ステータスを好きにイジって遊んでたら、嫁たちが国造りを始めました

内海

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第3章 異世界召喚

第109話 後に残ったのは瓦礫ばかり

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 夜明けの直前になり、イルメリータント国の国王が現れた。
 なんと寝巻のまま、カーディガンを羽織っての登場だ。

「久しぶりじゃのうお主。相変わらず追い込まれねば行動が出来ぬ様じゃな」

「あ、あなたはエルノヴァ様!? ほ、本当に勇者に屈したのですか!?」

「うむ、心身ともに捧げたぞ」

 どうやらイルメリータント国王は、大魔王エルノヴァを知っているようだ。
 生贄を差し出した後、交渉のために大魔王城を訪れるらしく、何度も顔を合わせている。
 それだけに、勇者に屈したというのが信じられなかったのだろう。

 大魔王の力を知っているからこその誤算だろう。
 どうやらここに来るまでは半信半疑だったようだが、完全に観念したようだ。

「勇者殿、本当に済まなかった。世界を護るためとはいえ、生贄として召喚した事、許して欲しい」

 ソファーでふんぞり返っていた修斗だが、キッチリ土下座までさせ、ついでにカイリに対しても謝らせたようだ。
 そして……山間から太陽が顔を出した。

「時間だな。エル、手筈通り北の町から順番に破壊していけ。国の城は最後だ」

「分かった。それでは行ってくるぞお前様」

「ま、待ってくれ! 他の国は、他の国は悪く無いのだ! 私が、私が――」

 必死に止めようとするイルメリータント国王だが、その言葉を聞かずに修斗とエルノヴァは姿を消した。



 謝罪に来なかった国の最も北にある町の上空に、元の大きさになり衣装も貴族風の物に戻ったエルノヴァが現れた。

『聞け。約束の時間になったが、遂に7つの国が謝罪に来なかった。最後に来たイルメリータント国はギリギリ間に合ったので許そう。これより7つの国の各都市の破壊を開始する。町から出る事は出来ない。謝罪に来なかった国王を恨みつつ……死ね』

 修斗の放送を聞きながら、7つの国は大混乱に陥っている。
 特に王城での騒ぎが大きい。

「どういう事だ! イルメリータントは勇者を掌握しょうあくしているから、謝罪に行く必要は無いのではないのか!!!」

「へ、陛下! あれをご覧ください!」

 王の自室に配下が転がり込み、その指差した方向には、巨大な火柱が上がっていた。
 そう、何十キロも離れているにもかかわらず、巨大な火柱が目に入ったのだ。

「あ、あれはパーキンの町の方向か……本当に、本当に町の全てを破壊したのか!!!」

 そして別の場所から巨大な氷の柱が誕生する。
 また別の場所では、どれだけ続くのかと思うほど連続して落雷が発生。
 その災害は、徐々に王都に近づいてきている。

 王都に最も近い街で大爆発が起こり、時間をおいて衝撃波が王都を襲う。
 城下町は大混乱になり、誰もが街から逃げ出そうとする……のだが、門は開いているのに透明な何かに邪魔をされて出る事が出来ない。

「どうなってる! 出せ! 出してくれーー!!!」
「嫌だー! 死にたくないー!」
「オギャー! オギャー! オギャー!」

 大混乱の中、修斗は国王の前に現れた。
 逃げようとしていた国王は腰を抜かし、寝巻のまま沢山の兵士の足にすがり付き、必死に立ち上がろうとする。

「よう、お前が王様か?」

「な、何者だ!」

「勇者様さ。お前が逃げてどうするんだ? ほらほら、国民の前に姿を出して頭でも下げたらどうだ? 許してくれるかもしれないぞ?」

「へ、陛下! このような者の言葉を聞く必要はありません! 今すぐ成敗してまいりま――」

 剣を抜いた兵士の頭が吹き飛ぶ。
 
「おいおい、お前勘違いをしていないか? 俺は被害者だぞ? 謝られる側だ。それを成敗って……俺は悲しいよ」

 国王の護衛を全て破裂させ、立ち上がれない国王の手を取って空へと連れて行く。

「は、離せ! 何をする気だ! 離せー!」

 国王を連れて来た場所は、門の前だ。
 沢山の市民が逃げ出そうとし、逃げ出せずにパニックになっている真っただ中。
 
「おーい、国王陛下をお連れしたぞ~。勇者様に楯突いて、お前達を見捨てた張本人だぞ~。ほら」

 手を離し、国王を市民の中に放り出す。
 地面に落下した国王はあっという間に囲まれ、殴られ、蹴られ、石を投げられ……その姿は人の波にのまれて見えなくなった。

 修斗は上空まで上がると、そこにはエルノヴァが居た。
 首を縦に振ると、王都の大地は静かに揺れ始め、徐々に揺れが激しくなり、そして、巨大な亀裂があちこちに発生、人々は亀裂に飲み込まれ、建物は崩壊し、それでも亀裂はさらに大きくなっていく。

 最終的には王都すべてが陥没し、国で最も栄えた街・王都があった場所には、ひたすらに大きな穴が開くだけとなった。

「後は任せる。1人残さず殺せ」

「了解じゃ」

 エルノヴァが町を順番に破壊する様子は、遠く離れた場所からも確認できたという。
 



「さて、あと俺がやる事と言えば、世界の王を名乗る事くらいか?」

「シュウト様、私の力不足の為にお手を煩わせてしまい、本当に申し訳ありません」

 カイリ第2王女が頭を下げている。
 一応はカイリの責任になるのかもしれないが、各国王への連絡はしっかりしており、更には拷問までされる罰まで受けている。
 謝る必要は無いのだが、あえて謝る事で修斗を非難しているのだ。

「気にするな。王として、配下の後始末は当然の事だからな」

 非難と知ってなお受け流し、いつの間にかカイリを配下としていた。
 世界の王を名乗ろうとしているのだから、全ての者が配下となるので間違いはないが。

「ふわぁ……あ~、そういえば夜遅くに誰かさんが来たもんだから、寝不足だな。俺は少し寝る。アイカ、ヴァージニア、ラグ、カイリ、来い」

 4人の女性をはべらせて、修斗は眠りについた。
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