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第92話
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茉弘side
練習も終盤になり、試合形式の練習に入る。
スコアを書きながら試合を見ていると二海にボールが渡った。
「っ・・・」
ボールを取った時、すこしだけ顔をしかめた二海。
さっきもだが、ボールに触る時に痛そうな素振りを見せている。
もしかして・・・突き指したのかも。
そう思い、スコアを書く隙間に救急箱を持ってくる。
ようやく試合が終わり、ベンチに戻ってくる二海の所に駆け寄った。
「二海、右手見せて」
「!」
私の言葉に目を見開いて驚いたような顔を見せる二海。
そして、私から視線を逸らした。
「・・・なんで突き指してんのわかったんだよ」
「ボール触る度に顔しかめてたら誰だってわかるでしょ」
頑なに手を出そうとしない二海にしびれを切らして、右手を掴み手を見る。
だけど、さすがにどの指を怪我してるのかは分からなかった。
「痛むのどの指?」
「・・・人差し指」
ボソッと呟く二海の言葉に頷き、テーピングで固定する。
我ながら手際よく出来ていると思う。
「・・・はい、できたよ。他に痛むところは?」
テーピングを巻き終えたあと、顔を上げて二海を見ると、バチッと視線が合う。
その視線は熱を持っていて、愛おしいものを見るかのような目で思わず息を飲む。
“好きなんだよ!!・・・お前が・・・”
忘れかけていた二海の言葉が、頭の中でリピートされる。
それと同時に、頬に熱が集まっていくような感覚に襲われた。
「あとは大丈夫・・・サンキューな」
手を引っ込め、テーピングを巻いた手を優しく触りながら口にする二海。
「・・・気を付けてよね」
二海から視線を逸らし、使ったテーピングを片付ける。
その最中でも、二海の言葉を思い出してしまう。
気にしないようにしてたはずなのに・・・。
練習も終盤になり、試合形式の練習に入る。
スコアを書きながら試合を見ていると二海にボールが渡った。
「っ・・・」
ボールを取った時、すこしだけ顔をしかめた二海。
さっきもだが、ボールに触る時に痛そうな素振りを見せている。
もしかして・・・突き指したのかも。
そう思い、スコアを書く隙間に救急箱を持ってくる。
ようやく試合が終わり、ベンチに戻ってくる二海の所に駆け寄った。
「二海、右手見せて」
「!」
私の言葉に目を見開いて驚いたような顔を見せる二海。
そして、私から視線を逸らした。
「・・・なんで突き指してんのわかったんだよ」
「ボール触る度に顔しかめてたら誰だってわかるでしょ」
頑なに手を出そうとしない二海にしびれを切らして、右手を掴み手を見る。
だけど、さすがにどの指を怪我してるのかは分からなかった。
「痛むのどの指?」
「・・・人差し指」
ボソッと呟く二海の言葉に頷き、テーピングで固定する。
我ながら手際よく出来ていると思う。
「・・・はい、できたよ。他に痛むところは?」
テーピングを巻き終えたあと、顔を上げて二海を見ると、バチッと視線が合う。
その視線は熱を持っていて、愛おしいものを見るかのような目で思わず息を飲む。
“好きなんだよ!!・・・お前が・・・”
忘れかけていた二海の言葉が、頭の中でリピートされる。
それと同時に、頬に熱が集まっていくような感覚に襲われた。
「あとは大丈夫・・・サンキューな」
手を引っ込め、テーピングを巻いた手を優しく触りながら口にする二海。
「・・・気を付けてよね」
二海から視線を逸らし、使ったテーピングを片付ける。
その最中でも、二海の言葉を思い出してしまう。
気にしないようにしてたはずなのに・・・。
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