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第37話
しおりを挟む次の日、目が覚めると違和感に気付いた。
すごくお腹が痛い。
それに、腰も重いしだるい感じがする。
トイレに駆け込むと、案の定だった。
「今月も来たか・・・」
ハァ・・・とため息をついた。
私は人と比べてかなり重い方だった。
お腹は痛いわ、気持ち悪くなるわ、頭は痛いわで散々なのだ。
この状態で学校行くのか・・・しんどいな。
そんなことを考えながら、支度をして家を出た。
歩くのも結構しんどいな・・・でも、家出ちゃったし、今更家に帰って休む訳にも行かない。
そんなことを考えて、ひたすら駅までの道のりを歩いていく。
やっとの思いで着いた駅・・・だけど思ったより時間がかかったのか、もう電車が来ていた。
急いで電車に乗り込み、空いてる席を探す。
だけど、混んでいて空いてる席は全くなかった。
まぁ、この時間で席が空いてるなんてほとんどないもんな。
そう考えながら、お腹を押さえて手すりに捕まる。
学校まで立ってられるかな。
「辻本」
そんなことを考えていた時、左隣から声をかけられる。
横をむくと、そこには二海が端の席に座っていた。
二海のやつ、席座れたんだ。
「・・・・・・」
「・・・なに?」
私のことをじっと見つめる二海。
そんな彼の視線に耐えられなくなり聞き返す。
だけど二海は口を開かずに私の顔を見続けた。
「・・・俺、ケツいてぇから立つわ。お前座れば」
「え?」
そういうと、二海はスクッと立ち上がり私に席を譲ろうとする。
座れるのはありがたいけど・・・なんで急に?
「私がいつも同じ場所であんたに突っ込んでくからそれを阻止するためだったりして」
痛むお腹を押さえながら立ち上がった二海の顔を見て煽り返す。
「そんなことどうでもいいから早く座れよ。他のやつが座っちまうだろ」
だけど、二海は言い返さずに席に座るように急かした。
彼の言う通りに腰掛けると、二海は私の座った席に寄りかかるようにして立つ。
お腹はまだ痛いけど・・・立ってるよりかははるかに楽だ。
だけど、こんなに柔らかい素材の座席なのにおしり痛くなるなんてありえる?
・・・もしかして、私が具合悪いの気付いて譲ってくれたとか・・・?
「ありがと、二海」
「・・・別に、ケツいてぇから立っただけだっつの」
フィッとそっぽを向きながらつっけんどんに答える二海に、私は思わず微笑んでしまった。
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