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現界ノ章:SECTION2『ルメリア襲来編』
EP:SOWRD 025 アパート前攻防戦
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「来て、アイリス」
蓮花は永絆の手を包んでいた片方の手のひらで愛剣を顕現させ、片手でそれを構えるとすぐに魔気を通わせ、剣能を発動させる。
「剣能発動——『斬り霧の舞』」
途端、渦を巻く鋼鉄が切っ先目掛けて光を通わせ、濃度の高い霧が放たれる。
そして瞬く間に蔓延してゆく濃霧は、ドラゴンの群れに襲い掛かる。
一体、また一体と、まるで生き物のようにうごめく斬撃に侵されて悲鳴を上げ、反撃の意思を火球に乗せて永絆たちに放つ。
だが霧の影響か、放たれた火の玉は次々と明後日の方向へと飛んで行く。
「イイ感じだ。その隙に、私も……!」
限りなく全身に力を込め、目を閉じると同時に感覚を研ぎ澄ます。すると、まるでGPSが機能しているかのように、別の魔気の反応が愛火の現在地を指し示した。
「アパート横の瓦礫の山……そこに居るのか、愛火さんっ!」
目的地が分かれば、後は動くだけ。
永絆は残りの魔気でヴァージをコントロールし、愛火が待つ瓦礫の山へ急降下する。
「ナズ姉! 十時の方向から二体迫ってくるよ!」
「十時ってどの方角だ!?」
「斜め左前!」
「ってことは——」
霧のトンネルを駆け抜ける最中、敵もまた不可視の霧から姿を晒す。
青と紫の竜が今まさに、長大な爪を振り上げていた。
「クソッ!」
思わず悪態をつく永絆に、蓮花は「大丈夫」と言い、
「アイリス!」
愛剣にさらなる魔気を通わせて、より一層密度の濃い斬霧を放つ。
その応戦により、二つの爪が下る勢いが微かに弱まった。
「あとは、気合っ!」
言った通り、振り下ろされた爪に蓮花は真っ向から剣身を拮抗させて挑む。
「蓮花!」
「大丈夫! ほんの少しなら時間は稼げる!」
刹那の攻防。しかしそれでも蓮花にかかる負荷は相当な筈。これに永絆が応えない訳にはいかない。
剣と爪の拮抗が足場であるヴァージの前進によって終局し、今度は火炎放射でも放たんと口を開けているドラゴン二匹を置き去りにしたのち、二人は愛火が囚われている瓦礫の山へと辿り着く。
「ヴァージ!」
名前を呼ぶや否や、それに呼応して黒い大剣は切っ先から赤い雷光を放ち、瓦礫の山を吹き飛ばす。
この時点で永絆は魔気の注力を再びヴァージに戻し、また、愛火との邂逅も果たす。
「永絆ちゃんっ!」
残滓する雷光と瓦礫の破片に囲まれて立っている愛火の生存を確認した永絆は、蓮花とハイタッチして次なる行動に移る。
「愛火さんはアイスピックで、蓮花は引き続きアイリスで、それぞれ近くのドラゴンをぶった斬ってくれ!」
愛火は「分かったわ」と返事した直後、アイスピックで『一突連閃』による攻撃を始めた。
瞬く間に無数の閃光が迸り、彼女の近くに居た橙色の竜が消滅する。
「ナズ姉はどうするの?」
蓮花は、背後より火球を放とうとしている二体の竜にアイリスの切っ先を向けて問うた。永絆は舌なめずりし、
「私か? まあ、そうだな。折角、魔気をふんだんに使える状態に戻ったことだし——」
そしてヴァージの剣身を片足で踏み、ニヤリとして言った。
「スカッと殲滅してやらぁ!」
「りょーかい!」
それが合図であるかのように、二人は背中合わせになって一斉に砲撃を行った。
