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第6話

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「え~、次は山崎だな」



「あっ・・・はい・・・」



二海と言い合いをしていると、自己紹介もだいぶ進んだらしく、あと数人で終わるところまで来ていた。



今は去年同じクラスだった、内気で大人しくて・・・オタク?って呼ばれてた山崎優(やまざき ゆう)くんが自己紹介してるみたい。



「えとっ・・・や、山崎・・・優・・・です」



「聞こえませーん」



俯いて喋っているせいか、すぐ近くの席の男子に冷やかされている。



その冷やかした男子、私より近い席のはずなんだから私に聞こえてるのに聞こえないわけないじゃん。



しかもあの男子・・・去年も同じクラスで何回止めても山崎くんのことからかったりいじめてた奴じゃん!



「や、山崎──」



「ぜぇんぜん聞こえませーん。ちゃーんと喋ってくださーい」



山崎くんの言葉を聞きもせずに冷やかす男子。



本当、タチ悪い・・・こういう男子を見てると虫唾(むしず)が走る。



「山崎くんの声、私にも聞こえてるんだけど。そんなに近い所にいて聞こえないなんて、随分耳が遠いんじゃない?耳鼻科にでも行ってくれば?」



ついに耐えきれずに言わずに我慢していた言葉が口に出てしまった。



私の言葉を聞くなり、ガンッと後ろの席の机に椅子をぶつけながら立ち上がり、険しい表情で私の席まで近付いてくる。



「誰の耳が遠いって・・・?あぁ!?辻本ぉ!!」



私の胸ぐらを掴みあげ、ドスの効いた声で怒鳴りつける。



正直、ただ声を荒らげているだけで全然怖くない。



むしろうるさいだけだ。



「あっ・・・辻本さん・・・・・・!せ、先生・・・!」



山崎くんが私のことを見て慌てて先生に助け舟を求めるも、先生はそれを見て見ぬフリ。



荷物をまとめ教室から立ち去った。



男子のいざこざを放任している先生だけど、まさか仮にも女子の私に手を上げそうになっても我関せずですか。



腐ってんな、この先生。



「去年からつくづく思ってたがよォ・・・女ごときが俺がすることにゴチャゴチャと指図してんじゃねぇぞ。優等生ぶって調子に乗りやがってよぉ・・・!ぶっ殺すぞクソアマァ!!」



胸ぐらをさらに強く握りグイッと上に引き上げ、お互いの鼻がつきそうになるまで顔を近付けられる。



近い近い、うるさいうるさい。



嫌悪感にも似た感情がフツフツと込み上げ、目の前にいるやつをぶん殴りたい衝動に駆られる。


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