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第3話
しおりを挟む2年の教室は2階から3階。各学科事に分かれてる。
私の選択科目は、2階にある機械科。
二段飛ばしで階段を駆け上がり、機械科、2-Aと書かれた教室にたどり着くと、大きな音を立てて教室のドアを開けた。
「うおっ!?びっくりした。辻本か・・・。優しく開けろよな~。扉壊れるぞ~」
見知った顔の男子が後ろを向きながら注意してくる。
同じクラスなのか。
「今日すごくイライラしてんの!大目に見て!」
「なんだなんだ~?ピリピリしてんな~。さては痴漢と勘違いされたか~」
「んなわけあるかっ!!」
近くにいた男子の冗談をムキになって返しつつ、張り出された自分の席の場所を探す。
窓際から3番目の列の後ろから3番目。
なんて中途半端な位置。
一瞬そんなことを考えたが、正直新学期早々に色々なことがありすぎてクタクタな私は、机に荷物を置いたあとすぐに机に突っ伏した。
・・・家に帰りたい・・・死ぬほど家に帰りたい。
「ふふふ。おはよう、茉弘。今日は朝から随分とピリピリしてるわね」
声をかけられて顔を上げてみると、セミロングヘアーの清楚系美少女で有名な機械科のマドンナ、三島 由紀(みしま ゆき)が微笑みながら私の席の近くの席に腰掛けていた。
由紀は1年生の球技大会の時に仲良くなった、誰にでも優しくて頭のいいパーフェクトなザ・モテ女子と言ってもいいほど男子からモテる子だ。
まぁ、元々私の通う高校は工業高校だから女子率はそうそう高くないってのもあるんだけど・・・凄くモテる。
とにかくモテる。
「だってさ~!!今日電車で来たんだけどその時の奴がもうムカついてムカついてしかたないんだもん!!」
私は、怒りのままに今日起こったこと、その人に言われた暴言の数々、その人がこの学校の制服を着ていて、それなりに顔が整っていたことをすべて洗いざらい吐き出す。
すると、由紀はうーんとうなりながら考え込んでしまう。
「うちの高校の制服着てて、無駄に整った顔したサラ艶な茶髪のイケメン。心当たりあるんだけど、それいうと茉弘帰るって言いかねないし・・・」
「え?・・・な、なんで?」
嫌な予感がする。
否、嫌な予感しかしない。
「いや、なんでって・・・だってその人、私達と──・・・」
ガラッ。
由紀が何かを言おうとしていた時、私が強く締めたはずの扉が再び開いた。
しかもそこには、私が心底イラついているサラ艶の茶髪男子が立っていて──・・・。
「私達と、同じクラスだもん」
・・・・・・は?
一瞬思考が止まり、私と由紀の間に沈黙が流れる。
ちょっと待って。こんなやつと同じクラスとか嫌なんだけどっ、絶対嫌なんだけど!!
「冗談じゃないっての!」
ついつい大声を出してしまうと、ドアを開けて立ち尽くしていた嫌~な奴が私のことを見て少し目を見開いたあと、口パクでこういったのだ。
『 大 声 イ ノ シ シ 女 』と。
「っ!?マジでありえないっ!」
バンッ!と机を叩き、その性悪男に向かって怒鳴り散らす。
本っ当、こいつムカつくっ・・・!!
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