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第152話
しおりを挟む「も~、学校出てすぐに手ぇ離すことないのに~」
「学校出るまでって話しましたよね」
学校を出て、バス停へ向かっている最中、一歩前を歩く真白ちゃんを見つめながら口にする。
本当なら家に帰るまで繋いじゃおうかな、とか考えていたのに学校の敷地を出て直ぐに手を振り解かれちゃった。
分かってはいたけど、力強いんだよなぁ・・・この子。
そんなところも可愛いけど。
バス停までたどり着き、バスが来るのを待つ。
「・・・ていうか、今日も家まで送るんですか?」
俺の方を見つめながら閉じられていた口を開ける真白ちゃん。
「うん、そのつもりだよ。帰ってる途中で何かあったら大変だからね」
「・・・先輩、帰るの大変じゃないですか?遠いですよね?」
「言うほど遠くないよ。それに、俺が真白ちゃんと長く一緒にいたいから良いの」
「・・・なんで、一緒にいたいんですか。私、学校じゃ浮いてる方なんですけど」
視線を逸らしながら、ボソッと呟く真白ちゃん。
浮いてる方・・・か。
変装解く前の俺みたいなもんかな?
「・・・浮いてる?」
「・・・私、性格が性格なので勘違いされやすいんです。だから、一部の女子達からなんやかんや言われることが多くて。・・・まぁ、気にしてませんけど」
「ふぅん、そっか」
多分、真白ちゃん可愛いから嫉妬してあーだこーだ言ってる連中がいるんだろう。
それに、“気にしてない”とは言ってるけど多少は気にしてるんだろうな。
じゃなきゃ、そんなこと話さないし。
「でも、そんなことはどうでもいいかな。俺、どんな真白ちゃんでも好きだし。だから一緒にいたいんだよ」
「・・・え、それってどういう意味・・・!?」
「・・・さぁ?どうだろうね。真白ちゃんが好きな方の解釈でいいよ」
キョトンとした後、慌て始めて聞き返してくる真白ちゃん。
そんな彼女を愛おしく思いながら微笑む。
そうこうしているうちにバスが到着し、音を立ててドアが開く。
「ほら、バス来たよ」
「あ・・・はい」
俺の言葉を受けて挙動不審な真白ちゃんの背中を押してバスに乗る。
空いてるところが少ないというのもあり、真白ちゃんが座った席の隣に座った。
「な、なんで隣に座るんですか!?」
「んー?だって、席空いてないし・・・それに、真白ちゃんの近くにいたいから」
「っ・・・そ、そうですか」
そう言って、窓の外を眺め始める真白ちゃん。
その耳は少しだけ赤くなっていた。
照れちゃったかな?
微笑ましく思いながら、真白ちゃんの横顔を見つめていた。
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