犬猿☆ラブコンフリクト

綾鷹ーアヤタカー

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第136話

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文化祭当日──辻本さんが二海と付き合った。



正直言って、二海の奴なんかに取られるとは思わなかった。



二海のどこが良かったんだ?



それは辻本さんにしか分からないけど、やっぱり納得は出来ない。



例え、人違いだったとしても好きになった人ではあるから。



俺の方が気も使える上に顔も良いし、二海よりは性格もいい。



辻本さんにあんな酷いことも言わない。



それなのに・・・彼女は二海を選んだ。



今となっては“元”だけど、マドンナだって心底腹立たしかったんだろうなって、初めは思ってたけど・・・。



気が付いたら、マドンナは別の男に惚れていて、卒業式の時に公開告白をしていた。



あーぁ・・・俺だけ置いてけぼりかよ。



そんな心情の中、俺は学校へと向かっていく。



辺り一面には桜の木が嫌味ったらしく咲き乱れている。



桜の花びらが舞い落ちていく中、高校最後の始業式に参加する。



正直どうでもいいんだけど、さすがに3年になってから退学するなんて選択肢は俺には出来なかった。



そんな思いで通い続けてはいるけど、ダルいのはダルい訳で・・・。



早く終わんねーかな、始業式と新入生歓迎会。



そんなことを思いながら、淡々と紡がれる視界の言葉を聞き流す。



「続いて、新入生代表挨拶。代表、真白 唯(ましろ ゆい)」



「え──・・・」



辻本さんの名前?



一瞬そう思ったけど、どうやら“まひろ”ではなく“ましろ”だったみたいだ。



ましろ・・・か、ダメだ、今辻本さんの名前かと思っちゃった。



そんなことを思いながら、壇上に上がっていく女の子の姿が見える。



長い髪をサイドで縛り、後れ毛をピンで留めている、身長150cmぐらいの女の子。



俺は、その子の事を見たことがあった。



凛とした姿に丸い目、やわらかく、動く度に揺れる髪。



そして──



『まひろもどう?イケメンいるよ』



『・・・別にいい、キョーミないし。それに、その人めっちゃ困ってるじゃん』



あの時会った子と同じ声だった。



「──1年代表、真白 唯」



あの時呼んでた名前・・・ましろ・・・だったんだ。



俺、てっきり“まひろ”だと思って、辻本さんにアタックしてたけど・・・。



別人だったんだ・・・俺があの時気になった子は。



「・・・どおりで・・・辻本さんに聞いても覚えてない訳だ・・・」



・・・やっと見つけた、俺の運命の人。




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