ステータスを好きにイジって遊んでたら、嫁たちが国造りを始めました

内海

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第2章 ザナドゥ王国

第58話 建国 各国の思惑と修斗の思惑

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 そろそろザナドゥ王国の城が完成しようとする頃、冒険者ギルドから使いの者がやってきた。
 ザナドゥ王国に冒険者ギルドの支部を置くことが決定した、と。
 すぐさま施設の建設を開始し、城が完成間近で手の余った職人も多かった事で、10日もかからずに完成した。

 細かな調整などは残っているが、修斗が連れて来た受付嬢がそのまま配属され、滞りなく進んでいる。
 だが理由は不明だが、修斗のSランク入りは見送られた。
 いつもならば不服に思い、ギルド本部に殴り込むところだが、目的であった冒険者ギルドが出来た事と、建国式典で忙しいため行くのをやめた。

 そしていよいよ城が完成すると、世界各国へと建国記念式典の案内状が送られた。
 現在確認されている国の数は78。
 その全てに案内状を送り、返事が来たのは49ヶ国。
 半数以上はザナドゥ王国を歓迎しているようだ。

 城の謁見の間には玉座が置かれているが、以前使っていた屋敷のモノよりも豪華になっており、さらには謁見の間の広さ自体が違いすぎるため、玉座に座る修斗はあきれ果てていた。

「広すぎないか? 一体何人入れるつもりだ?」

「そうかい? 1000人は余裕で入ると思うけど、もっと来るかもしれないし」

「パーティー会場はもっと広くなっています! シュウト様の御威光を最大限に発揮できるように設計しました!」

「訪問客がひっきりなしに来るでしょうから、この位で良いと思います」

 玉座の両脇を固める3人娘は、修斗と同じ場所から謁見の間を眺めて感慨深そうにしている。
 自分たちが作った国がようやく完成するのだから、少し涙ぐんでいるのも頷ける。

「まあいい。それで、案内を突っぱねた国はどんな国だ?」

「ハイ、来ないハンブンのクニは軍事国家デス。シュウトサマの力をシラナイのと、新興国にはキョウミがないのでショウ。あとは大国が2つと、遠すぎてコレナイ小国デス」

「では軍事国家と大国には大量にスパイを送っておけ。小国も動きを見逃さない程度には放り込んでおけ」

「リョウカイしました!」

「さて、来なかった国はどうやって遊んでやろうかな」

 来なかった国もそうだが、来る国ともどうやって遊ぼうかと考えている。
 仲良くなるか、従わせるか……それは相手の出方次第だろう。


 
 建国記念式典は3日に渡り盛大に取り行われた。
 修斗はもちろん、3人娘も他の重鎮も着飾っており、普段とは随分と雰囲気が違う。
 その1日目、各国の王族が続々とザナドゥ王国を訪れ、修斗に挨拶をする。
 その中でもひときわ目を引いたのが、やはりナターシャとキャシーだ。
 ルードルフ国で修斗の傀儡として動いている2人だが、その能力と美貌でどの国も一目置いている。

「シュウト様! この度はおめでとうございます! 我が国はザナドゥ王国に忠誠を誓わせていただきます」

 王太子妃のナターシャがいきなりそんな事を言ったものだから、その場に居た他国の王族は戦々恐々としている。
 ルードルフ国の賢姫・剣姫けんきたちかしずいているのだ、修斗という存在を、ザナドゥ王国という国は一体どれだけの力を有しているのか、うかうかしていられない、そんな感じだろうか。

 そして更に各国の王族が驚いた事がある。
 それはハイエルフの長老が3人、山エルフ・エルフの長老が2人も来ていた事だ。
 ハイエルフはその数が少ない上に、人前に姿を現す事がほとんどないが、どうやらバルデ=シュタットの長老が交流のある里にも声をかけた様だ。
 ハイエルフ2人がザナドゥ王国にいる事がすでに異常なのに、その長老までもが来ているのだ。
 想像以上に美味しい蜜が吸えるのでは? そう考えるのが当たり前だ。

