75 / 170
第75話
しおりを挟む店内に入ると、ひんやりとした風が頬を吹き抜けた。
さっきまで暑いところにいたせいもあって、とても涼しい。
「んで、何買うんだよ」
「んーとね・・・」
二海の問いかけに、私は手にしたメモを開いた。
「コレ!」
二海に見せると、手元をのぞき込むようにしてメモを見る二海。
顔がいつもより近くて、少しだけいたたまれなくなってしまった。
フイっと視線を逸らして二海が読み終わるのを待つ。
「・・・これの他に、シップも買った方がいいんじゃねーの?確かストックなかったぞ」
のぞき込むをのを辞めた二海は、体を起こして腰に手を当てる。
茂木先輩のメモには書いてなかったけど、主に使っている二海が言うならそうなんだろう。
「そうだね、じゃあそれも買おっか。他に欲しいものとかあるかな?」
「んー、そんなもんでいいんじゃねーの?」
そう言いながら、二海は積まれてあったカゴを1つ手に取った。
あ・・・本当に荷物持ちしてくれるんだ。
てっきり、帰りだけしてくれるのかと思ってたけど。
そんなことを思いながら、メモに書かれているものを次々にカゴに入れていく。
ようやくメモに書かれたものを全て入れることが出来たけど、カゴの中は物で溢れ返っていた。
会計をして袋の中を確認する。
「えっと・・・これで全部だね。買い忘れとかないよね?」
二海に確認をしようと視線をあげると、遠くにある物品コーナーを見つめていた。
二海、もしかして新作のバッシュ気になるのかな?
「新作のバッシュ、見てくれば?」
「!?・・・いいのかよ」
驚いたように私を見たあと、少し遠慮気味に口を開く。
二海の事だ、早く戻らなきゃとか思って遠慮してるんだろう。
「いいよ。私、少し休みたいし。ベンチに座って休憩してるから」
「サンキュー!」
パァっと表情を明るくしながら、シューズコーナー目掛けて入っていく二海。
あんなにキラキラした目で何かをしてる二海、初めて見たな。
そんなことを思いながら、二海を待つために手頃なベンチを探した。
だけど、店内にはめぼしいものはなかった。
外に行くしかないか。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

「史上まれにみる美少女の日常」
綾羽 ミカ
青春
鹿取莉菜子17歳 まさに絵にかいたような美少女、街を歩けば一日に20人以上ナンパやスカウトに声を掛けられる少女。家は団地暮らしで母子家庭の生活保護一歩手前という貧乏。性格は非常に悪く、ひがみっぽく、ねたみやすく過激だが、そんなことは一切表に出しません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる