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第145話

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真白side



帰り道、山崎先輩に送ってもらった。 



相合傘で。



いやいやいや、確かに少女漫画とかではよくある展開だよ!?



だけど、あくまでそれは漫画の中の話であって、現実で起こりうるの!?



そんなことを考えながらいつの間にか家まで送ってくれていた。



ここから帰るってなったら大変だろうに。



だから家まで送んなくていいって言ったのに・・・。



先輩は“大丈夫だから”の一点張り。



挙句の果てには“真白ちゃんと一緒にいたいから”なんてセリフを口走るし・・・!!



乙女ゲームの攻略対象ですか!?と言わんばかりの対応に、ドキドキしっぱなしだった。



私は、こういう“恋愛経験”という経験がない。



だけど、恋愛小説とか少女漫画はよく読むからその知識だけはあるけど・・・。



実際に来られると経験がないからどう反応していいのか分からない。



実際、山崎先輩に“可愛い”って言われた時も、どう返したらいいか分からずにつっけんどんに返しちゃったし。



「ねぇ、唯。あの先輩とどんな関係なのよ」



「は?委員会が同じなだけだけど・・・」



「ふぅん・・・それだけにしては、相合傘で帰ってきたんだぁ」



先輩が帰ったあと、お母さんが山崎先輩のことを聞いてくる。



相合傘だって、先輩が無理矢理傘の中に入れてきただけで私は走って帰ろうとしてたもん。



「先輩が入れってうるさいから入っただけ。もう、変な勘ぐりしないでよ」



「そう~?あの子はそうじゃないみたいよ?」



私の隣に立ち、体を肘でつつくお母さん。



あぁ・・・めんどくさいモードが始まった・・・。



「は?それ、どういう──」



「優くん、唯に気があるみたいよ♪」



“それ、どういう意味よ”そう言おうとした時、その言葉を遮ってお母さんは言い放った。



山崎先輩が・・・私に気がある・・・?



「またテキトーなこと言って・・・」



「テキトーな事じゃないわよ。本人から聞いたもの」



「・・・・・・は?」 



意味が分からず反応が遅れる。



先輩から聞いた!?



じゃあつまり・・・先輩が・・・私を!?



「うふふ・・・固まってる、固まってる。おっもしろーい」 



驚きをあまり固まってると、お母さんは台所の方へ歩いていく。



どうせお母さんのハッタリだろうけど・・・えぇ・・・それを知って、どうやって接しろと?


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