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第3章 異世界召喚
第98話 異世界召喚も出来ますがなにか?
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「勇者様ご一行ですね? カイリ様がお呼びです、ご同行願えますか?」
衛兵らしき数名が修斗達の前に立ちはだかり、どこかへと連れて行こうとしている。
カイリ様、そう言っているが、それが勇者たちを呼んだ者の名前だろうか。
「誰だ? それは」
「カイリ様はこの国の第2王女です。この領地の貴族が逃げてしまい、王都からこちらへと出向いておいでなのです」
貴族が逃げた……まぁこの惨状を見たら逃げたくなる気持ちも分からなくはないが、救援要請や代行を頼むのではなく、逃げた様だ。
この町の状況は思っている以上に酷いのかもしれない。
「分かった、行こう」
連れて来られた場所は貴族らしい屋敷だが、御多分に漏れず傷みが激しい。
第2王女が居るといっても、手入れが出来ていない様だ。
その中の1室に案内されるのだが、中はまだマシで、カーペットやソファーは随分とキレイだ。
「お待たせしました勇者様方。私はカイリ、カイリ・ラスティアと申します」
白に近い茶色のロングストレート、青いカチューシャで軽く髪を押さえ、青と白を基調としたドレスは肩を出し、大きなスカートをひらめかせながらゆっくりとした物腰で頭を下げると、豊かな胸がユサリと揺れる。
歳は20前後だろうか。
勇者たちは部屋の中で思い思いにしていたが、一応は王女と言う事で、姿勢を正して挨拶を始める。
「ええ、皆さんの事はよく存じておりますよ。大魔王軍のアシュターテを倒したとか。まるで物語に出て来る勇者様そのものですね」
とても楽しそうに、そして少し興奮して言葉を続ける。
この世界にも世界を救った勇者の物語があるのだろうか。
「それで、俺達を呼んだ理由はなんだ?」
さっさとソファーに座り、足を組んで紅茶をすする修斗。
アイカとヴァージニアも両脇に座る。
カイリ姫は修斗の正面に座ると、社交辞令のような事ばかり言ってくる。
「うわさ通り端整な顔つきですねシュウト様。女性に困ることは無いのではありませんか?」
「そうだな、困った事は無い。なんならお前も相手をしてやろうか?」
「ふふふ、嬉しいお言葉ですが、私は王女という役割がございます。シュウト様の虜になってしまっては、この町の、国の仕事が出来なくなってしまいますわね」
「その時は俺が助けてやるさ。気に入った女の為なら、俺は労力をいとわない」
「出来る事ならば、友人として、力を貸して頂けると助かりますわね」
どうやらこの王女、ストレートな言い方はしない人物のようだ。
相手から言葉を引き出して、自分からはものを頼まないタイプだろう。
「残念だが、俺の手は俺の物を護るためにある。俺の物にならないのなら、護る対象ではないな」
「おや? それではイルメリータント国を護っていたのは、シュウト様の国だからでしょうか?」
「護ってなんかいないさ。この世界に来て何も知らない状態だからな、情報が集まるまで大人しくしていたのさ」
「ではイルメリータントとは手を切るのですか?」
「手を切ってもいい。当面の目標は大魔王軍を滅ぼすか、人間らしき者側を滅ぼすか……どっちを先にするかで迷っている」
カイリ姫の動きが止まる。
いや、必死に動揺を隠そうとしているが、自分の敵になる可能性はあるにしても、まさか人間らしき者全体の敵になるとは考えていなかったのだろう。
まさか召喚勇者に世界を滅ぼされる危機があろうとは、今の今まで想像だにしていなかったのだ。
「面白い事をおっしゃいますわね。大魔王軍と人間らしき者の両方を滅ぼして、その後はどうするおつもりですか?」
「元の世界に戻る」
カイリ姫の目が大きく開かれる。
イルメリータント国が行った勇者召喚は、沢山の魔法使いが苦労して行うものだ、それを1人で、しかも本来は戻れないはずの元の世界に戻ると言ってのけた。
術を完全に理解して、それを使える実力があると言う事だ。
「そうだな、ちょっと実験をしてみよう」
修斗は立ち上がり、テーブルの無い場所に移動すると、手を前に出し、絨毯に魔法陣が浮かび上がる。
魔法陣が光り輝き、魔法陣から光が溢れかえる。
光が収まった時、そこには1人の女性が座っていた。
「あ、あれ? ここはどこでしょうか。まるでシュウト様が居なくなった時の様な……は! シュウト様ではございませんか! やはり私達は固い絆で結ばれておりましたのね!」
エルフの娘、ルルナラ・ルーラ・セルテト・ヤックタクーは修斗を見つけると、迷う事なく首に抱き付き、胸を押し付けて来る。
「ハァハァ! シュウト様? やはりシュウト様の子が必要なのですね? そうですね! 私の方はいつでも準備が出来てございますわ!」
「うるさいだまれ。お前が呼び出されたのは、向こうの世界で最後にヤッたのがお前だっただけだ」
「あっちの世界? と言う事は、やはりココは別の世界なのでございますね。魔王やパメラ様たちの想像通りでした」
「そうか。用は済んだから元の世界に戻れ。ああ、まだしばらく時間がかかるから、国の運営はお前達の好きにしていい」
「え!? そんな、せめて、せめて1度くらいはお情けをいただきた――」
今度はあっさりと魔法陣が完成し、一瞬でルルナラ・ルーラ・セ……ルルナラは戻って行った。
まるで何事も無かったかのようにソファーに座り、カイリ姫に問いかける。
「い……今のは、シュウト様が以前おられた世界の……その、住民の方でしょうか?」
「そうだな、元の世界の女としては一番新しい女だ」
