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第5章 世界大戦
第176話 魔物の大進撃
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翌朝になり、冒険者ギルドへ向かうと『本部の見学ツアー御一行様』というのぼりが立っていた。
そこには20名以上が集まっており、中々の人気ツアーであることが分かる。
「それではみなさん、揃ったようですので冒険者ギルド本部ツアーへと向かいます。前に止まっている馬車にお乗りください」
案内らしい男に言われ、ゾロゾロと馬車に乗っていく。
ツアーに参加しているのは冒険者だけではないようで、どうやら観光名所としても使われているようだ。
会話に耳を傾けてみると
「ママー! 冒険者がいっぱいいるよ!」
「やっべ、本部とか緊張するぜ」
「きっと、きっとハイエルフの案内人に見初められて……は! 私ったら」
などなど、思いはそれぞれのようだ。
それにしてもハイエルフが居るとは初耳だ。
そういえば女性が多いように見えるが、理由は何だろうか。
しばらくすると本部に到着した様で、馬車が止まり案内人に降りるように言われる。
馬車を降りると目の前には、石造りの10階はあろう塔がそびえ立っていた。
この地域では珍しい石でできた建物だ。
それにしても大きな建物で、3階までは長方形の建物だが、4階以上は塔のように先端が細くなっている。
「うっわ~、おっきいッスね~」
「王城の次に大きいわね。貴族たちは平気なのかしら」
「へ? 貴族さんってそんな事を気にするんスか?」
「プライドの塊だもの。ザナドゥ王国では平気だけれど、他国では貴族の邸宅よりも大きな建物なんてあり得ないわ」
案内人に呼ばれ、建物に入っていく。
すると中には別の案内人が居た。
「キャー! ベルゴット様よ!」
「相変わらずお美しいわ!」
「やだ! 今目があったわ!」
などなど、女性陣が大変喜んでおられる。
案内人、ハイエルフの男だが、どうやらこいつ目当ての女性客が多いようだ。
背がすらりと高く、肩より少し長い薄い金髪は少し雑に切られている。
それにしてもハイエルフが里を出て人と暮らすのは珍しい。
ザナドゥ王国では常駐で2名いるが、ハイエルフの里を支配下に置いていても2名だ。
それが国ではなく、冒険者ギルド本部に居るのはかなり珍しい事だ。
女性陣の黄色い声を聴きながら、フランチェスカとラグズは案内されるルートを見て回る。
各支部の報告書整理、冒険者のランク別人数の管理、各支部の依頼内容の分布及び頻度などなど、各支部のあらゆる情報が入って来るらしく、各部署で管理をしているようだ。
そしてギルド本部をまとめ上げているのが、グランドマスターと呼ばれる人物だ。
グランドマスターは冒険者ギルドの頂点に立ち、その権力は絶対と言われている。
今はあいにく不在だったが、タイミングが合えば挨拶をするらしい。
「特に変わったところは無かったわね」
「そうッスね。むしろ事務仕事の無駄が多いくらいッスよね」
見学が終わり、2人で昼食を食べている。
どうやら特に収穫は無かったようで、簡単には漆賢人の情報は入らない様だ。
ツアーでは情報が手に入らなかったが、それで諦めていては修斗に顔向けできない。
手は色々とあるのだが、最初は手堅い方法で行く様だ。
「それでどうするッスか? ラグも冒険者登録した方が早いッスかね?」
「そこよね……ううん、ラグには街での情報収取をお願いしたいから、登録はしないでもらえるかしら」
「了解ッス! 取りあえず職人街で色々とやってみるッスね」
「ええ、お願い」
もっとも簡単な方法、それはフランチェスカがこの街で有名人になる事だ。
そうしたら色々な人物が接触しに来るだろうし、信頼が得られれば新しい情報が入るかもしれない。
最初から危険な手を使う必要は無いのだ。
一旦フランチェスカとラグズは別れ、それぞれの目的の場所へと向かう。
フランチェスカは冒険者ギルドへ、ラグズは職人街だ。
しかし双方が予想もしない形で、すぐに再開する事になった。
「大変だ! 街の北にあるダンジョンから、魔物があふれ出してきた!」
怪我人を肩に背負い、冒険者らしき人物が街に転がり込んできた。
その情報は衛兵によって各所に伝えられ、冒険者ギルドにもすぐに連絡が入る。
その時点で冒険者ギルドの全ての依頼は凍結され、魔物討伐へと切り替えられた。
「情報によれば、ダンジョンから出てきた魔物の数は約2万、まだまだダンジョンから出てくるようだ」
ギルドの待合広場で、ギルドマスターが2階の手すりから冒険者に向けて大声を上げる。
ギルドマスターは本部とは違い支部のマスターだ。
40過ぎの男で、たくましい肉体とたくましいヒゲを携えている。
「Cランク以上の冒険者は強制参加、それより下の者は裏方として参加して欲しいが、こちらは自由参加だ」
なにぶん魔物の数が多いため、こちらから打って出る事は出来ない。
強固な城壁に囲まれた首都なので、基本戦略は防衛戦だ。
なので接近戦闘要員の出番は最後の最後になる。
それをフランチェスカは腕を組んで聞いているが、どうやらBランク冒険者が多い様で、中々に士気が高い。
Cランクも負けじと士気が高いが、Aランクは居るのだろうか。
居たとしても1人か2人だろうし、フランチェスカと合わせても3人しかいない。
だがここでもまた予想を上回る事が起きた。
「今回は数が数だ! 本部から応援が来てくれたぞ!」