永絆は今しがた眼前に現れた赤と黄の鱗を纏う竜めがけて、その背後に立つ蓮花は彼女から真正面で炎を吐き出した藍と紫の竜に向けて。
獰猛で血の色に瞬く竜影を、斬撃の濃霧を、同時に放ったのだ。
二つの砲撃は蝶の羽のように左右で炸裂した。赤黒い雷光は爆ぜ上がり赤と黄の竜を丸ごと飲み込み、濃密な霧は藍と紫の竜に深い斬撃を刻み込んだ。
計四体の竜は、数秒も経たないうちに跡形も無く消失。雷鳴と霧の衝撃を残し、六体の竜の駆逐は成功した。
「……」
だが、窮地を脱したにもかかわらず、永絆は釈然としない表情を浮かべていた。
蓮花と共に瓦礫が散らばる地面に降り立ち、永絆は剣を突き立てて周囲を見渡す。
「どしたの? ナズ姉」
蓮花も訝しげな顔つきになって聞く。永絆は「いや」と顎に手を当て、
「今私達が倒したドラゴン……全部で六体、それぞれに色があった。あれって虹が一色ずつ分かれてんかなと思ったけど、だとしたら緑色の奴が居た筈なんだよ」
魔獣は元々異世界における下位魔剣から生じ、魔気に釣られる本能的な生物。
つまりは、異世界の産物であり、モチーフとなっただろう虹色もしくは虹に関しては、向こうの世界で言えば緑だけを抜いた六色だけということもあり得る。
実際に、この世界においても国や大陸によっては色の種類、数は違っている。
しかし、だとしても腑に落ちないのは何故だろうか。
「良かったわぁ、二人共無事で」
そうこう思案していると、愛火も二人と合流した。彼女の無事を喜びたい気持ちを抑え、永絆はふと思い浮かんだことを口にする。
「愛火さん、今の奴らも魔獣の一種なんですか?」
既に脳裏に浮かんでいる仮説と執拗にチラつく過去の場面。
そして愛火が放った答えが、散らばっていた断片を繋がらせる。
「今のは『使い魔』だと思うわぁ。それも、『もし術士が本気になっていたら物凄く厄介だった』レベルのね」
「————」
使い魔という言葉。まるでその術士が本気ではなかったというイントネーション。
そして何より、わざわざこのタイミングで永絆たちに向けて使い魔を放つような存在と、本来なら七体居たであろう竜が六体しか居なかった理由——もっと言えば、『なぜ緑色の竜がこの場に居なかったか』。その理由を、永絆は胸を張って説明できる。
何せ、
「何せ、そいつはターチスが焼き殺してくれたもんなぁ……私が魔剣を握ってすぐに襲ってきた、あのエメラルドカラーのドラゴン様はよぉ」
脳内で再生される少女の怒声。
ほんの少しの短い時間しか対峙していないというのに、もはやトラウマ並みに耳に焼き付いている声音。
「——ルメリアだ。あのドラゴン共に私達を襲わせたのは、『節制』の大剣霊、ルメリア・ユーリップだ」
そう断言した永絆に、蓮花は驚きの声を上げる。
「ルメリアって……え! もしかしてあいつ、もう復活を!?」
「いや、愛火さんが言ったように、術士は本領を発揮していなかった。けど、それはしていなかったんじゃなく、出来なかったんだろう。アイツのことだ……力が完全に戻り次第、容赦なく私達を始末するか、そんなことをする以前に愛しのターチスを連れて向こうの世界に戻るんじゃねぇかな」
「じゃあ、今のは——」
「強迫、みたいなもんだろ」
永絆の予想に、蓮花は息を飲んだ。
一方で、愛火もまた状況を理解している様子で永絆に聞く。
「あなた達の記憶を垣間見た時に、ルメリアのことも把握したけど……『剣ノ刻限』を使ったかそうじゃないかがここまで違うなんて」
