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第111話
しおりを挟む一喜一憂しながら、文化祭が幕を閉じる。
それからしばらく経つけど・・・相変わらず茂木さんは私の所に頻繁に来てくれる。
でも、なんで来てくれるんだろう。
やっぱり、私が本性出したせいで浮いてるから、それを心配して・・・?
それはそれで嬉しいけど・・・でも、なんか・・・悲しい。
そう思ってしまうのは、多分・・・私が高望みしてしまっているから。
「ねぇ、茉弘・・・ちょっと相談乗ってくれない?」
部活中、ボトルを作る最中に茉弘に声をかける。
「え、なに?どうしたの?」
「・・・茂木さんのこと」
この話題を茉弘にするのはどうかとも思ったけど・・・好きな人と結ばれたこの子に、聞いて欲しかった。
「茂木さんがどうかしたの?」
ドリンクを作りながら、私の方を見る茉弘。
「・・・私がアンタに本性出した後から、茂木さん、休み時間に私の所に来てくれるようになったじゃん?」
「あぁ、確かに。よく見かけるね」
「・・・あの時から好きになったんだけど・・・なんで、会いに来てくれるのかなって・・・」
ボトルを混ぜながら本音をポロリとこぼす。
中学から一緒の茉弘なら、真意を知れるんじゃないか。
そんなことを考えて相談してみたけど・・・。
「んー・・・どうだろ?なんでそう思うの?」
「私が好きで会いに来てるのかと思ってたんだけど・・・浮いてる私のこと、心配して来てくれてるのかなって・・・考えちゃって・・・」
ボトルを作りながらポツポツと話す。
正直、こんなに一喜一憂するなんて思ってなかった。
二海くんのことを想っていた時はこんなこと無かったのに。
「・・・私にはわかんないから、茂木さんに直接聞いてみれば?」
「あのねぇ・・・聞けたら苦労しない──」
「俺が会いに行く理由は由紀ちゃんの顔が見たいからだよ」
「っ・・・!?」
私の言葉を遮るようにして聞こえてきたのは、茂木さんの言葉。
後ろを振り返ると、そこには茂木さんが買い出しを終えたのか荷物を持って立っていた。
「もっ・・・茂木さんっ・・・!?あのっ、どこから聞いてっ・・・!?」
「さぁ?どこからだろうね」
ニコニコと笑いながら体育館の中に入っていく茂木さん。
彼が体育館の扉を閉めたのを見てから、茉弘に掴みかかる。
「ねっ、ねぇっ!!なんで茂木さんいるのっ・・・!?」
「さ、さぁ。買い出しから戻ってきたからでしょ?」
「そうじゃなくてっ・・・!!茂木さんがいるのにいつから気付いてたの!?」
「し、知らなかったよ!私も声掛けられて気づいたし・・・!」
もしかすると茂木さんに聞かれてしまったかもしれない。
その事実に、テンパりながら茉弘を揺さぶる。
「さっきの聞かれてたらどうしよう~・・・!」
「ま、まぁまぁ・・・」
しゃがみこみながら頭を抱える私の背中を擦る茉弘。
やばい・・・私の気持ち、バレた・・?
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