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第138話
しおりを挟む委員会が始動してから、俺はお昼休みや放課後に真白ちゃんと行動を共にしていた。
ちなみに、髪型やメガネはそのままにして。
今日も、放課後の書類整理の仕事をしていた。
「ねぇ、真白ちゃん」
「なんですか?」
作業をしながら、隣で作業している真白ちゃんに声をかける。
真白ちゃんは、視線を動かすことなく作業をしながら口を開く。
本当、自分の仕事に責任もってやる子だな。
「中学1年生の修学旅行って、どこだった?」
そんなことを考えながら、気になっていたことを質問する。
これで奈良に行ってたなら確定なんだけど・・・。
「奈良です。・・・そんなこと知ってどうするんですか?」
「いや、ちょっと気になってね」
帰ってきた答えは俺の想定していたものだった。
やっぱり・・・これで確定だ。
やっぱり真白ちゃんが、あの時の子だ。
「──先輩、こっちの山終わりました」
「うん、ありがとう。俺も終わるからちょっと待ってね」
そんな話をしているなか、仕事を終えた報告をする真白ちゃん。
とは言っても、俺もあと1枚だけだから直ぐに終わった。
だけど、ずっと集中して作業していたからか、メガネも前髪も邪魔だ。
「あー・・・疲れた・・・さすがに2人でこの量は多いね」
メガネを外し、前髪をかきあげながら真白ちゃんの方をむく。
「!」
俺と目が合い、驚いたような表情をする真白ちゃん。
あー、そういえば真白ちゃんの前では伊達メガネ外したこと無かったっけ?
あの時会ってるはずなんだけど・・・俺の事、覚えてないかな?
なんて考えていると、ハッとしたような表情を浮かべて俺から視線を逸らす真白ちゃん。
「なに?どうかした?」
「いえ、なんでもありません」
なんでもありません・・・か。
なんでもない子があんな表情しないと思うんだけどなぁ。
「ねぇ、真白ちゃんは俺の格好、どっちが好き?」
「・・・どういうことですか?」
「メガネかけてる俺と、今の俺。どっちが好き?」
質問の意図が分からない、と言わんばかりの真白ちゃんにメガネを手にしながら見つめる。
まぁ多分、返ってくる言葉は──興味無い、なんだろうな。
「どっちでもいいんじゃないですか?私は興味無いので」
・・・やっぱりね。
想定通りの答えが返ってきて思わず笑みがこぼれる。
そうだよね、君はそう言うよね。
「?なんで嬉しそうなんですか?」
「いや、ちょっとね」
不思議そうにしている真白ちゃんに対し、濁して答える。
興味がない・・・か。
だけど・・・興味、持たせてあげるから。
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