「確かに、アパート前と学校と、ターチスは二度もあの結界を展開してたけど、ルメリアはただの一度も発動させてはなかった……あれ、でも結果は愛火さんも発動出来てましたよね?」
「あれは『剣ノ刻限』であってそうじゃないの。異世界から無理やり持ち帰ってきた戦利品、とでも言うのかしら」
「つまり、結界自体は大剣霊以外でも発動が出来る、と……?」
「概ねそんなところかしら。条件が整えば、人間でも魔剣術士や錬成術士、聖導術士なんかであれば、魔獣術士、魔器術士とかよりはずっと——」
愛火の口から出た聞き慣れない単語を疑問に思い、続いて彼女がなぜそこで言葉を区切ったのかについて気を取られていると、
「ナズ姉ッ!」
傍に居た蓮花に突き飛ばされ、仰向けで地面に倒れてゆく。
「——ッ!」
見上げた先に映っていたのは、突如現れた『黒い氷』と無数の光の刃が互いに互いを相殺し合っている光景だった。
おびただしい数の衝撃と轟音に目と耳がやられ、永絆を庇ってくれた蓮花も一緒に倒れ込む。
「蓮花……!」
なんとか彼女の下敷きになることが出来た永絆は、改めて頭上に視線を張り巡らせ、右端に愛火を、そして左端に何かを確認する。
それは、どこまでも透き通った、クリスタルのような巨大な結晶だった。近くで見れば、思わずため息の一つでも吐いてしまいそうな美しさ。
その表面に、彼女の姿が映っていなければ、永絆もそうしていただろう。
その姿を目にし、一瞬たりとも視線を逸らさないように睨みつけながら、永絆はゆっくりと立ち上がって蓮花に手を差し伸べる。
「……噂をすれば何とやらってやつだ」
「うん……」
そうして永絆は立ち上がった蓮花の手を繋ぎながら、眼前に佇む結晶に映っている少女を対峙する。
対し、少女は結晶の表面に映る顔を盛大に歪ませて言った。
「さっきぶりですねぇ、このクソ女狐共——今ここで、ルメがこの都市諸共お前らを消し炭にしてやるよッ!!」
――白い怪人が、嗤う。
蓮花は永絆の手を包んでいた片方の手のひらで愛剣を顕現させ、片手でそれを構えるとすぐに魔気を通わせ、剣能を発動させる。
「剣能発動——『斬り霧の舞』」
途端、渦を巻く鋼鉄が切っ先目掛けて光を通わせ、濃度の高い霧が放たれる。
そして瞬く間に蔓延してゆく濃霧は、ドラゴンの群れに襲い掛かる。
一体、また一体と、まるで生き物のようにうごめく斬撃に侵されて悲鳴を上げ、反撃の意思を火球に乗せて永絆たちに放つ。
だが霧の影響か、放たれた火の玉は次々と明後日の方向へと飛んで行く。
「イイ感じだ。その隙に、私も……!」
限りなく全身に力を込め、目を閉じると同時に感覚を研ぎ澄ます。すると、まるでGPSが機能しているかのように、別の魔気の反応が愛火の現在地を指し示した。
「アパート横の瓦礫の山……そこに居るのか、愛火さんっ!」
目的地が分かれば、後は動くだけ。
永絆は残りの魔気でヴァージをコントロールし、愛火が待つ瓦礫の山へ急降下する。
「ナズ姉! 十時の方向から二体迫ってくるよ!」
「十時ってどの方角だ!?」
「斜め左前!」
「ってことは——」
霧のトンネルを駆け抜ける最中、敵もまた不可視の霧から姿を晒す。
青と紫の竜が今まさに、長大な爪を振り上げていた。
「クソッ!」
思わず悪態をつく永絆に、蓮花は「大丈夫」と言い、
「アイリス!」
愛剣にさらなる魔気を通わせて、より一層密度の濃い斬霧を放つ。
その応戦により、二つの爪が下る勢いが微かに弱まった。
「あとは、気合っ!」
言った通り、振り下ろされた爪に蓮花は真っ向から剣身を拮抗させて挑む。
「蓮花!」