ギルドマスターが手で指した先には、先ほどの本部の案内人、ハイエルフの男が立っていた。
「Sランク冒険者の参戦だ! お前らも負けないようにキバレよ!!!」
そこには20名以上が集まっており、中々の人気ツアーであることが分かる。
「それではみなさん、揃ったようですので冒険者ギルド本部ツアーへと向かいます。前に止まっている馬車にお乗りください」
案内らしい男に言われ、ゾロゾロと馬車に乗っていく。
ツアーに参加しているのは冒険者だけではないようで、どうやら観光名所としても使われているようだ。
会話に耳を傾けてみると
「ママー! 冒険者がいっぱいいるよ!」
「やっべ、本部とか緊張するぜ」
「きっと、きっとハイエルフの案内人に見初められて……は! 私ったら」
などなど、思いはそれぞれのようだ。
それにしてもハイエルフが居るとは初耳だ。
そういえば女性が多いように見えるが、理由は何だろうか。
しばらくすると本部に到着した様で、馬車が止まり案内人に降りるように言われる。
馬車を降りると目の前には、石造りの10階はあろう塔がそびえ立っていた。
この地域では珍しい石でできた建物だ。
それにしても大きな建物で、3階までは長方形の建物だが、4階以上は塔のように先端が細くなっている。
「うっわ~、おっきいッスね~」
「王城の次に大きいわね。貴族たちは平気なのかしら」
「へ? 貴族さんってそんな事を気にするんスか?」
「プライドの塊だもの。ザナドゥ王国では平気だけれど、他国では貴族の邸宅よりも大きな建物なんてあり得ないわ」
案内人に呼ばれ、建物に入っていく。
すると中には別の案内人が居た。
「キャー! ベルゴット様よ!」
「相変わらずお美しいわ!」
「やだ! 今目があったわ!」
などなど、女性陣が大変喜んでおられる。
案内人、ハイエルフの男だが、どうやらこいつ目当ての女性客が多いようだ。
背がすらりと高く、肩より少し長い薄い金髪は少し雑に切られている。
それにしてもハイエルフが里を出て人と暮らすのは珍しい。
ザナドゥ王国では常駐で2名いるが、ハイエルフの里を支配下に置いていても2名だ。
それが国ではなく、冒険者ギルド本部に居るのはかなり珍しい事だ。
女性陣の黄色い声を聴きながら、フランチェスカとラグズは案内されるルートを見て回る。
各支部の報告書整理、冒険者のランク別人数の管理、各支部の依頼内容の分布及び頻度などなど、各支部のあらゆる情報が入って来るらしく、各部署で管理をしているようだ。
そしてギルド本部をまとめ上げているのが、グランドマスターと呼ばれる人物だ。
グランドマスターは冒険者ギルドの頂点に立ち、その権力は絶対と言われている。
今はあいにく不在だったが、タイミングが合えば挨拶をするらしい。
「特に変わったところは無かったわね」
「そうッスね。むしろ事務仕事の無駄が多いくらいッスよね」
見学が終わり、2人で昼食を食べている。
どうやら特に収穫は無かったようで、簡単には漆賢人の情報は入らない様だ。
ツアーでは情報が手に入らなかったが、それで諦めていては修斗に顔向けできない。
手は色々とあるのだが、最初は手堅い方法で行く様だ。
「それでどうするッスか? ラグも冒険者登録した方が早いッスかね?」
「そこよね……ううん、ラグには街での情報収取をお願いしたいから、登録はしないでもらえるかしら」
「了解ッス! 取りあえず職人街で色々とやってみるッスね」
「ええ、お願い」
もっとも簡単な方法、それはフランチェスカがこの街で有名人になる事だ。
そうしたら色々な人物が接触しに来るだろうし、信頼が得られれば新しい情報が入るかもしれない。
最初から危険な手を使う必要は無いのだ。
一旦フランチェスカとラグズは別れ、それぞれの目的の場所へと向かう。
フランチェスカは冒険者ギルドへ、ラグズは職人街だ。
しかし双方が予想もしない形で、すぐに再開する事になった。
「大変だ! 街の北にあるダンジョンから、魔物があふれ出してきた!」
怪我人を肩に背負い、冒険者らしき人物が街に転がり込んできた。
その情報は衛兵によって各所に伝えられ、冒険者ギルドにもすぐに連絡が入る。
その時点で冒険者ギルドの全ての依頼は凍結され、魔物討伐へと切り替えられた。
「情報によれば、ダンジョンから出てきた魔物の数は約2万、まだまだダンジョンから出てくるようだ」
ギルドの待合広場で、ギルドマスターが2階の手すりから冒険者に向けて大声を上げる。
ギルドマスターは本部とは違い支部のマスターだ。
40過ぎの男で、たくましい肉体とたくましいヒゲを携えている。
「Cランク以上の冒険者は強制参加、それより下の者は裏方として参加して欲しいが、こちらは自由参加だ」
なにぶん魔物の数が多いため、こちらから打って出る事は出来ない。
強固な城壁に囲まれた首都なので、基本戦略は防衛戦だ。
なので接近戦闘要員の出番は最後の最後になる。
それをフランチェスカは腕を組んで聞いているが、どうやらBランク冒険者が多い様で、中々に士気が高い。
Cランクも負けじと士気が高いが、Aランクは居るのだろうか。
居たとしても1人か2人だろうし、フランチェスカと合わせても3人しかいない。
だがここでもまた予想を上回る事が起きた。
「今回は数が数だ! 本部から応援が来てくれたぞ!」
ギルドマスターが手で指した先には、先ほどの本部の案内人、ハイエルフの男が立っていた。
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