116 / 170
第116話
しおりを挟む片付けが終わり、帰り支度を始める。
茉弘は二海くんと帰るみたいでバタバタと準備をして出ていってしまった。
本当、忙しない子だな・・・。
そんなことを考えながら荷物を背負い、私も部室を後にする。
今日は迎えに来れないと言われたからバスで帰ることになった。
最近暗いからバス停まで行くの嫌なんだよなぁ。
「あれ?由紀ちゃん、今帰り?」
そんなことを考えていると、後ろから声をかけられる。
由紀ちゃん呼びってことは──茂木さんかな?
そう思って振り返ると、そこには茂木さんが自転車を押して私の方へ駆け寄ってくるところだった。
「茂木さん。はい、今日は迎え来れないみたいなんでバスで帰ろうかと」
「そうなのかい?じゃあ、バス停まで送っていくよ。暗いから1人だと危ないし」
「えっ・・・はい、お願いします」
思ってもみない提案に、一瞬ためらってから返事をする。
まさか茂木さんが送ってくれるなんて思ってもみなかったから、嬉しさのあまり頬が緩む。
ここからバス停までは歩いて5分ぐらいのところにある。
その間は私が茂木さんを独占できるってことでしょ?
「茂木さん、自転車ですか?いつもは電車ですよね?」
「えへへ、そうなんだけど・・・部活引退してから贅肉が増えちゃってね、少しでも運動しよっかなって」
自転車を押しながら私の隣を歩く茂木さんは、少し照れたような顔をしながら頬をかいた。
贅肉が増えたって・・・それ多分、筋肉が少なくなっただけな気がするんだけど・・・。
でも、そんな姿さえも愛おしいと思ってしまう。
「練習中は散々動き回ってましたからね。そればかりは仕方ないですよ」
「うん、わかってるけどね・・・さすがにあれだけあった筋肉が徐々になくなってくのがちょっとショックで・・・」
あはは・・・と困ったように笑う茂木さん。
そんな姿でさえ、キュンとしてしまう。
「・・・元々ありすぎるぐらいだったし、ちょうどいいんじゃないですか?そのくらいで」
「そうかな?・・・由紀ちゃんがそう言うならいいか」
フォローの言葉を言うと、嬉しそうに目を細める茂木さん。
なんでそんなに嬉しそうなんだろう。
そんなことを考えているうちに、バス停までたどり着いてしまった。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

「史上まれにみる美少女の日常」
綾羽 ミカ
青春
鹿取莉菜子17歳 まさに絵にかいたような美少女、街を歩けば一日に20人以上ナンパやスカウトに声を掛けられる少女。家は団地暮らしで母子家庭の生活保護一歩手前という貧乏。性格は非常に悪く、ひがみっぽく、ねたみやすく過激だが、そんなことは一切表に出しません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる