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第72話

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それから、シュートの決定率で二海と争ったりしながら球技大会へ向けての練習が続いた。



そして、球技大会当日。



私達は決勝戦までコマを進めた。



相手は3年生のチームでバスケ経験者も多い優勝候補。



点の取り合いが続き、同点のままラスト10秒を切った。



このままじゃ、引き分けだ。



そう思っていた時。



「辻本!ボール!!」 



二海が私に向かってボールを寄越すように手を上げる。



「っ・・・二海!」



他に打つ手がない状態だったのでボールをパスする。



私のパスで、無事に二海の手にボールが渡った。



だけど、二海はゴールから遠く離れた位置にいる。 



それなのに、シュートの構えをして、ゴールへとボールを投げた。



ピピーッ!!



笛の音が鳴り響くなか、ボールはリングの中へと入った。



ブザービートが決まり、私たちのチームに点数が加算される。



「よっしゃあ!!」



チームの全員が二海に飛びかかり、頭を撫で始める。



もみくちゃにされながら嬉しそうに笑っている二海が見えた。



それを見た瞬間、ドキッと心臓が高鳴る。



二海のやつ、また・・・ブザービートした。



「勝ったぞ!辻本!」



「うん、ナイスシュート」



どちらからともなく、ハイタッチをする。



さすがはバスケ部、ここぞって時は決めてくれるんだな。



「ちなみに得点は俺の方が多く稼いだからな。全国出場経験者」



「なっ、私だって数えてたけど最後のブザービート分しか違わないじゃん!」



「1点差でも勝ちは勝ちで~す」



べーっと舌を出しながら、勝ち誇ったようにドヤ顔をしている二海。



さっきまでのあどけない笑顔はどこいったんだ。



「おい、同じチームなのに争うなっつーの!」



チームメイトにつっこまれ、大人しく引き下がる。



「さ、表彰式だぞ。並べ並べ」



彼に背中を押されながら整列すると、すぐに表彰式は始まった。



バスケは私達、2年A組が優勝。



バレーは3年生が優勝、ソフトボールは1年生が優勝。



総合優勝は3年生になり、トロフィーと表彰状を受け取る。



お祝いムードの中、その場は解散となった。


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