ステータスを好きにイジって遊んでたら、嫁たちが国造りを始めました

内海

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第4章 学園支配

第163話 冒険者は世界征服の夢を見る?

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「ミュゼウス、このダンジョンは何階層まであるんだ?」

「17階層までありました。途中で何回か大型モンスターがいましたが、苦労しましたが倒しきりましたよ」

「17か。じゃあこの第4階層を含めて後14階層だな。休みの間に終われそうか?」

 第4階層に入って少し、大型モンスターは現れていないが、中型及び群れて行動をするモンスターが沢山出て来ていた。
 その為4人はかなり疲れている。

 今は休憩のため修斗が『万物を拒否する盾』を展開し、その中で休んでいる。
 4人は座り込んで肩で息をしていたり、うな垂れて動かない。

「シュウ……ト、お前は、悪魔か。いや、悪魔、だったな」

「ち、ちなみにだけれど、私達、ギルドに報告へ、戻ったら、ランクは、上がるの、かしら?」

「既定の回数をこなせば問題なく上がりますから、皆さんも戻ったら上がってるかもしれませんね」

「いや上がらないぞ」

 喜んだのもつかの間、無表情になってしまった。

「こいつらはEランクだからな、薬草採集をしないと上がらない」

「あ……Eランク……でしたか……」

 ミュゼウスが気の毒そうな顔を向ける。
 そう、Eランクの常駐依頼・薬草採集は、なにも街で薬を作るためだけに集めるのではなく、冒険者が旅先で薬が無くなった際、自分で薬草を集めて使えるようにする意味もある。
 なので必ず10回は受けなくてはいけないのだ。

「そんなぁ! もっと上のダンジョンで苦労してるのに、ランクアップできないの!?」

「諦めろポリン。冒険に本腰を入れる訳じゃないんだろう?」

「そ、そうだけど、でもせっかくだからランクを上げたいなって」

 今のポリンとフランチェスカに薬草が必要かと言われれば、まず必要にはならない。
 魔法で回復も出来るし、各ステータスも1000~1500あり、すでに能力はAランクやSランクに匹敵する。
 ちなみにミュゼウスは勇者をとっくに追い越し、ステータスは5000近くある。

 ※注:この世界の魔王のステータス平均は8000。

「お前達は実戦に慣れろ。それなりの能力はあるはずだから、なろうと思えばすぐにBランクには上がれるさ」

 「はーい」と返事をして休憩が終わった。
 
 結局この日は第7階層まで進み、ボスクラスの大型も討伐に成功した。



 そして新年を迎え、流石に修斗達は一旦自国へと戻り、国王として挨拶などをしていた。
 ほとんどの国が挨拶に来ただけだが。

 そして新年2日目にはダンジョンに戻ってきたが、Eランク4名の強い要望により、E・Dランクの依頼を先にする事になった。
 とは言え事前に薬草の勉強はしていたらしく、メナストーン国の森の中で簡単に薬草を集め、Dランクに昇格し、更に害獣退治をこなしてCランクになった。

「Cになれば、ダンジョン攻略でも依頼達成になるのよね!?」

「そうだな、今日からはそのまま冒険者の功績となる」

 もろ手を挙げて喜んでいるが、簡単にCランクに慣れた理由には、ランクに関係ないと思われたダンジョン攻略による戦闘の慣れがあった事を、本人たちは気付いていない。

 この日は10階層まで進んだのだが、丁度この時、ザナドゥ王国で動きがあった。




「どうだいビリー、3つの国は順調かい?」

「ええ、順調そのものでございますです、ハイ」

 9人の悪夢の騎士トリプルナインが会議室に集まり、それぞれの報告をしていた。
 みんなの顔は一様に明るいので、きっといい報告が出来るのだろう。

「まずはわたくしからでございますが、最も内側にある国、この国は明日からザナドゥ王国との相互移動に通行税を徴収いたしませんです。そして防衛に関してですが、ザナドゥ王国軍が治安部隊として駐留する事となりましたです、ハイ」

