ステータスを好きにイジって遊んでたら、嫁たちが国造りを始めました

内海

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第3章 異世界召喚

第104話 裏切り者の協力者・シュウト

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 大魔王が修斗に下った事で、大魔王軍は崩壊するかと思われたが、どうやら複数の幹部が残っていたらしく、幹部の1人を新たな大魔王として再編成したようだ。
 前大魔王よりも能力が劣るとはいえ、魔族と人間らしき者ヒューマノイドでは能力が違いすぎるため、それでも問題は無いようだ。

 しかし全軍の数が修斗達により倒され激減したため、再起には長い年月が必要となるだろう。
 それに修斗達勇者がいる間は、新大魔王軍の行動はかなり静かになる。

 魔族領をでて一旦ポルタ国に戻った修斗達は、男勇者の女を回収し、元大魔王エルノヴァの服装を揃えた。
 肌の色を隠すためにダボダボのズボンと上着をはおり、フードを深くかぶっている。
 男勇者の女達は魔族を見たことが無いため、エルノヴァの正体には気付いていない様だ。

「お、お前様? どうして我はこのような姿をせねばならぬのじゃ?」

「俺の手元に大魔王がいる事は、しばらく隠しておくつもりだ。お前も名乗る時はエルとだけ言っておけ」

「分かった」

 さて、1泊2日で大魔王を倒して帰ってきた修斗達だが、召喚された国イルメリータントを出た理由は大魔王退治ではない。
 色々な国を見て回り、この世界の事を知ることが目的だ。

 なので30日の間に色々な国を見て回ったのだが……人間らしき者ヒューマノイドは元動物だっただけあり、人間とは違う文化や技術が進んでいる国が多数あった。
 精霊召喚・従魔召喚・身体変化・精霊魔法・死体操作。

 他にも沢山知らない知識があったが、覚えられるモノはすべて覚え、気が付くと30日が近づいていた。

「そろそろ戻るか」

 今いる国はポルタ国からは離れているため、戻れば丁度30日目となるだろう。
 修斗はニヤけていた。
 あの王女・カイリは上手くやれたのだろうか。
 各国の王は話を聞いて、どういう考えを持ったのか。

 30日目の朝にポルタ国に到着した時、町は大騒ぎだった。
 まるでお祭り騒ぎで、人々は口々にこう叫んでいる。

「大魔王が倒された!」
「大魔王軍が内部分裂したぞ!」
「これで世界は平和になる!」

 大魔王が倒されたという話が出回り、これで魔族の脅威が去ったと思っているようだ。
 しかしどこから情報が流れたのだろうか。
 確かにここひと月は魔族の攻撃が無かったらしく、大魔王軍に何かがあったと考えるのは妥当だ。

 半ば死にかけていた町に、活気が戻るのはいい事だ。

「あ! お兄さんじゃないッスか! ラグを迎えに来てくれたッスか?」

「ああそうだ。だがもうひと仕事残っていてな、すまないがこいつ等と待っていてくれ」

 そういうと大魔王エルノヴァだけを連れ、カイリ第2王女がいる館へと向かう。
 もしも各国の国王が集まっているのなら、警備は徐々に厳重になっていくはずだが……残念ながらどこまでいってもお祭り騒ぎが続いていた。

「我が倒された事は事実じゃが、どうして内部分裂と言う事になっておるのじゃ?」

「それは人間らしき者ヒューマノイドはもちろん、勇者でも大魔王を倒せないと思っているからだろう。残る可能性は内部分裂しかない。確かに俺も魔族を殺し過ぎたからな、勘違いされても仕方がない」

 勇者6人で大魔王軍10万を倒すなど、想像できるはずが無いだろう。
 そしてその勘違いこそが、この世界を破滅に導く事となってしまう。

 カイリ第2王女の屋敷に到着したが、門には数名の衛兵がいるだけで、少なくとも修斗の帰りを待っているような雰囲気は無い。
 そして無造作に屋敷に入ろうとする修斗を、衛兵は面倒くさそうに止めた。

「おいお前、勝手に入るなよ。この屋敷はいま使われていないんだ」

 使われていない……30日後に戻ってくると伝えていたはずだが、一体どういう事だろうか。

「ここにカイリという王女がいたはずだ、俺はカイリと約束があって戻ってきたんだが?」

「カイリ? あの裏切り者と? ああ! お前はまさかカイリをたぶらかした勇者か!」

 随分と面白い事になっているようだ。
 カイリが裏切り者? 勇者がカイリをたぶらかした? どう曲がり曲がって伝われば、そういう話が出来てしまうのだろうか。
 そして今までだらけていた衛兵たちが、修斗とエルノヴァを囲み武器を構える。

「裏切り者カイリの協力者! お前の首には賞金がかけられている! 大人しく付いて来てもらおうか!」

 衛兵の1人が修斗の肩を乱暴につかむ。

「触れるなゴミが」

 触れていた手が吹き飛び、衛兵は悲鳴を上げて倒れ込む。
 裏切り者扱いをされて、修斗はかなりご立腹……いや、その顔は笑っている。
 次の展開が楽しみで仕方がないようだ。

「き、貴様! 一体何をした! 我々に歯向かうとタダでは済まさんぞ!」

「うるさい奴らだな。まずはカイリがいる場所に連れていけ、話はそれからだ」

「くっ……こっちだ! 付いてこい!」

 衛兵に付いて行くと、そこは牢獄だった。
 カイリは……地下牢で拷問を受けている最中だったのだ。
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