「大丈夫! ほんの少しなら時間は稼げる!」
刹那の攻防。しかしそれでも蓮花にかかる負荷は相当な筈。これに永絆が応えない訳にはいかない。
剣と爪の拮抗が足場であるヴァージの前進によって終局し、今度は火炎放射でも放たんと口を開けているドラゴン二匹を置き去りにしたのち、二人は愛火が囚われている瓦礫の山へと辿り着く。
「ヴァージ!」
名前を呼ぶや否や、それに呼応して黒い大剣は切っ先から赤い雷光を放ち、瓦礫の山を吹き飛ばす。
この時点で永絆は魔気の注力を再びヴァージに戻し、また、愛火との邂逅も果たす。
「永絆ちゃんっ!」
残滓する雷光と瓦礫の破片に囲まれて立っている愛火の生存を確認した永絆は、蓮花とハイタッチして次なる行動に移る。
「愛火さんはアイスピックで、蓮花は引き続きアイリスで、それぞれ近くのドラゴンをぶった斬ってくれ!」
愛火は「分かったわ」と返事した直後、アイスピックで『一突連閃』による攻撃を始めた。
瞬く間に無数の閃光が迸り、彼女の近くに居た橙色の竜が消滅する。
「ナズ姉はどうするの?」
蓮花は、背後より火球を放とうとしている二体の竜にアイリスの切っ先を向けて問うた。永絆は舌なめずりし、
「私か? まあ、そうだな。折角、魔気をふんだんに使える状態に戻ったことだし——」
そしてヴァージの剣身を片足で踏み、ニヤリとして言った。
「スカッと殲滅してやらぁ!」
「りょーかい!」
それが合図であるかのように、二人は背中合わせになって一斉に砲撃を行った。
永絆は今しがた眼前に現れた赤と黄の鱗を纏う竜めがけて、その背後に立つ蓮花は彼女から真正面で炎を吐き出した藍と紫の竜に向けて。
獰猛で血の色に瞬く竜影を、斬撃の濃霧を、同時に放ったのだ。
二つの砲撃は蝶の羽のように左右で炸裂した。赤黒い雷光は爆ぜ上がり赤と黄の竜を丸ごと飲み込み、濃密な霧は藍と紫の竜に深い斬撃を刻み込んだ。
計四体の竜は、数秒も経たないうちに跡形も無く消失。雷鳴と霧の衝撃を残し、六体の竜の駆逐は成功した。
「……」
だが、窮地を脱したにもかかわらず、永絆は釈然としない表情を浮かべていた。
蓮花と共に瓦礫が散らばる地面に降り立ち、永絆は剣を突き立てて周囲を見渡す。
「どしたの? ナズ姉」
蓮花も訝しげな顔つきになって聞く。永絆は「いや」と顎に手を当て、
「今私達が倒したドラゴン……全部で六体、それぞれに色があった。あれって虹が一色ずつ分かれてんかなと思ったけど、だとしたら緑色の奴が居た筈なんだよ」
魔獣は元々異世界における下位魔剣から生じ、魔気に釣られる本能的な生物。
つまりは、異世界の産物であり、モチーフとなっただろう虹色もしくは虹に関しては、向こうの世界で言えば緑だけを抜いた六色だけということもあり得る。
実際に、この世界においても国や大陸によっては色の種類、数は違っている。
しかし、だとしても腑に落ちないのは何故だろうか。
「良かったわぁ、二人共無事で」
そうこう思案していると、愛火も二人と合流した。彼女の無事を喜びたい気持ちを抑え、永絆はふと思い浮かんだことを口にする。
「愛火さん、今の奴らも魔獣の一種なんですか?」
既に脳裏に浮かんでいる仮説と執拗にチラつく過去の場面。
そして愛火が放った答えが、散らばっていた断片を繋がらせる。
「今のは『使い魔』だと思うわぁ。それも、『もし術士が本気になっていたら物凄く厄介だった』レベルのね」
「————」
使い魔という言葉。まるでその術士が本気ではなかったというイントネーション。
