男子中学生と宇宙イモムシ

マジカル博士

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宇宙イモムシとの出会い

外の世界と脱皮

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スキャくんが入った虫かごを持ち、玄関から外に出る。
「おい!かごを激しく揺らすな!酔う!」
「悪い悪い。」
それからはもうスキャくんのリアクションが凄かった。空を見れば、
「白い綿が浮いている…おいしそうだな。」
「あれは雲っていって水蒸気の塊みたいなものだがら食べられないよ。」
道路を見れば、
「灰色の地面…なにで出来ているんだ?」
「アスファルト。」
自動車を見れば、
「あの巨大な体であれだけの速度が出るとは…あの化け物はなんなんだ?」
「自動車っていう乗り物で生物ではないよ。」
信号機を見れば、
「赤と緑の光が一定の間隔で光っている…なぜ光るのだ…?」
「電気で光っているんだよ。」
踏切と電車を見れば、
「なんだこの不協和音は!そしてあんな巨大で長い奴はなんなんだ!」
「まぁ…人によっては嫌な音に聞こえるね。小学生の時、赤ちゃんが踏切の音を聞いて泣き喚いていたし。」
学校を見れば、
「ずっと思っていたがあんな巨大な建造物をどうやって建てたのだ…?」
「…それは俺もちょっと分かんない。」

帰宅後
「タイチ!我はこの惑星に興味を持ったぞ…!」
「あぁ、ありがとう。」
「あと、腹が減った。肉をくれ。」
「あいよ。」

そして、夜になった。
「…」
「どうした?スキャくん。夜空を眺めて。」
「この惑星の夜空は綺麗だな。」
「そうか?」
「…(輝きの眼差し)」
「…思ったんだが、お前はなんで自分が宇宙から来たって知ってるんだ?あと、なんでメト…なんだっけ?えと、自分がいた銀河がメトなんとか銀河って知っているんだ?」
「生まれた時からそういう知識を持っているのだ。」
「そうなのか。あと、なんで日本語が通じているんだ?」
「テレパシーを使うと自動的にその惑星の言語に対応されるのだ。」
「へぇ…便利だな。あ、風呂入ってくる。」
「…分かった。」

■□■□■□■□■□■□■□■□■□

…我はどこから来たか。
生まれながら持っていた知識。
テレパシーという生まれながら持った能力。
………
この惑星は争いがなく平和だ。
メトロノス銀河ではいつも争いが起きていて
平和なんてなかった。
………
この惑星にいたほうが我の生存率も上がる。
食糧には困らない。
………
「…アマノガワ銀河、いいかもな。」

■□■□■□■□■□■□■□■□■□

「出たよー」
風呂から出て体を拭き、服を着て部屋に戻る。
「戻ってきたか。」
「うん…なんかお前ちょっと震えてね…?」
「なぜか体が痒いのだ。」
「体のどこが痒いんだ?」
「全身だ。」
「うーん、マジか。」
「それに変な感覚だ。」
「変な感覚というと?」
「なにか薄いものが体を覆っている、みたいな感じだ。」
「脱皮じゃん。エイリアンとはいえ虫だから脱皮するんだな。」
「ダッピ…?」
「脱皮知らないのか。」
確信を得る為スキャくんの背中を軽く摘んだ。
「…?」
「やっぱり脱皮だな。」
薄く古い皮がスキャくんを覆っている。
皮を摘むと古い皮がはっきり見えた。
「ダッピとはなんだ?」
「古い皮を脱ぎ捨てることだよ。」
「…?」
そして、俺はスキャくんを脱皮させる為…
「ちょっと失礼。」
「!?おい待て!その刃物はなんだ!」
「ハサミ。古い皮を切らせてね。」
「おい、待っ…」
チョキ。
「ああああああああああああ!!!!!!」
「うるせ。大丈夫、なんともないよ。」
「……?なんともない。」
「なんともないって言ってるじゃん。とにかく古い皮を切って頭のほうの皮を裂いたからそこから脱皮して。」
「…こ、こうか?」
「そう!その調子!」
「お~…なんだか気持ちいいな…」
「どんな感覚なんだ…?俺達は人間だから脱皮とかしないんだよな。」

「ふう…」
「お!上手に脱げたな!」
「これが我の古い皮か…」
「コレクションにするか!」

「今日は疲れたな。寝るか。」
「睡眠か。我もそろそろ…眠たく…なって…き……」
「……?」
どうやら言っている途中で寝てしまったようだ。
寝顔も可愛いな。キュピィ~、キュピィ~と寝息をたてている。俺も眠いしアポッターを見たら寝るか。

■□■□■□■□■□■□■□■□

「キュピィ…キュピィ………む。」
夜中に目が覚めた。あの明るい部屋はすっかり暗くなっていた。窓の向こうにはこの惑星の衛星がぽつんと浮かんでいる。ふと、疑問が浮かぶ。

なぜ、この惑星の人々はこんなにも優しいのか。

我が知っている人々は我を見つけただけで攻撃してくる…そんな奴等だった気がする。
………なぜだ。
なぜ、我がそんなことを知っているんだ。
………
攻撃してくる理由はただ一つ。
正当防衛だ。我が奴等を糧にするからである。
そう、正当防衛。
………
なぜ、我は

そんなことを知っている?

……………
何かが、鮮明に思い出しそうになっている。
とても、嫌な記憶。
「……」
ザッ
「?!」
一瞬、激しい頭痛が走った。
そして、それと同時にナニカを思い出した。
………
思い出したくない。
…なぜだ?
なぜ、そんなものが記憶にあるのか?
もう、寝よう。

■□■□■□■□■□■□■□■□

次の日
なんだか、スキャくんの元気がない。
「なんか怖い夢でも見たのか?」と聞いたら「なんでもない。」だそうだ。なんなんだろうか?
そうだ。今日は学校だ。初めて中学校で授業を受ける日だ。学校の準備をしよう。

次回に続く。
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