上 下
123 / 170

第123話

しおりを挟む

翌日──



学校に行くなり、茉弘に昨日のことを相談した。



「えっ・・・!?そんなこと言われたの!?もうそんなの両想いじゃ~ん!!」



「う、うん・・・だけど、私から踏み込んだ質問するとはぐらかされちゃうんだ」



控えめな声でキャッキャと嬉しそうにしている茉弘。



こっちは真剣に悩んでるのに・・・お気楽なんだから。



「・・・うーん・・・まぁ、そうなっちゃう理由かはわかんないけど・・・中学の時ね、茂木先輩イジメを受けてね」



「・・・え?」



あの茂木さんが・・・イジメ・・・?



「茂木先輩、その時好きだった子がふざけて茂木先輩にある振りをしててさ・・・両想いかもしれないって思った茂木先輩がその子に告白をしたら、こっぴどく振って学校中に言いふらしまくったってことがあって・・・」



「・・・なにそれ・・・」



茉弘の口から語られたのは、信じ難いことだった。



空いた口が塞がらないってこのことなのね。



「それ以来、告白するのがトラウマなんだって話、聞いたことあるよ」



「・・・・・・」



茉弘の話を聞いて湧いてきたのは、怒りだった。



茂木さんが、そんな目にあってたなんて・・・。



それなのに、私は──



「・・・そっか・・・わかった。茉弘、ありがと」



そう言って、私は自分の席へと座るのと同時に、とあることを決意した。



もし仮に、茂木さんが私に気があるんだとしたら──私から告白しよう。



絶対、茂木さんから告白してもらおうなんて考えないようにするんだ。



だけど・・・私に告白なんてできるかな?



愛の告白なんて、したことないし・・・。



二海くんの時は、キレながら思わず口にしてしまったって感じだから参考にならないし・・・。



茉弘のを参考にしようと思っても、公開告白をする度胸は私には無いし。



どうするべきかと悩んでしまう。



それでも、告白するなら私からじゃないといけないということは変わらない。



情けない姿を見せてでも・・・私から告白しよう。



元マドンナの意地、見せつけてやるんだから。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

先頭車両で君に出会って~遠く離された2人の世界線を結ぶ~

ゆきちゃん
青春
山間地域と都市部を結ぶ三州鉄道の先頭車両で、通学途中の彼は彼女と出会った。 色白でほっそりとした顔、視線はうつむいていたが瞳が大きくて美しかった。そして、悩み事を抱えているような悲しげな表情が、強い印象を与えていた。 ☆☆☆この出会いはある悲劇を秘め、結ばれるべき2人はそれに打ち勝つ必要があった。 (エブリスタに投稿済の作品の内容をリメイク・拡張してお届けします。)  

僕が僕を許せる日まで

星夜るな
青春
当たり前の日々が突然崩れたあの日…。 何度もあの日、自分がいたら、早く帰れていたら…なんていうことを考える毎日。 僕は、あの日々を壊した犯人を許さない。 自分を許せない僕が新しい日々の中で変わっていく日常を描いた作品です。

そして私は惰眠を貪る

猫枕
ファンタジー
 親同士が親友だからと幼い頃に婚約させられたリーヴィアとラルス。  しかし今どき幼少の頃から許嫁がいるなんて人は極めて珍しく、学校でからかわれたラルスはリーヴィアに冷たくするようになる。  加えてこの婚約は親同士が親友なんて大嘘、ラルスの両親がリーヴィアの両親を一方的に奴隷扱いしていたことが分かる。  リーヴィアと結婚してはいけないと思ったラルスは回避行動をとるが、努力の甲斐なく2人は結婚することになる。  ファンタジーっぽくなるのは30話くらいからかな?    

マコトとツバサ

シナモン
青春
かっこいい彼氏をもつとすごく大変。注目されるわ意地悪されるわ毎日振り回されっぱなし。 こんなあたしのどこがいいの? 悶々とするあたしに ハンドメイドと料理が得意なうちのお母さんが意外なことを教えてくれた。 実は、1/2の奇跡だったの。

夫に惚れた友人がよく遊びに来るんだが、夫に「不倫するつもりはない」と言われて来なくなった。

ほったげな
恋愛
夫のカジミールはイケメンでモテる。友人のドーリスがカジミールに惚れてしまったようで、よくうちに遊びに来て「食事に行きませんか?」と夫を誘う。しかし、夫に「迷惑だ」「不倫するつもりはない」と言われてから来なくなった。

ジキタリスの花

華周夏
BL
物心ついた時から、いじめられてきた庇ってくれる人なんて誰もいない。誰にも──言えない。そんな僕を見つけてくれたのは、欲しかった言葉をくれたのは、光宏先輩、あなたでした。相模明彦、彼の淡く切ない初恋……。

金曜の夜、駅前に座る少年は彼女たちを癒しているのかもしれない

coche
青春
初めての彼氏に振られた湊は、あてもなく駅前を歩いていた。 するとどこからともなくピアノの音が。 すっかり落ち込んでいた湊を、その音が優しく包んで行く。 とうとう堪え切れなくなった湊は、泣き崩れてしまった・・・

悪役令嬢の悪行とやらって正直なにも悪くなくない?ってお話

下菊みこと
恋愛
多分微ざまぁ? 小説家になろう様でも投稿しています。

処理中です...