ステータスを好きにイジって遊んでたら、嫁たちが国造りを始めました

内海

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第3章 異世界召喚

第74話 異世界召喚

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「成功です! 6人目の勇者様が来ました!」

 修斗が現れた魔法陣が消え、数名の神官姿の男がシーツを修斗に巻き付ける。
 よく見ると裸だ。
 どうやら召喚されるのは本人だけで、所持品は全て元の世界に置いてくるようだ。

「大丈夫ですか? 気分は悪くありませんか?」

「問題ない。ここはどこだ?」

 神官に問いかけるが、神官の代わりに別の者が返事をする。

「ここはイルメリータントという国でございます。ようこそいらっしゃいました勇者様」

 豚が居た。
 豚が2本足で立ち、服を着てしゃっべっている。
 恐らくは質素なドレスだと思うが、背が低く横幅もある。
 豚を2本足で立たせ、少しだけ人間よりにデフォルメされた感じだ。

「動物が喋るのか? この世界は」

「はい。わたくしはリリーアム。ここイルメリータントの巫女でございます」

 動物が喋るのはこの世界では当たり前らしく、特に触れる事なく話が進んでいく。

「勇者様のお名前をお聞かせ願えますか?」

「俺は修斗だ」

「シュウト様でございますね? それではステータスと、言って下さいますか?」

「ステータス」

 すでに自分のステータスは知っているのだが、どんな展開になるのか楽しみらしく、素直に言う事を聞いているようだ。

「こ、これは!?」

「どうなのだリリーアム、その勇者の能力は?」

「その……ほとんどが110でいらっしゃいます……」

「なんだと!? それではただの一般市民ではないか!」

 奥にある玉座らしい場所で声を荒げる男性がいる。
 冠をかぶり、フワフワな赤いマントと豪華な衣装を着ていて、白いひげを生やしている。国王だろうか。
 
「あ、しかしHPが111、MPが200あり、各種魔法LVが高いので、魔法使いとしては優秀かと存じます」

 修斗が見ているステータス画面とは違うのだろうか。
 しかしステータスと言って出てきたものは、確かに目の前にある。

 HP:1110000
 MP:200000
 力強さ:110000
 知 力:110000
 防御力:110000
 素早さ:110000
 魅 力:110000
 状 態:国王命令絶対施行しこう
 スキル:ステータス改変
     神魔法使用可能(神界天技しんかいてんぎ
     神魔法LV100
     炎系魔法LV100
     水系魔法LV100
     風系魔法LV100
     大地系魔法LV100
     空間系魔法LV100
     光系魔法LV100
     闇系魔法LV100
     対象のステータスを開示(隠匿いんとく中)
     検索
     地図瞬間作成
     書写
     鑑定
     高温耐性
     万物を拒否する盾

 修斗にはこう見えている。
 だがよく見ると以前と違うところがあった。スキルのステータス改変と神魔法系統がグレースケール、灰色の文字になっているのだ。
 まさか使用できなくなっているのだろうか。

 ステータスで数値が異様に低く言われたのは、恐らく数字の前3桁しか見えていないのだろう。
 数値を触る時は、後ろにゼロしか追加しなかったので、前の方はずっと変わっていない。
 本当に能力が低下してしまったのだろうか。
 いや、修斗の思考は以前いた世界と変わっていない。
 以前と同じように考え、次の展開を想像し、この世界の分析を行っている。

「魔法使い系の勇者か、それならば使いようがあるな。よかろう、勇者として認定をしよう」

 奥の国王らしく人物が勇者認定をすると、神官や豚に拍手をされる。
 しかし気になるのは、ここにきて直ぐ、と言っていた事だ。
 修斗以外にも勇者召喚されたのだろうか。

 あたりを見回すと、修斗と同じようにシーツを体に巻いた男女が5人居た。
 魔法陣があった場所の横で、地面に座り込んでいる。

 男3人に女2人。全員が若く見え、見た目では10代中ごろ~20代前半だろう。

「それで、俺はどうしてこんな場所にいるんだ?」

「はいシュウト様、それについては陛下よりお話がございますので、他の勇者様たちと一緒にご説明を致します。皆様方、勇者が揃いましたので、陛下よりお言葉をたまわりましょう」

 豚に案内され、広い神殿らしき場所の奥へと進む。
 そこには玉座に座った国王らしい人物がアゴをあげて、見下したように修斗達を見ている。

「よく来てくれた勇者よ。この国は今、大魔王軍の侵略にあっている。お前達には大魔王を倒し、この国を救ってほしいのだ。この街を拠点とし、訓練や武器を揃え、見事大魔王を倒すのだ」

 随分と話が飛んでいる。
 異世界召喚された人間にする説明としては、全くの説明不足といって良い。
 どうして選ばれたのか、なぜ大魔王軍に襲われているのか、資金は? そもそも生活は? いきなりこんな場所に召喚されて、はいそうですかと納得できるものなど、ラノベ読者や修斗の様な経験者だけだ。

「おい待て! なんだァ大魔王軍って! そんな奴らと戦えっていうのかよ、ア~ン!?」

 案の定、男が突っかかった。
 この男は世紀末から来たのだろうか、赤いモヒカンだ。

「そもそもどうして、オレたちが戦わなくてはいけないのか」

 次の男は黒と茶髪のストライプで、ドレッドヘアーを後ろで纏めている。

「嫌です私……帰してください……」

 地面にへたり込んで泣いている女は、黒縁メガネで黒髪短髪、恐らくこの中では一番若い。
 そして女の肩を優しく抱きしめる男。随分と優男やさおとこだ。

 もう一人の女は背の低い薄い金髪ロングで、呆然とした顔で立っている。

『うるさいぞ貴様等。貴様らは私の命令を聞けばいい、口答えは許さん』

 その言葉を聞くと何かが体に重くのしかかり、口が開けなくなった。
 どうやら他の勇者も同じようで、泣いていた女すら静かになっている。
 なにが起きたのだろうか、国王の魔法によるモノか、召喚時に何かされたのだろうか。

 ステータスを確認すると……どうやらこれのようだ。
 状 態:国王命令絶対施行しこう

 これが付与されることにより、国王の命令に背けなくなったのだ。
 国王の態度でも想像できるが、召喚した勇者対して敬意をはらっていない。
 恐らくは過去にも複数回勇者を召喚しているだろう。

 その勇者はどうなったのか……。

「もうよい、後の事はリリーアムに聞け」

 やっと口が開けられた。
 どうやらこの状態はかなり強力で、修斗の意思でも破る事は出来なかった。

「さあ皆さん、こちらへお越しください。これからのご説明を行わせていただきます」
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