上 下
57 / 170

第57話

しおりを挟む

体育館につくなり、茂木先輩が私達の所に駆け寄ってきた。



「良かった、ちょっとお願いがあるんだ」



「おねがい?」



私達の近くに来た茂木先輩のお願い。



心当たりがない私は首を傾げた。



「物品の買い出しをお願いしたいんだ。1人はボトルを作る係として残ってもらいたいんだけど・・・」



うーんとうなりながら茂木先輩が口を開く。



備品の買い出しか。



最近少なくなってるもの多かったからな。



「なら、私が行きます。茉弘はボトル作って」



「わかった、気を付けてね」



茂木先輩の言葉に立候補する由紀。



その言葉に、素直に頷いた。



「由紀ちゃんありがとう。買うものはこのメモに書いてあるから」



「わかりました」



先輩からメモを受け取ると、そさくさと買い出しの準備を始める由紀。



「だけど、お店がある周辺は治安が悪いし1人じゃ心配だよね・・・うーん・・・」



そういうとうーんとうなり始める茂木先輩。



確かにこの近くって治安あんまり良くないイメージだけど・・・そこまでかな?



過保護な気もするけど・・・。



「・・・そうだ、二海。一緒に買い出し行ってくれるかな。気分転換も兼ねて」



「え、俺?」



白羽の矢が立ったのは、ボールを磨いていた二海だった。 



突然名前を呼ばれ、キョトンとした表情を浮かべる二海。



「二海くん、手伝ってくれる?荷物も多くなりそうだし、手伝ってくれると嬉しいんだけど」



由紀が二海のことを見つめながら少しだけ首を傾げ、お願いをする。



こんなに可愛らしくお願いされたら断れないんじゃない?ってぐらい可愛いお願いの仕方だった。



「いや、遠慮します。最近スランプ気味なんでさすがに練習しねぇと」 



だけど、二海から帰ってきた返答はNO。



「・・・・」



由紀の方を見ると、少しだけわなわなと震えているようだった。



どうかしたのかな?



「そうだよね・・・じゃあ、俺が行くよ。さすがに荷物も多いし」



そういうと、茂木先輩は自ら名乗りを上げた。



「いえ、大丈夫です。茂木さんも練習ありますし、1人で行ってきます」



由紀は、少し冷たく感じる口調で茂木先輩の申し出を断った。



由紀、なんか変・・・?



「・・・そう?じゃあ、お言葉に甘えてお願いしようかな」



茂木先輩は由紀の態度は気にも止めて無い様子で、買い出しに行こうとする由紀を見送る。



私は、由紀の態度が少し引っかかりつつもボトルを作りに外へ出た。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

家政婦さんは同級生のメイド女子高生

coche
青春
祖母から習った家事で主婦力抜群の女子高生、彩香(さいか)。高校入学と同時に小説家の家で家政婦のアルバイトを始めた。実はその家は・・・彩香たちの成長を描く青春ラブコメです。

僕達の日常

青春
ある学園のある少年達が送る いつもの日常の光景... 基本ギャグを目指して頑張ります!

かのじょにせつなき青春なんてにあわない~世界から忘れられた歌姫を救いだせ~

すずと
青春
「あなただけが私を忘れてくれなければ良い。だから聞いて、私の歌を」  そう言って俺の最推しの歌姫は、俺だけに単独ライブを開いてくれた。なのに、俺は彼女を忘れてしまった。  大阪梅田の歩道橋を四ツ木世津《よつぎせつ》が歩いていると、ストリートライブをしている女性歌手がいた。  周りはストリートライブなんか興味すら持たずに通り過ぎていく。  そんなことは珍しくもないのだが、ストリートライブをしていたのは超人気歌手の出雲琴《いずもこと》こと、クラスメイトの日夏八雲《ひなつやくも》であった。  超人気歌手のストリートライブなのに誰も見向きもしないなんておかしい。  自分以外にも誰か反応するはずだ。  なんだか、世界が彼女を忘れているみたいで怖かった。  疑問に思った世津は、その疑問の調査をする名目で八雲とお近づきになるが──?  超人気歌手だった彼女とその最推しの俺との恋にまつまる物語が始まる。

〖完結〗では、婚約解消いたしましょう。

藍川みいな
恋愛
三年婚約しているオリバー殿下は、最近別の女性とばかり一緒にいる。 学園で行われる年に一度のダンスパーティーにも、私ではなくセシリー様を誘っていた。まるで二人が婚約者同士のように思える。 そのダンスパーティーで、オリバー殿下は私を責め、婚約を考え直すと言い出した。 それなら、婚約を解消いたしましょう。 そしてすぐに、婚約者に立候補したいという人が現れて……!? 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話しです。

春と夜とお風呂の帝国

吉野茉莉
青春
女の子が夜に散歩して出会った女の子と他愛もない話をする話です。(文庫本換算60Pほど) ふんわりしつつやや不穏な感じの会話劇です。 全9話、完結まで毎日更新されます。

染谷君は知らない滝川さんはもっと知らない交差するキュンの行方とその発信源を

黒野 ヒカリ
青春
モテる女子滝川杏子は日々告白にやってくる男子やストーカー紛いな男子達に悩まされていた。 この今の状態を抜け出す為考えたのは偽装の彼氏を作る事だった。 そのターゲットにされたのは同じクラスのオタク染谷賢一であったが何故かすれ違う二人はどうなる事やら……

SECOND!!

雨愁軒経
青春
その偏見を蹴り飛ばせ!青春キックボクシングストーリー! 高校二年の二月。留年の危機に直面していた川樋葵は、『蹴り姫』と呼ばれる天才キックボクサー・羽付兎萌と出会う。 事故によって左足を怪我しながらも誇り高い彼女は、葵の事情を聞くと、ニヤリと笑った。 「三月までなんて、いらないわ。――どう、私にノってみない?」 留年撤回の条件は、年度内に部活で結果を出すこと。 教師の罠、立ちはだかるチャンピオンに恋敵……葵は無事、留年を蹴り飛ばすことができるのか!

同僚に密室に連れ込まれてイケナイ状況です

暗黒神ゼブラ
BL
今日僕は同僚にごはんに誘われました

処理中です...