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第61話
しおりを挟む翌日。
今日も今日とて練習試合をしている。
もうそろそろ大会が近いからなんだろうけど、毎週のように練習試合が組まれていた。
1人でボトルを作り、みんなの元へ持っていく。
そういえば、今回も二海の催促がなかったな。
「お待たせしました。ボトルです」
カゴを持ち、部員全員にボトルを渡していく。
「なぁ、ボトルくれよ」
タオルで汗を拭きながら声をかけてくる人がいた。
振り返るとそこには二海の姿が。
催促に来ないと思ったのに、順番に渡すの待ってられなかったの?
「今日は全部私が作ったから不味いモンばっかですよーだ、残念でした~!」
「・・・知ってる」
ボトルを渡しながら嫌味を言うと、ボソッと何かを呟いてボトルを受け取る二海。
知ってるって・・・なにが?
ハテナを浮かべながら二海がドリンクを飲むところを見つめる。
なんだかんだ言って、二海って私が作ったドリンク飲むんだよね。
由紀が渡したドリンク飲んでるの、1回ぐらいしか見た事ないし。
前も私1人で作ってる時は催促に来なかったし。
まさか、私の作るドリンク気に入ってるとか・・・?
いや、ないか。
だとしたらわざわざ不味いなんて言わないもんね。
「休憩挟んだら練習試合な。体冷やすなよ!」
茂木先輩がドリンクを置きながらみんなに声をかける。
練習試合か、だとしたらビブス準備しなきゃ。
そう思ってビブスの枚数を数えるけど、2枚ほど足りない。
さっき用意したと思ってたんだけどな・・・。
仕方がない、体育準備室に取りに行くか。
「茂木先輩、ビブス足りないのでちょっと取ってきます」
「え?ちょっと前に由紀ちゃんが取りに行ったはずだよ」
茂木先輩に声をかけるけど、もう既に由紀が取りに行ったみたいだ。
だけど、由紀の姿は見当たらない。
由紀のことだから早くに気付いて取りに行って戻ってきててもおかしくないはずなのに。
「・・・それにしても由紀ちゃん遅いな。茉弘ちゃん、悪いんだけど様子見てきてくれる?」
「分かりました」
茂木先輩の言葉に返事をしたあと、体育準備室に向かった。
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