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第79話
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二海side
練習中、茂木さんに言われて辻本と買い出しに行くことになった。
“茉弘ちゃんの事が好きなら、一緒に行ってきな”
耳打ちされた言葉に少し戸惑いを覚えつつ、気を紛らわせるために辻本に悪態をつきながら店へと行った。
買い出しが終わり、新作のバッシュを見てから辻本の所に行こうとしたら、男に連れ去られそうになってやがった。
何とか助けられたけど、焦りと怒りで思わず口喧嘩しちまった。
しかも自分は可愛くないから狙われないと思ってた、みたいなことを言いやがった。
可愛いに決まってんだろ、何言ってんだこいつは。
そんなことを考えながら口論しているうちに、思わず告白しちまった。
やっちまった・・・そう思った時には既に遅くて。
恐る恐る辻本のことを見たら、見たことないぐらいに顔を真っ赤にさせてた。
そのまま逃げるように学校に戻っちまって・・・追いかけて体育館の前まできたけど、どんな顔して会えばいいのかわかんねぇ。
「ハァ~・・・」
・・・勢いで辻本に告白しちまったな・・・。
めっちゃ避けられたし・・・。
でも、あの時見た照れ顔、めっちゃ可愛かったな。
「あ゛ー・・・」
自分の愚かな行動と辻本の可愛い顔を思い出して、しゃがみこんで頭をかく。
どーすっかな、これから。
「二海、何やってんだ?こんな所で・・・」
頭を抱えていると、頭の上から声がかかった。
茂木さんだ。
「・・・いや、なんでもないっす」
頭を抱えながら茂木さんに答える。
「・・・そういや、“茉弘ちゃん”も先に帰ってきたけど──」
「ッ・・・!」
茂木さんの言葉で、ドキッと心臓が高鳴る。
ダメだ、辻本って聞くだけでさっきのこと思い出しちまう。
「・・・お前ら、なんかあったの?茉弘ちゃんの様子も変だったし・・・」
「・・・・・・」
これは、隠せねぇよな。
そんなことを考えながら、ガシガシと自分の頭をかいた。
「・・・買出し中に、アイツが連れ去られそうになってやがって・・・気をつけろって口論してるうちに・・・告白しちまって・・・」
恥ずかしくて、茂木さんから視線を逸らしながら訳を話すとあー、と納得したような返答が返ってきた。
あー・・・だっせぇ・・・俺。
「アイツ、今どこにいます?」
「中で手伝いしてくれてるよ」
茂木さんが体育館の中を指差しながら答えてくれる。
中か・・・中にいんのかよ・・・。
「あ゛ー・・・どんな面して入ればいいんだ・・・」
顔を覆いながら、どうしようか考える。
どうしたって中で鉢合わせになるのは目に見えてるし、かと言って中に入らないわけにもいかないし。
「・・・ぷっ・・・」
そんなことを考えていると、茂木さんが吹き出した。
「ちょっ・・・何笑ってんすか・・・!」
こっちは必死こいて考えてるってのに、この人は・・・!
さては、他人事だと思って面白がってやがるな!?
