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第118話

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季節はめぐり12月。



世間はクリスマスムード一色になっていた。



クラスでも彼女を作ろうと必死になっている男子が大勢いたみたいで、私の本性を知ってもなお、告白されることも少なくはなかった。



まぁ、好きな人がいるからって言って全部断ったんだけど。



猫を被っていた時に比べれば少なくはなった方かな、なんて考えながら過ごしていた。



去年までは茉弘とクリスマスパーティしてたけど、今年は二海くんと一緒にお出かけするみたいだから今年は1人かな。



そんなことを考えながら勉強のため机に向かっている時、ピロン、とスマホの通知が鳴る。



チラッとスマホを確認すると、そこには茂木さんからの通知が入っていた。



それに気付いた瞬間、シャープペンを手放して勢いよくスマホを手に持つ。



そこには“明日ってヒマかな?良かったら一緒にお出かけしない?”と表示されていた。



明日、クリスマスなんだけど・・・えっ!?クリスマスにお出かけ!?



そんなの嬉しすぎるんだけど!?



スマホを持つ手が震えるほど衝撃的な文字にもだえてしまう。



ジタバタと手足を動かして行き場のない感情を発散させる。



そうだ、返信しなきゃ・・・。



しばらく悶えたあと、我に返って返信をするべく文字を打ち込む。



だけどなんて返していいのか分からずに、何度も打っては消してを繰り返す。



食い気味なのもダメだし、かと言ってぶっきらぼうなのもダメだろう。



どう返すのがいいのか考え込んでしまう。



“特に予定はないので良いですよ”



悩みに悩んだ挙句、無難な返答を送る。



やばい・・・クリスマスに茂木さんとお出かけ・・・。



予想もしてなかった展開に思考が追いつかない。



そんな中、茂木さんから返信が来る。



“ありがとう、凄く嬉しい。じゃあ、明日、13時に駅前で待ち合わせでいいかな?”



“分かりました”と返信を返して、ベットへと倒れ込む。



嬉しい・・・茂木さんとクリスマスにお出かけか。



でも・・・なんで私を誘ったんだろう。



茂木さん、モテてそうだし誘いとかいっぱい来るだろうに・・・。



そう考えると少しだけモヤモヤとしてしまう。



でも、最終的に私を誘ってくれたんだしモヤモヤする必要ないよね。



そう考えて、明日に備えて早めに寝ることにした。


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