そして何より、わざわざこのタイミングで永絆たちに向けて使い魔を放つような存在と、本来なら七体居たであろう竜が六体しか居なかった理由——もっと言えば、『なぜ緑色の竜がこの場に居なかったか』。その理由を、永絆は胸を張って説明できる。
何せ、
「何せ、そいつはターチスが焼き殺してくれたもんなぁ……私が魔剣を握ってすぐに襲ってきた、あのエメラルドカラーのドラゴン様はよぉ」
脳内で再生される少女の怒声。
ほんの少しの短い時間しか対峙していないというのに、もはやトラウマ並みに耳に焼き付いている声音。
「——ルメリアだ。あのドラゴン共に私達を襲わせたのは、『節制』の大剣霊、ルメリア・ユーリップだ」
そう断言した永絆に、蓮花は驚きの声を上げる。
「ルメリアって……え! もしかしてあいつ、もう復活を!?」
「いや、愛火さんが言ったように、術士は本領を発揮していなかった。けど、それはしていなかったんじゃなく、出来なかったんだろう。アイツのことだ……力が完全に戻り次第、容赦なく私達を始末するか、そんなことをする以前に愛しのターチスを連れて向こうの世界に戻るんじゃねぇかな」
「じゃあ、今のは——」
「強迫、みたいなもんだろ」
永絆の予想に、蓮花は息を飲んだ。
一方で、愛火もまた状況を理解している様子で永絆に聞く。
「あなた達の記憶を垣間見た時に、ルメリアのことも把握したけど……『剣ノ刻限』を使ったかそうじゃないかがここまで違うなんて」
「確かに、アパート前と学校と、ターチスは二度もあの結界を展開してたけど、ルメリアはただの一度も発動させてはなかった……あれ、でも結果は愛火さんも発動出来てましたよね?」
「あれは『剣ノ刻限』であってそうじゃないの。異世界から無理やり持ち帰ってきた戦利品、とでも言うのかしら」
「つまり、結界自体は大剣霊以外でも発動が出来る、と……?」
「概ねそんなところかしら。条件が整えば、人間でも魔剣術士や錬成術士、聖導術士なんかであれば、魔獣術士、魔器術士とかよりはずっと——」
愛火の口から出た聞き慣れない単語を疑問に思い、続いて彼女がなぜそこで言葉を区切ったのかについて気を取られていると、
「ナズ姉ッ!」
傍に居た蓮花に突き飛ばされ、仰向けで地面に倒れてゆく。
「——ッ!」
見上げた先に映っていたのは、突如現れた『黒い氷』と無数の光の刃が互いに互いを相殺し合っている光景だった。
おびただしい数の衝撃と轟音に目と耳がやられ、永絆を庇ってくれた蓮花も一緒に倒れ込む。
「蓮花……!」
なんとか彼女の下敷きになることが出来た永絆は、改めて頭上に視線を張り巡らせ、右端に愛火を、そして左端に何かを確認する。
それは、どこまでも透き通った、クリスタルのような巨大な結晶だった。近くで見れば、思わずため息の一つでも吐いてしまいそうな美しさ。
その表面に、彼女の姿が映っていなければ、永絆もそうしていただろう。
その姿を目にし、一瞬たりとも視線を逸らさないように睨みつけながら、永絆はゆっくりと立ち上がって蓮花に手を差し伸べる。
「……噂をすれば何とやらってやつだ」
「うん……」
そうして永絆は立ち上がった蓮花の手を繋ぎながら、眼前に佇む結晶に映っている少女を対峙する。
対し、少女は結晶の表面に映る顔を盛大に歪ませて言った。
「さっきぶりですねぇ、このクソ女狐共——今ここで、ルメがこの都市諸共お前らを消し炭にしてやるよッ!!」
――白い怪人が、嗤う。
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