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第3章 異世界召喚

第86話 サキュバス隊

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 騎士達の休めない夜が続き、移動中はアイカとヴァージニアは騎士達からチラチラと横目で見られていた。
 毎晩声を上げている自覚があるだけに、2人は頬を赤らめている。
 恥ずかしいと思いながらもやめられない様だ。

「もう1人は欲しいな……」

 修斗がそんな事を口走った。
 もう1人、もちろん戦力的な意味ではなく、夜の相手がもう1人欲しいという意味だ。

「ええ! シュウト君満足してなかったの!?」

「ご主人様……私なら寝ていても気を失っていても構いませんよ」

「そうじゃない、バリエーションが欲しいんだ。お前達は若くて肌もキレイだし、俺の好みとあっている。しかしな、お姉さんタイプが1人居ると楽しそうだからな」

「う、お、お姉さんか……」

「それは……私では無理です」

 女勇者2人が少しモヤっている頃、大魔王軍の砦は迎え撃つ準備をしていた。

「ほ~らお前達! グズグズしてるんじゃないよ! チャッチャカチャッチャカ準備を進めな!」

 魔族の一人らしい女が、鞭で地面を叩きながら命令している。
 ピンク色の癖の強い長い髪、耳の上あたりから太く短いツノが頭に沿うように上に突き出し、背中には小さなコウモリの翼、エロ水着の様な格好をしている。
 豊満な胸と腰のくびれ、尻は大きめでムッチリとした太ももが魅力的だ。

「ノロノロしてると、わたし達サキュバス隊は仕事をしなくなっちまうよ! いいのかい!!!」

 その言葉を聞いて、魔物たちは大慌てで仕事を進め始める。

「なんだい、やれば出来るじゃないか」

「姉さん、人間モドキが来たようだよ」

「来たか。まったくバカな奴らだね、いつまでも偵察隊ばかりだと思ってたら大間違いさ」

 大魔王軍の前線基地。この砦は以前までは偵察隊用の砦だったが、今では侵略部隊の拠点となっている。
 それに気付かずに、騎士団や修斗達はノコノコと現れてしまったのだ。
 偵察に出ていた小鳥の様な魔物が肩に止まり、何かを耳打ちしている。

「よ~っし、今晩にでも攻め込もう。弱った所をわたし達、サキュバス隊が美味しくいただこうか」

「今度は何人食えるかな。前は5人しか食えなかったし」

「100人は居そうだからね、1人で10人は食えそうだ」

「久しぶりに人間モドキの精を吸える! やったぁ!」

 何やらうらやま……恐ろしい事を考えているようだ。

 その日の晩。
 流石に可愛そうに思ったのか、ヴァージニアは騎士達に夕食を振る舞う事にした。
 食材には余裕があるし、そろそろ体力を付けないと戦いが不安だからだ。

「はい、どうぞ。熱いですから気を付けてください」

「あ、あ、あ、あ、ありが……とう」

「シチュー……具だくさん」

「恩にきます。本当にありがとう!」

 アイカとヴァージニアが配って回ったのだが、騎士達はしっかりと手を握って受け取っているのはなぜだろうか。
 そして食後は、修斗達の行為に悶々としながら眠りにつくのだが……深夜にドラの音が鳴り響いた。

「敵襲! 敵襲~~~!!!」

 見張りの騎士が敵を発見したようだ。
 騎士の動きは素早く、鎧を素早く装備して、いや、装備したまま寝ていたようだ。
 大魔王軍の砦が近いので、夜襲に備えていたのだろう。

「斥候! 敵の詳細を教えろ!」

「は! ゴブリン、オーガが約200! 空を飛ぶ何かが数羽確認されております!」

「うむ! それでは方円陣(丸く外側を向く陣形)を組め! 馬防柵ばぼうさくの外には出るなよ!」

 騎士団長が素早く指示をすると、見る見る陣形が完成する。
 それにしても敵の数はこちらの倍、修斗達は見学しかしないと言っていたが……本当に手出しはしないつもりだろうか。

「騒々しいな、なんだ一体」

「あ、ご主人様……敵襲のようです」

「え! 敵! 魔物なの!?」

 テントからノンビリ出てきたが、3人ともほぼ裸だ。
 アイカとヴァージニアは急いで服を着るが、修斗は面倒くさそうにシーツを肩からはおり、外のイスに座る。

「おいおいシュウトよぉ、おめ~本当に見学だけするって~のかよぉ~、あ~ん?」

「俺達も戦闘に参加した方がいいんじゃないか?」

「同じ騎士として、私は放っておくことが出来ない!」

「やりたければやれ、俺は見学している。ヴァージニア、お茶」

 面倒くさそうに、まるでコバエをはらう様に手を横に振る。
 本当に見学するとは思っていなかったのだろう、ヴァージニアは急いでお湯を沸かし始める。
 修斗達は方円陣の外にいる。
 つまり魔物に襲われたらひとたまりもない位置だ。
 とは言え魔物は騎士を攻撃するつもりだろうから、ある意味安全ともいえる。

「え? シュウト君本当に戦わないの?」

「俺が行ったら、1人で終わってしまうだろう?」

「あ、そっか」

「お前達も戦っても良いが、出来るだけ騎士と魔物の動きをしっかり見ておけ。実戦経験がすくないからな、まだ能力を生かしきれていない」

「わかった! もっともっと強くなって、シュウト君の役に立てるようになるね!」

「ご主人様……お茶のお替りと、お菓子を置いておきます」

 5人は装備を整えて前線に合流していく。
 1人でお茶を飲み、お菓子を口にしながら空を見上げる。

「あいつら、元気にしてるかな」

 ザナドゥ王国が恋しくなったわけでもないが、その日の気分で様々な女を抱ける環境というのは、やはり修斗にとっては理想の環境だった。
 この世界でもイイ女は居る。
 しかし人間寄りなら構わないが、全身毛むくじゃらの動物寄りの女は抱く気にはなれない。

 イマイチこの世界の女を、手当たり次第に食べる気がしない理由がそれだ。
 せめて部分的な毛なら構わないのに、などと考えていると、空に1つの影が浮かんでいた。

「おやおや坊や、こんな所でお留守番かい? 寂しいんならお姉さんが遊んであげようか」

 そこにはピンクの癖の強いロングヘアー、頭から角を生やし、エロ水着を着ているサキュバスが浮いていた。
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