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第154話

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昼休みで仕事が終わり、放課後になった。



委員会がないけど、真白ちゃんと一緒に帰りたいからと彼女の教室の近くまで来る。



だけど、真白ちゃんの姿は見えない。



「あれ?どうしたんですか?山崎先輩」



俺が教室の中をのぞいていると、教室の中から中学の時の後輩である藍原 伊織(あいはら いおり)が姿を現した。



その隣には、真白ちゃんの友達の子もいた。



手を繋ぎながら歩いているから・・・カップルかな?



「あぁ、伊織か。隣にいるのは──真白ちゃんのお友達の・・・」



「伊達 一花(だて いちか)です。もしかして、唯に用ですか?」



俺が名前を思い出そうとしている時、自ら名乗ってくれた。



「あぁ、うん。一緒に帰ろうかなって思って。どこにいるか知ってる?」



「唯ならさっき帰りましたよ」



「・・・そっか、残念」



そっか・・・真白ちゃん帰っちゃったのか。



もう少し早く来てたら、一緒に帰れてたのになぁ。



ハァ・・・とため息をつくと、伊達ちゃんが俺の事をマジマジと見つめてくる。



「・・・どうしたの?」



「あ、いや。先輩、もしかして唯のこと・・・?」



この聞き方は、俺が真白ちゃんのことを好きかどうかだろう。



「うん。好きだよ」



「やっぱり・・・!!」



どこか嬉しそうにしながらはしゃぎ始める伊達ちゃん。



「・・・じゃあ今度の土曜、真白も誘ってテーマパークに出掛けません?ダブルデート的な感じで」



ウキウキな伊達ちゃんを見て、思いついたように伊織が声を上げた。



「あっ!!それいいね!!無料チケット貰ってるし!私、唯のこと誘ってみる!!」 



「でも、お邪魔じゃない?君達付き合ってるんでしょ?」



「その時は別々に別れて行動すれば良いだけっすよ。むしろ俺らが邪魔になりそうなぐらいなんで、気にしないでください」



2人とも、ダブルデートに乗り気らしい。



俺としては嬉しい限りだけど・・・真白ちゃんが素直にOKしてくれるかな?



「俺は良いけど・・・真白ちゃんが了承しないんじゃない?」



「そこは私が何とかしますんで大丈夫です!」



まっかせてください!と自信満々に胸を叩く伊達ちゃん。



まぁ・・・真白ちゃんの友達の彼女がそこまで言うなら・・・任せようかな。



「じゃあ、土曜日にまた会いましょ!!」



「うん、頼むね」



そう言って2人と別れて帰路についた。



土曜に真白ちゃんとデートか・・・。



楽しみだな。

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