3 / 170
第3話
しおりを挟む2年の教室は2階から3階。各学科事に分かれてる。
私の選択科目は、2階にある機械科。
二段飛ばしで階段を駆け上がり、機械科、2-Aと書かれた教室にたどり着くと、大きな音を立てて教室のドアを開けた。
「うおっ!?びっくりした。辻本か・・・。優しく開けろよな~。扉壊れるぞ~」
見知った顔の男子が後ろを向きながら注意してくる。
同じクラスなのか。
「今日すごくイライラしてんの!大目に見て!」
「なんだなんだ~?ピリピリしてんな~。さては痴漢と勘違いされたか~」
「んなわけあるかっ!!」
近くにいた男子の冗談をムキになって返しつつ、張り出された自分の席の場所を探す。
窓際から3番目の列の後ろから3番目。
なんて中途半端な位置。
一瞬そんなことを考えたが、正直新学期早々に色々なことがありすぎてクタクタな私は、机に荷物を置いたあとすぐに机に突っ伏した。
・・・家に帰りたい・・・死ぬほど家に帰りたい。
「ふふふ。おはよう、茉弘。今日は朝から随分とピリピリしてるわね」
声をかけられて顔を上げてみると、セミロングヘアーの清楚系美少女で有名な機械科のマドンナ、三島 由紀(みしま ゆき)が微笑みながら私の席の近くの席に腰掛けていた。
由紀は1年生の球技大会の時に仲良くなった、誰にでも優しくて頭のいいパーフェクトなザ・モテ女子と言ってもいいほど男子からモテる子だ。
まぁ、元々私の通う高校は工業高校だから女子率はそうそう高くないってのもあるんだけど・・・凄くモテる。
とにかくモテる。
「だってさ~!!今日電車で来たんだけどその時の奴がもうムカついてムカついてしかたないんだもん!!」
私は、怒りのままに今日起こったこと、その人に言われた暴言の数々、その人がこの学校の制服を着ていて、それなりに顔が整っていたことをすべて洗いざらい吐き出す。
すると、由紀はうーんとうなりながら考え込んでしまう。
「うちの高校の制服着てて、無駄に整った顔したサラ艶な茶髪のイケメン。心当たりあるんだけど、それいうと茉弘帰るって言いかねないし・・・」
「え?・・・な、なんで?」
嫌な予感がする。
否、嫌な予感しかしない。
「いや、なんでって・・・だってその人、私達と──・・・」
ガラッ。
由紀が何かを言おうとしていた時、私が強く締めたはずの扉が再び開いた。
しかもそこには、私が心底イラついているサラ艶の茶髪男子が立っていて──・・・。
「私達と、同じクラスだもん」
・・・・・・は?
一瞬思考が止まり、私と由紀の間に沈黙が流れる。
ちょっと待って。こんなやつと同じクラスとか嫌なんだけどっ、絶対嫌なんだけど!!
「冗談じゃないっての!」
ついつい大声を出してしまうと、ドアを開けて立ち尽くしていた嫌~な奴が私のことを見て少し目を見開いたあと、口パクでこういったのだ。
『 大 声 イ ノ シ シ 女 』と。
「っ!?マジでありえないっ!」
バンッ!と机を叩き、その性悪男に向かって怒鳴り散らす。
本っ当、こいつムカつくっ・・・!!
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

「史上まれにみる美少女の日常」
綾羽 ミカ
青春
鹿取莉菜子17歳 まさに絵にかいたような美少女、街を歩けば一日に20人以上ナンパやスカウトに声を掛けられる少女。家は団地暮らしで母子家庭の生活保護一歩手前という貧乏。性格は非常に悪く、ひがみっぽく、ねたみやすく過激だが、そんなことは一切表に出しません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる