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第131話
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茂木side
ホワイトデーのお返しをするために、由紀ちゃんの家の近くまで来た。
本当なら、いつもの格好で行きたかったんだけど・・・あいにくコンタクト切らしちゃっててメガネで行くことになった。
由紀ちゃんに電話をかけると、バタバタと音が聞こえてくる。
準備してるのかな、なんて考えているうちに、由紀ちゃんが公園まで走ってきた。
由紀ちゃんには俺のメガネ姿見せたこと無かったから、少しだけ驚いているように見える。
可愛いな・・・。
そんなことを思いながら、由紀ちゃんにホワイトデーのお返しを渡した。
中身は・・・金平糖。
意味はもちろん知っている。
だけど、それは由紀ちゃんも知っててもおかしくない。
だから、家に戻ってから開けるようにしてもらった。
まぁ、キャンディーみたいな全員が知ってそうなものじゃないから分からないかもしれないけど・・・念の為。
「用はそれだけ。じゃあ、またね」
「あ・・・待ってください!」
渡し終えたから帰ろうと歩き出した時、由紀ちゃんから腕をつかまれる。
──もしかして・・・。
そんなことを考えてしまった。
期待しながら由紀ちゃんの発する言葉を待ったけど、なんでもないと引き下がってしまう。
まぁ、そうだよね。
そんなことを考えながら自宅へと帰ろうと歩き出す。
あの反応・・・やっぱり告白、だよな。
由紀ちゃんも俺の事好きだろうし・・・俺から言った方がいいかな。
だけど・・・前の一件もある。
由紀ちゃんに限ってそんなことをするわけが無いけど・・・トラウマになってるから、どうしても告白出来ない。
言葉を口にしようとすると、冷や汗が止まらなくなる。
そんな自分が情けなかった。
誰かに相談したくなって、無意識のうちにとある子の連絡先をタッチしてスマホを耳に当てた。
『“──はい、辻本です”』
「──あ、茉弘ちゃん?今いい?」
呼び出し音がなったあと、茉弘ちゃんが電話に出る。
『“あ、はい。いいですよ。なんですか?”』
「いやさ・・・由紀ちゃんにお返し返したんだけどね・・・ちょっと、聞いて欲しくて」
『“告白できないんですか?”』
俺のトラウマを知ってる茉弘ちゃんは、俺が言おうとしていたことを言い当てる。
やっぱ、分かっちゃうか・・・。
「お見通しだった?」
『“そりゃあ・・・前に由紀の好きな人聞いてきたんで、そうかなーと思って”』
「だよね」
茉弘ちゃんは自分のことに関する事は少し鈍感なところはあるけど、人の機微には敏感だ。
俺の気持ちも、由紀ちゃんの気持ちも察しているだろう。
『“でも、お返しはしたんですよね?何渡したんですか?”』
「ん?金平糖」
『“金平糖?”』
茉弘ちゃんは金平糖の意味を知らないみたいだ。
頭にハテナを浮かべていそうな茉弘ちゃんに、意味を教える。
『“へぇ~・・・多分それ、由紀は知らないですよ。キャンディーとかなら知ってると思いますけど”』
「そっか・・・」
意味を知らないなら、金平糖を送った意味がないんだけどな・・・。
言葉を直接伝えられない、俺からの最大級のアプローチだったんだけど・・・。
『“まぁでも・・・心配しなくていいと思いますよ”』
「え?」
『“先輩が真摯に向き合えば、由紀はきっと応えてくれますから。私が保証します”』
その言葉が、やけに脳内に響いた。
『“だって由紀は──・・・いや、コレは由紀の口から聞いた方がいいですね”』
何かを言いかけて止める茉弘ちゃん。
その言葉の続きが、俺の期待した言葉であればいいな。
「・・・ありがと、茉弘ちゃん」
『“いえ。大丈夫ですよ。──って、健治!先に食べないでって言ったじゃん!!”』
電話を切ろうかと思っていた時、茉弘ちゃんが二海と口喧嘩を始める。
2人共一緒にいたのか・・・なんか、悪いことしちゃったかな。
『“すみません、先輩。それじゃあそろそろ失礼します”』
「ううん、こっちこそごめんね。ありがとう」
プツッと音を立てて通話を切る。
心配しなくてもいい・・・か。
ホワイトデーのお返しをするために、由紀ちゃんの家の近くまで来た。
本当なら、いつもの格好で行きたかったんだけど・・・あいにくコンタクト切らしちゃっててメガネで行くことになった。
由紀ちゃんに電話をかけると、バタバタと音が聞こえてくる。
準備してるのかな、なんて考えているうちに、由紀ちゃんが公園まで走ってきた。
由紀ちゃんには俺のメガネ姿見せたこと無かったから、少しだけ驚いているように見える。
可愛いな・・・。
そんなことを思いながら、由紀ちゃんにホワイトデーのお返しを渡した。
中身は・・・金平糖。
意味はもちろん知っている。
だけど、それは由紀ちゃんも知っててもおかしくない。
だから、家に戻ってから開けるようにしてもらった。
まぁ、キャンディーみたいな全員が知ってそうなものじゃないから分からないかもしれないけど・・・念の為。
「用はそれだけ。じゃあ、またね」
「あ・・・待ってください!」
渡し終えたから帰ろうと歩き出した時、由紀ちゃんから腕をつかまれる。
──もしかして・・・。
そんなことを考えてしまった。
期待しながら由紀ちゃんの発する言葉を待ったけど、なんでもないと引き下がってしまう。
まぁ、そうだよね。
そんなことを考えながら自宅へと帰ろうと歩き出す。
あの反応・・・やっぱり告白、だよな。
由紀ちゃんも俺の事好きだろうし・・・俺から言った方がいいかな。
だけど・・・前の一件もある。
由紀ちゃんに限ってそんなことをするわけが無いけど・・・トラウマになってるから、どうしても告白出来ない。
言葉を口にしようとすると、冷や汗が止まらなくなる。
そんな自分が情けなかった。
誰かに相談したくなって、無意識のうちにとある子の連絡先をタッチしてスマホを耳に当てた。
『“──はい、辻本です”』
「──あ、茉弘ちゃん?今いい?」
呼び出し音がなったあと、茉弘ちゃんが電話に出る。
『“あ、はい。いいですよ。なんですか?”』
「いやさ・・・由紀ちゃんにお返し返したんだけどね・・・ちょっと、聞いて欲しくて」
『“告白できないんですか?”』
俺のトラウマを知ってる茉弘ちゃんは、俺が言おうとしていたことを言い当てる。
やっぱ、分かっちゃうか・・・。
「お見通しだった?」
『“そりゃあ・・・前に由紀の好きな人聞いてきたんで、そうかなーと思って”』
「だよね」
茉弘ちゃんは自分のことに関する事は少し鈍感なところはあるけど、人の機微には敏感だ。
俺の気持ちも、由紀ちゃんの気持ちも察しているだろう。
『“でも、お返しはしたんですよね?何渡したんですか?”』
「ん?金平糖」
『“金平糖?”』
茉弘ちゃんは金平糖の意味を知らないみたいだ。
頭にハテナを浮かべていそうな茉弘ちゃんに、意味を教える。
『“へぇ~・・・多分それ、由紀は知らないですよ。キャンディーとかなら知ってると思いますけど”』
「そっか・・・」
意味を知らないなら、金平糖を送った意味がないんだけどな・・・。
言葉を直接伝えられない、俺からの最大級のアプローチだったんだけど・・・。
『“まぁでも・・・心配しなくていいと思いますよ”』
「え?」
『“先輩が真摯に向き合えば、由紀はきっと応えてくれますから。私が保証します”』
その言葉が、やけに脳内に響いた。
『“だって由紀は──・・・いや、コレは由紀の口から聞いた方がいいですね”』
何かを言いかけて止める茉弘ちゃん。
その言葉の続きが、俺の期待した言葉であればいいな。
「・・・ありがと、茉弘ちゃん」
『“いえ。大丈夫ですよ。──って、健治!先に食べないでって言ったじゃん!!”』
電話を切ろうかと思っていた時、茉弘ちゃんが二海と口喧嘩を始める。
2人共一緒にいたのか・・・なんか、悪いことしちゃったかな。
『“すみません、先輩。それじゃあそろそろ失礼します”』
「ううん、こっちこそごめんね。ありがとう」
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