうだったんですか!?」
「そうだな、今にも死にそうな状態だった。一体何があった?」
「わ、分からないんです。敵が攻めてきたと思ったら突然胸が苦しくなって、気が付いたらここに」
「何の因果も無しに結果は生まれない。よく思い出せ」
言われて順番に思い出す。
姿、会話、行動……一連の行動を思い返し、いくつかの仮説が完成する。
「だとしたら兵士が危ない! シュウト様! アタシを都市に戻してください!」
いった瞬間、レベッカ魔法兵長は都市の防壁の上にいた。
そこには先程の少女が怯えた顔で立っており、周囲には苦しんでいる兵士、転送される兵士が見える。
「お前達は手を出すんじゃないよ! 防壁から降りな!」
仲間の仇を打ちたいだろうが、命令とあっては仕方がない。
渋々防壁から降りて行くと、防壁上には2人だけが残された。
「あ、あの、無事だったんですか? な、なら降参してください。ワタシ……ワタシ! 人を殺したく無いんです!」
「気にする事は無いさ。これ以上殺させはしないからね」
都市専属防衛隊は護符を持っていないため、瀕死の重傷になっても軍医の元に転送されない。
だがいま苦しんでいる者は全て正規軍であり、危険な状態になれば転送されて治療を受けられる。
昏睡状態の謎は解けていないが、死ぬ事は無いだろう。
「でも……でもだって! みんな死んでしまうんですよ!?」
「安心おし、アタシが殺させやしないさ。お前は優しい子だね」
不用意に少女に近づくと、レベッカ魔法兵長はしゃがみ込み、少女と視線を合わせる。
「可愛い服じゃないか。ウチの城にも似たものがあるよ」
「え! 本当ですか! この服装を理解してくれる人が、他にも居るんですか!?」
「ああ、アタシの主だけどね。女の子に着させて楽しんでいるよ」
楽しんでいる、少々言葉を濁しているが、何の事は無い、コスプレでいたしているだけだ。
ちなみにメイドにも魔法少女系メイド服を着ている者が居る。
「あれ? でもあなたの主のシュウトって、悪人ですよね? この服は正義の味方の服ですよ?」
「悪人じゃないさ。あの方はとても……ああそうだね、一度会ってみるかい?」
一瞬言葉を止めて、何かに気が移ったかと思えば城に案内しようとしている。
敵の、しかも能力が不明で殺されかけた人物を、だ。
「い、良いんですか!? あ、でもワタシみたいのが行っても、それに……そ、そうですよ! 敵陣に引き込もうったってそうはいきません!」
「大丈夫さ。お前は強いんだろう? このアタシを殺しかけたんだからね。シュウト様は強くてカワイイ女の子には何もしないさ」
「カワ!?!? カワイイ……ですか?」
「可愛いねぇ。それにお前は優しい子だ、出来れば殺すことなく戦いを終わらせたくはないかい? ならトップを説得するのが一番早くは無いか?」
少し考えて、シャンディラは顔を上げる。
「分かりました。連れて行って下さい」
「分かった。シュウト様、聞こえていますか? 転送をお願いします」
(そいつの手を握れ)
頭の中に修斗の声が響き、言われた通りにシャンディラの手を握る。
景色が変わり、修斗の執務室へと転送が完了した。
「へあ!? こ、これは一体なんですか!」
「ようこそシャンディラ。俺が修斗だ」
イスに座り、机に両手を置いて手を組んでいた修斗は立ち上がり、シャンディラの元へとゆっくり歩いて行く。
いつになく優しい顔で、優しい声を出して。
「シャンディラ、シュウト陛下だよ」
「ええ!? こここ、この人が……この御方がシュウト……様ですか!?」
……? なぜ様を付けているのか。それに両手で顔覆っているし、しっかり指の間から修斗を見ている。
もちろんきちんと服は着ている。
「どうしたんだいシャンディラ。恥ずかしがらずに、ほら、顔を見せてくれ」
敵である少女の前でしゃがみ込み、そっと手をどかすと、顔を真っ赤にしてうるんだ目をしていた。
「王子……様」
「王子……?」
「白馬の……王子様!」
どこから白馬が出てきたのか知らないが、どうやらこの少女、服装だけでなく心の中も夢見がちなようだ。
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どうやら重度のシンデレラコンプレックスのようだ。
相手に高い理想を求め、いつか自分を助けに来てくれる、そう思っていたのだろう。
それが目の前に現れてしまった。
流石の修斗も面食らっているが、アニメやゲームが好きだった修斗には多少の免疫があった。
なのである程度話を合わせられたのが幸いした。
「姫、私がお守りして差し上げますよ」
そう言ってお姫様抱っこで持ち上げると、シャンディラは歓声を上げて修斗の首に抱き付く。
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