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第122話
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由紀side
「美味しかったね~、やっぱり有名なだけあるね。送ってくよ」
「そうですね・・・ありがとうございます」
入ったお店を出て、いよいよ帰ることになった。
帰りがたくて長居しちゃったけど・・・さすがに帰らないと。
そう考えながら帰路につく。
近道はあるんだけど・・・ちょっとでも長く一緒にいたいから、わざと遠回りになる道のりで帰る。
「・・・ねぇ、由紀ちゃん?」
「なんですか?」
「・・・由紀ちゃん家に帰るにしては・・・遠回り、してない?」
「!?」
ば、バレてる・・・!?
な、なんで・・・!?
「前に一緒に帰った時、近道通ってたでしょ?その道じゃないからさ」
以前、茉弘がまだマネージャーとして入部していなかった時──。
つまり、二海くんを好きだと勘違いしていた時に茂木さんに送って貰ったことがあった。
その時通ったのが近道の方だったのを覚えていたらしい。
まさかそこを突っ込まれるとは思わなくてアタフタしてしまう。
「・・・・・・たまには違う道から帰ってもいいかなって、思って」
「・・・ふぅん、そっか。・・・それよりさ──」
それ以上の追求はなく、別の話題になる。
良かった・・・これ以上追求されたらさすがに誤魔化しきれなかったから。
「・・・茂木さん、聞いてもいいですか?」
「ん?なんだい?」
「なんで今日、私を誘ってくれたんですか?茂木さんなら、色んな人からお誘い来てたと思うんですけど・・・」
私は、思わずなぜ誘ったのかを聞いてしまう。
答えを待っている間、なんでこんなこと聞いちゃったんだろ~、と自己嫌悪する。
「・・・そうだな・・・強いて言うなら・・・由紀ちゃんと過ごしたかったから、かな?」
「!」
茂木さんの答えに、ピクッと反応する。
私と過ごしたかったから・・・?
そんなの、まるで──
「・・・ど、どうして・・・?」
「ん~・・・?どうしてだろうね」
私の問いにまたしてもはぐらかす茂木さん。
もう・・・こういうことは答えてくれないんだよな、この人・・・!!
「・・・そうですか・・・」
「でも・・・由紀ちゃんと同じ気持ちだったからなんじゃないかな?」
「・・・・・・え?」
それ、どういうこと・・・?
私と同じ気持ちって・・・。
「・・・なんてね。ほら、お家ついたよ。体冷やさないうちに部屋に入りな?」
そんなことを考えていると、いつの間にか私の家の前までたどり着いていた。
「は、はい・・・」
「うん、いい子。それじゃ、またね」
そう言って茂木さんはその場を後にする。
私と同じ気持ちって・・・どういうことですか・・・?
遠くなっていく茂木さんの背中を見つめながら、心の中で問いかけ続けた。
「美味しかったね~、やっぱり有名なだけあるね。送ってくよ」
「そうですね・・・ありがとうございます」
入ったお店を出て、いよいよ帰ることになった。
帰りがたくて長居しちゃったけど・・・さすがに帰らないと。
そう考えながら帰路につく。
近道はあるんだけど・・・ちょっとでも長く一緒にいたいから、わざと遠回りになる道のりで帰る。
「・・・ねぇ、由紀ちゃん?」
「なんですか?」
「・・・由紀ちゃん家に帰るにしては・・・遠回り、してない?」
「!?」
ば、バレてる・・・!?
な、なんで・・・!?
「前に一緒に帰った時、近道通ってたでしょ?その道じゃないからさ」
以前、茉弘がまだマネージャーとして入部していなかった時──。
つまり、二海くんを好きだと勘違いしていた時に茂木さんに送って貰ったことがあった。
その時通ったのが近道の方だったのを覚えていたらしい。
まさかそこを突っ込まれるとは思わなくてアタフタしてしまう。
「・・・・・・たまには違う道から帰ってもいいかなって、思って」
「・・・ふぅん、そっか。・・・それよりさ──」
それ以上の追求はなく、別の話題になる。
良かった・・・これ以上追求されたらさすがに誤魔化しきれなかったから。
「・・・茂木さん、聞いてもいいですか?」
「ん?なんだい?」
「なんで今日、私を誘ってくれたんですか?茂木さんなら、色んな人からお誘い来てたと思うんですけど・・・」
私は、思わずなぜ誘ったのかを聞いてしまう。
答えを待っている間、なんでこんなこと聞いちゃったんだろ~、と自己嫌悪する。
「・・・そうだな・・・強いて言うなら・・・由紀ちゃんと過ごしたかったから、かな?」
「!」
茂木さんの答えに、ピクッと反応する。
私と過ごしたかったから・・・?
そんなの、まるで──
「・・・ど、どうして・・・?」
「ん~・・・?どうしてだろうね」
私の問いにまたしてもはぐらかす茂木さん。
もう・・・こういうことは答えてくれないんだよな、この人・・・!!
「・・・そうですか・・・」
「でも・・・由紀ちゃんと同じ気持ちだったからなんじゃないかな?」
「・・・・・・え?」
それ、どういうこと・・・?
私と同じ気持ちって・・・。
「・・・なんてね。ほら、お家ついたよ。体冷やさないうちに部屋に入りな?」
そんなことを考えていると、いつの間にか私の家の前までたどり着いていた。
「は、はい・・・」
「うん、いい子。それじゃ、またね」
そう言って茂木さんはその場を後にする。
私と同じ気持ちって・・・どういうことですか・・・?
遠くなっていく茂木さんの背中を見つめながら、心の中で問いかけ続けた。
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