「いやっ・・・二海がこんなになるなんて面白くて・・・そういうことには慣れてそうなのにな」
「・・・うっさいっすよ。・・・告白はされるけど自分で告ったことなんてないんスから・・・!」
我ながら、初告白があんなムードの欠片もない勢い任せなものとか、どうかと思うけど。
気付いたら口に出してたっつーか・・・可愛いって言った時点で気付いて欲しかったっつーか。
「うわ出た、サラッとモテ男自慢」
「そういうんじゃないっすよ・・・。どーいう顔すればいいのか──」
「茂木先輩、もうそろそろ休憩終わり・・・」
俺が話している最中、ガラッと体育館の扉が開いて辻本が顔を出した。
驚きのあまり口を開けたまま辻本のことを見る。
すると、辻本と目が合った。
「ふっ・・・二海も早く練習混ざりなよッ・・・!!」
裏返った声で俺にそういうと、すぐに扉を閉めてバタバタと中で音がした。
「・・・そういう顔だったな」
「っっ・・・!!」
クソ・・・はっずい・・・。
顔を覆い隠して、頬の熱が覚めるのを待った。
練習中、茂木さんに言われて辻本と買い出しに行くことになった。
“茉弘ちゃんの事が好きなら、一緒に行ってきな”
耳打ちされた言葉に少し戸惑いを覚えつつ、気を紛らわせるために辻本に悪態をつきながら店へと行った。
買い出しが終わり、新作のバッシュを見てから辻本の所に行こうとしたら、男に連れ去られそうになってやがった。
何とか助けられたけど、焦りと怒りで思わず口喧嘩しちまった。
しかも自分は可愛くないから狙われないと思ってた、みたいなことを言いやがった。
可愛いに決まってんだろ、何言ってんだこいつは。
そんなことを考えながら口論しているうちに、思わず告白しちまった。
やっちまった・・・そう思った時には既に遅くて。
恐る恐る辻本のことを見たら、見たことないぐらいに顔を真っ赤にさせてた。
そのまま逃げるように学校に戻っちまって・・・追いかけて体育館の前まできたけど、どんな顔して会えばいいのかわかんねぇ。
「ハァ~・・・」
・・・勢いで辻本に告白しちまったな・・・。
めっちゃ避けられたし・・・。
でも、あの時見た照れ顔、めっちゃ可愛かったな。
「あ゛ー・・・」
自分の愚かな行動と辻本の可愛い顔を思い出して、しゃがみこんで頭をかく。
どーすっかな、これから。
「二海、何やってんだ?こんな所で・・・」
頭を抱えていると、頭の上から声がかかった。
茂木さんだ。
「・・・いや、なんでもないっす」
頭を抱えながら茂木さんに答える。
「・・・そういや、“茉弘ちゃん”も先に帰ってきたけど──」
「ッ・・・!」
茂木さんの言葉で、ドキッと心臓が高鳴る。
ダメだ、辻本って聞くだけでさっきのこと思い出しちまう。
「・・・お前ら、なんかあったの?茉弘ちゃんの様子も変だったし・・・」
「・・・・・・」
これは、隠せねぇよな。
そんなことを考えながら、ガシガシと自分の頭をかいた。
「・・・買出し中に、アイツが連れ去られそうになってやがって・・・気をつけろって口論してるうちに・・・告白しちまって・・・」
恥ずかしくて、茂木さんから視線を逸らしながら訳を話すとあー、と納得したような返答が返ってきた。
あー・・・だっせぇ・・・俺。
「アイツ、今どこにいます?」
「中で手伝いしてくれてるよ」
茂木さんが体育館の中を指差しながら答えてくれる。
中か・・・中にいんのかよ・・・。
「あ゛ー・・・どんな面して入ればいいんだ・・・」
顔を覆いながら、どうしようか考える。
どうしたって中で鉢合わせになるのは目に見えてるし、かと言って中に入らないわけにもいかないし。
「・・・ぷっ・・・」
そんなことを考えていると、茂木さんが吹き出した。
「ちょっ・・・何笑ってんすか・・・!」
こっちは必死こいて考えてるってのに、この人は・・・!
さては、他人事だと思って面白がってやがるな!?
「いやっ・・・二海がこんなになるなんて面白くて・・・そういうことには慣れてそうなのにな」
「・・・うっさいっすよ。・・・告白はされるけど自分で告ったことなんてないんスから・・・!」
我ながら、初告白があんなムードの欠片もない勢い任せなものとか、どうかと思うけど。
気付いたら口に出してたっつーか・・・可愛いって言った時点で気付いて欲しかったっつーか。
「うわ出た、サラッとモテ男自慢」
「そういうんじゃないっすよ・・・。どーいう顔すればいいのか──」
「茂木先輩、もうそろそろ休憩終わり・・・」
俺が話している最中、ガラッと体育館の扉が開いて辻本が顔を出した。
驚きのあまり口を開けたまま辻本のことを見る。
すると、辻本と目が合った。
「ふっ・・・二海も早く練習混ざりなよッ・・・!!」
裏返った声で俺にそういうと、すぐに扉を閉めてバタバタと中で音がした。
「・・・そういう顔だったな」
「っっ・・・!!」
クソ・・・はっずい・・・。
顔を覆い隠して、頬の熱が覚めるのを待った。
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