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第164話

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唯ちゃんに告白をしてから、しばらく経った。



だけど、唯ちゃんは俺がアプローチをした時は反応するけど、それ以外の時は無反応だった。



・・・ちょっとだけ、駆け引きしてみようかな。



そう考えた俺は、今までグイグイいってたのを控えてみることにした。



唯ちゃんに声をかけられても素っ気なく接し、必要以上にベタベタしない。



遠い所から話しかけられたら、わざと無視してやり過ごしてみた。



唯ちゃんは目に見えて戸惑っているようだった。



やっぱり、駆け引きしてみて正解だったかな?



そんなことを考えながら、しばらく同じようなことを続けていた。



そんな中、移動教室中に唯ちゃんが前から歩いて来るのが見えた。



だけど・・・どこか元気が無さそうだ。



「・・・あの、山崎先輩」



「やぁ、唯ちゃん。俺、移動教室だからまたね」



素っ気なく返事をして、そのまま廊下を曲がって先に進もうとする。



「っ・・・!!山崎先輩」



「!!ゆ、唯ちゃん?」



すると、俺の名前を叫びながら唯ちゃんに後ろから両手で俺の手を掴む。



後ろを振り返って見ると、うつむいたまま俺の手を離そうとしない。



唯ちゃんから触れてくるのって、お化け屋敷以来だな。



「あのっ・・・どうして最近、私の事避けてるんですか?」



「・・・」



うつむいたままだから表情はわからないけど、俺の手を掴む手にキュッと力を込めた唯ちゃん。



そして、俺の顔を見つめてきた。



「あの・・・毎日好き好き言ってた人が急に来なくなると、不安になるんです。私にキョーミ無くなったんですか?」



両手で手を掴み、上目遣いで俺の事を見つめる唯ちゃん。



その瞳は少しだけ潤んでいるように見えた。



「・・・それ、どこで覚えたの?可愛すぎて卒倒しそうなんだけど」



「・・・え?」



俺の言葉にハテナを浮かべる唯ちゃん。



そりゃそうだろう、急にこんなこと言われちゃハテナも浮かぶってもんだ。



「ほら、よく言うじゃない?押してダメなら引いてみろってさ。それを実行しただけだよ。・・・唯ちゃんには、効果てきめんだったみたいだね。俺が何も言ってこなくなったから心配になっちゃったんだ?」



「っ・・・べ、別に!」



俺の手を離して、そっぽを向く唯ちゃん。



だけど、どこか安心したような表情を浮かべていた。



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