「そういえば俺の国とか運営とか言ってたけど、まさかシュウト君って、王様なの?」
「そうだな、国王をやっている」
全員の動きが止まる。
衛兵らしき数名が修斗達の前に立ちはだかり、どこかへと連れて行こうとしている。
カイリ様、そう言っているが、それが勇者たちを呼んだ者の名前だろうか。
「誰だ? それは」
「カイリ様はこの国の第2王女です。この領地の貴族が逃げてしまい、王都からこちらへと出向いておいでなのです」
貴族が逃げた……まぁこの惨状を見たら逃げたくなる気持ちも分からなくはないが、救援要請や代行を頼むのではなく、逃げた様だ。
この町の状況は思っている以上に酷いのかもしれない。
「分かった、行こう」
連れて来られた場所は貴族らしい屋敷だが、御多分に漏れず傷みが激しい。
第2王女が居るといっても、手入れが出来ていない様だ。
その中の1室に案内されるのだが、中はまだマシで、カーペットやソファーは随分とキレイだ。
「お待たせしました勇者様方。私はカイリ、カイリ・ラスティアと申します」
白に近い茶色のロングストレート、青いカチューシャで軽く髪を押さえ、青と白を基調としたドレスは肩を出し、大きなスカートをひらめかせながらゆっくりとした物腰で頭を下げると、豊かな胸がユサリと揺れる。
歳は20前後だろうか。
勇者たちは部屋の中で思い思いにしていたが、一応は王女と言う事で、姿勢を正して挨拶を始める。
「ええ、皆さんの事はよく存じておりますよ。大魔王軍のアシュターテを倒したとか。まるで物語に出て来る勇者様そのものですね」
とても楽しそうに、そして少し興奮して言葉を続ける。
この世界にも世界を救った勇者の物語があるのだろうか。
「それで、俺達を呼んだ理由はなんだ?」
さっさとソファーに座り、足を組んで紅茶をすする修斗。
アイカとヴァージニアも両脇に座る。
カイリ姫は修斗の正面に座ると、社交辞令のような事ばかり言ってくる。
「うわさ通り端整な顔つきですねシュウト様。女性に困ることは無いのではありませんか?」
「そうだな、困った事は無い。なんならお前も相手をしてやろうか?」
「ふふふ、嬉しいお言葉ですが、私は王女という役割がございます。シュウト様の虜になってしまっては、この町の、国の仕事が出来なくなってしまいますわね」
「その時は俺が助けてやるさ。気に入った女の為なら、俺は労力をいとわない」
「出来る事ならば、友人として、力を貸して頂けると助かりますわね」
どうやらこの王女、ストレートな言い方はしない人物のようだ。
相手から言葉を引き出して、自分からはものを頼まないタイプだろう。
「残念だが、俺の手は俺の物を護るためにある。俺の物にならないのなら、護る対象ではないな」
「おや? それではイルメリータント国を護っていたのは、シュウト様の国だからでしょうか?」
「護ってなんかいないさ。この世界に来て何も知らない状態だからな、情報が集まるまで大人しくしていたのさ」
「ではイルメリータントとは手を切るのですか?」
「手を切ってもいい。当面の目標は大魔王軍を滅ぼすか、人間らしき者側を滅ぼすか……どっちを先にするかで迷っている」
カイリ姫の動きが止まる。
いや、必死に動揺を隠そうとしているが、自分の敵になる可能性はあるにしても、まさか人間らしき者全体の敵になるとは考えていなかったのだろう。
まさか召喚勇者に世界を滅ぼされる危機があろうとは、今の今まで想像だにしていなかったのだ。
「面白い事をおっしゃいますわね。大魔王軍と人間らしき者の両方を滅ぼして、その後はどうするおつもりですか?」
「元の世界に戻る」
カイリ姫の目が大きく開かれる。
イルメリータント国が行った勇者召喚は、沢山の魔法使いが苦労して行うものだ、それを1人で、しかも本来は戻れないはずの元の世界に戻ると言ってのけた。
術を完全に理解して、それを使える実力があると言う事だ。
「そうだな、ちょっと実験をしてみよう」
修斗は立ち上がり、テーブルの無い場所に移動すると、手を前に出し、絨毯に魔法陣が浮かび上がる。
魔法陣が光り輝き、魔法陣から光が溢れかえる。
光が収まった時、そこには1人の女性が座っていた。
「あ、あれ? ここはどこでしょうか。まるでシュウト様が居なくなった時の様な……は! シュウト様ではございませんか! やはり私達は固い絆で結ばれておりましたのね!」
エルフの娘、ルルナラ・ルーラ・セルテト・ヤックタクーは修斗を見つけると、迷う事なく首に抱き付き、胸を押し付けて来る。
「ハァハァ! シュウト様? やはりシュウト様の子が必要なのですね? そうですね! 私の方はいつでも準備が出来てございますわ!」
「うるさいだまれ。お前が呼び出されたのは、向こうの世界で最後にヤッたのがお前だっただけだ」
「あっちの世界? と言う事は、やはりココは別の世界なのでございますね。魔王やパメラ様たちの想像通りでした」
「そうか。用は済んだから元の世界に戻れ。ああ、まだしばらく時間がかかるから、国の運営はお前達の好きにしていい」
「え!? そんな、せめて、せめて1度くらいはお情けをいただきた――」
今度はあっさりと魔法陣が完成し、一瞬でルルナラ・ルーラ・セ……ルルナラは戻って行った。
まるで何事も無かったかのようにソファーに座り、カイリ姫に問いかける。
「い……今のは、シュウト様が以前おられた世界の……その、住民の方でしょうか?」
「そうだな、元の世界の女としては一番新しい女だ」
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全員の動きが止まる。
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