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第100話
しおりを挟む放課後。
私たちが使っている体育館が点検のため、今日は部活は休みだ。
そのこともあって、二海と一緒に練習をしようという話になったのだが・・・。
「スゥ・・・スゥ・・・」
机に伏せながら寝てしまっているのだ。
私が日直の仕事をしていたってのもあるんだろうけど・・・よほど眠かったのかな。
「二海、起きて」
二海を起こそうと控えめに声をかける。
だけど、眠りが深いのか起きそうにない。
1度寝るとなかなか起きないタイプなのかもしれない。
「・・・全く・・・」
起こすのを断念して、改めて二海の寝顔を見る。
本当、黙ってれば結構整った顔してるんだよね、二海のやつ。
由紀があぁなったのも、なんか納得できる。
性格さえ直せば、もっとモテそうなのに。
そう考えたのはいいけど、少し嫌な感じがする。
なんで嫌なんだろ。
ムカつくやつだし、すぐ私に突っかかってくるし、口を開けば嫌味ばっかりだし、性格最悪だし。
でも・・・不器用だけど、優しいところもあるんだよね。
重いもの持ってくれたり、ナンパから助けてくれたり。
二海見てるとドキドキしたり、こいつがモテるのが嫌だったり・・・。
そんなのまるで──私が二海のことを好きみたいじゃん。
「・・・いや、みたいっていうか、そうなんだろうな・・・」
そう思うと、色々と納得できることがある。
二海に告白された時にあんなに慌てたことも、劇の練習中、目が合っただけで恥ずかしくなるのも。
由紀に、二海のことを考えてみろって言われてたけど、こういうことだったのね。
「・・・アンタからの告白、なかったことにしないでよ。・・・返事、返せないじゃん・・・」
行き場のない感情をぶつけるように、二海の頭を叩く。
「いって・・・何すんだよ」
その一撃で目が覚めたのか、二海は体を起こした。
その姿を見るだけでキューッと胸が締め付けられる。
「練習、するって言ってたのに寝てたあんたが悪いんでしょ」
「だからって叩いて起こすやついねぇだろ」
「・・・アンタが悪いんじゃん」
告白したの、忘れろとか言うから・・・。
「はぁ?・・・まぁ、寝ちまったのは悪いと思うけどよ」
「そう思うなら練習するよ!」
気持ちを切り替えるようにして、二海に練習するように声をかけた。
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