 1日目は国の代表が集まり、2日目3日目のパーティーにも参加。
 2日目には国の代表以外、貴族や各ギルド長など、様々な職種の代表などが集まった。
 3日目は単純な重鎮たちの知り合いが集まっていた。

 1日目からすでに始まってはいたのだが、3日目になると目に余る光景になってきた。
 各国の王族が、我が姫を嫁がせようと躍起やっきになっているのだ。
 今のところ修斗は独身であり、パメラとは婚約状態ではあるが、ザナドゥ王国には貴族という物がいない。
 貴族でもないパメラよりも、由緒正しき姫を嫁がせた方がいい、というのが向こうの言い分だ。

 キャロラインは元姫だし、バーバラは元聖女なのだが……都合の悪い事は目に入らないらしい。

 だが姫本人達は意見が分かれている。
 修斗の様な魅力的な男に、しかも国王に嫁げるなんてこれ以上は無い! と考える者。
 そしてパメラ達重鎮を見て、この中でやっていける自信がない、と引いている者。
 こちらに関しては、各国が自費で大使館を作り、そこに姫を滞在させる、という手段に出た。
 それが自分たちの首を絞める事になろうとは思いもせずに。

 3日間のパーティーが終わり、それぞれが国へを帰っていく。
 その中のいくつかの王の話を聞いてみよう。

「陛下、国の規模に似合わず、大きなお城でございましたな」

「なに、ただの虚勢よ。ルードルフ国の賢姫・剣姫けんきたちをどうやって手懐けたのかは知らないが、あの男自身は大したことはしておらん。取り巻きが優秀なだけだ。おそらく後ろに誰かが居るはずだ」

「シュウト国王は、操られているのでございますか?」

「矢面に立つのは見てくれの良いあの男に相応しいだろう。それにしてもハイエルフか……厄介な奴らがいるもんだな」

 馬車の中でそんな話をしている。
 この男は獣の皮をそのまま使ったマントを羽織っており、鎧こそつけていないが国王というよりは戦士に近い出で立ちだ。
 髭を生やし髪も荒々しいため、まるで獅子のように見える。

 ――別の馬車の中――

「今後ザナドゥ王国からの話は全て私を通してくれ」

「すべて? いくら何でも全てはやり過ぎじゃないか?」

「いいや、それくらいやってもまだ足りないくらいさ。シュウト国王はもちろん、周りに居た重鎮たちを見ただろう? アレはバケモノだ、ウワサ以上のバケモノだ。俺は以前、勇者ガルタ・レーベンに会った事があるが、勇者が可愛く見えるほどに恐ろしかったよ」

 まだ若い男は白い服装に大量の勲章を付けており、文武に優れた人物だと分かる。
 髪をかき上げて、側に置いてある王冠を手に取ると、正面の宝石を撫でている。

「確かにヤバイ奴らだとは思ったが……そうか、そこまでだったのか」

「ああ。下手にちょっかいを出したら返り討ちにされるな。とにかく、優先すべきはあの国を怒らせない事。急いでシュウト国王の調査をしろ。女好きとのうわさだが、あれほどの美女が揃っていてもまだ女がいるらしいからな、側室でも愛人でも何でもいい、とにかく側に誰か送り込め」

 ――他の馬車の中――

「いいなぁ~、羨ましいなぁ~。可愛かったなぁ~、美人だったなぁ~」

「陛下、少しは落ち着いてください。そのような言い方は失礼ですぞ?」

「だ、だってぇ~、パメラちゃんはキリッとしてるし、バーバラちゃんは凛々しいし、キャロラインちゃんは上品だし、レベッカちゃんは厳しそうだけど、キャロルちゃんはおっとりお姉さんだし、フローレンスちゃんは僕っ子だし、カーリンちゃんはハイエルフなんだよ!? ずるいと思わない!?」

「何が……ずるいのでございましょうか」

「僕を差し置いて、あんなハーレム作るなんて許せないよ! 絶対に僕の方がみんなに相応しいんだからさ!」



 各国の思惑はそれぞれのようだ。
 修斗の思惑とは別に、様々な思いが動き始める。
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