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第104話 辻本茉弘×二海健治編 最終話

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数年後──



「健治ー、お風呂沸いたから入っちゃってー」



高校を卒業した私達は、同棲を始めた。 



たまに言い合いをするけど、意外にもケンカというケンカもなく過ごせている。



「なぁ、茉弘。こっち来て」



「なに?」



台所から健治のところに行くと、頭をかきながら私の方を見てくる。



頭をかくのは健治が照れた時とかに出てくる癖だ。



何を今更照れてるんだろ。



「・・・あのよ・・・俺ら、付き合ってから結構経つだろ?・・・だから・・・その・・・お前の人生、俺にくれねぇか?」



そう言って、小さな箱を取り出して私に突きつけてくる健治。



その中に入っていたのは指輪だった。



「・・・ちょっと待って。・・・私も用意してたんだけど・・・」



そう、私も健治に渡すために買っていたのだ。



ポケットの中から小さい箱を取りだしながら健治に差し出す。



「・・・・・・」



「・・・・・・」



お互いがお互いを見つめ合い、黙り込む。



そして、堰を切ったように笑いだした。



「アッハハハ、2つも要らねぇだろ!」



「仕方ないじゃん!アンタが準備してると思わなかったんだもん!」



思う存分笑ったあと、お互いの準備した指輪をはめ合う。



薬指に輝く指輪を見て、微笑む。



「ちゃんと幸せにしてよね」



「当たり前だろ」



照れることなくそんなセリフを言い切る健治。



私は、好きだという気持ちがいっぱいになり、健治にキスをした。



辻本 茉弘×二海 健治編   END


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