 修斗がポツリとつぶやいた一言で、世界征服の第1弾が進み始めた。
 通行税の徴収が無くなっただけならば条約でも可能だが、治安を他国に任せるという事は、それは屈服を意味する。
 
「あの国はザナドゥ王国にベッタリでしたからね! それにしても上手く行ったものです!」

「それでビリーさん、あとの2国はどうですか?」

 キャロラインに促されて書類を確認する。
 
「次の国でございますが、この国は通行税の徴収は無くなりましたです、ハイ。ですが軍の移動にはまだ制限付きでございますです」

「なんだいなんだい? 順調だって割には、肝心の軍の移動に制限があるんじゃダメだろう」

「レベッカ魔法兵長、まだお話は続いていますですよ? 軍の移動には制限がございますが、かの国の軍備は75%がザナドゥ製となり、同時に軍事指導も行うでございますです、ハイ」

「それはつまり、軍はほぼ掌握した、という事ではないのか?」

 ウィリアム騎士団長に言われ、ニッコリと笑って首を縦に振る。
 さあもっと褒めろ! と言わんばかりに胸を張っているのだが、残念ながらそうはならなかった。

「それじゃあ、3つめのクニはどうデスカ?」

 さっさと次の話に移ってしまった。
 少し恨めしそうな顔でキャロル内政・人事担当を見る。

「み、3つ目の国でございますが、ココも同じく通行税は無くなりましたです、ハイ」

 またツッコミが入るか? と一呼吸開けるが、誰も口を挟まなかったため、そのまま報告を続ける。

「軍の移動に関してですが、残念ながらまだ目途が立っておりませんでございますです、ハイ」

「あれ? 僕はてっきり「掌握済みでございますです」と言うのかと思ったのだけど、まだ手つかずという事なのかい?」

 珍しくツッコミに入ったフローレンス都市開発長は、ビリーの報告に驚いている。
 もちろんフローレンスも他の国と交渉をし、順調に成果を上げているのだが、それ以上にビリーが交渉で難航するというのが信じられない様だ。

「あの国には少々面倒な御仁ごじんがおりまして……通行税撤廃は両国にとって利益になるが、軍の自由移動は別の問題だと突っぱねられてしまいましたです、ハイ」

「へぇ、あの国にそんな骨のあるやつがいるとわねぇ。面白いじゃないか、ちょいとアタイが行ってみようか?」

「いえいえ! パメラ様が行くほどの人物ではございませんですよ! 少々手こずっているだけで、わたくしめにお任せくださいませです! ハイ!」

 かなり焦って断っているが、パメラは国王に次ぐ存在なので、そんな人物が簡単に出向くことがあってはならない。
 
「ならば一番下っ端の私が行こう。私ならば第1、第2王妃たちとは違って身軽だし、9人の悪夢の騎士トリプルナインと言っても新参者だからな」

 ハイエルフのカーリン・ピースが手を上げるが、どうやらカーリンはまだ理解できていないらしい。
 他の8人が片眉かたまゆをピクリと器用に上げ、少しため息を漏らす。

「カーリン、9人の悪夢の騎士トリプルナインという時点で大きな差は無いのよ? 特にあなたはハイエルフという事もあって、私達よりも恐れられているの」

 寝耳に水と言わんばかりに両眼を大きく開くカーリン。
 キャロラインの指摘は当たり前で、9人の悪夢の騎士トリプルナインのハイエルフと言えば『千手せんじゅ射手アーチャー』として、最も殲滅に相応しい技を使うため恐れられているのだ。

 そのカーリンが行ったとなると、相手国は恐怖しか感じないだろう。

「コホン、えーこちらん関しましては、アイカ嬢かルルナラ嬢にお願いしようと考えておりますです、ハイ」

 異世界から連れ帰った女子高生アイカと、へっぽこダークエルフのルルナラだが、知名度は十分にありながらも物腰が柔らかく、相手が身構える事もない。
 どうやら他の者も納得した様で、どちらかが向かう事となった。
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