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第二話
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「『勇者』に関する報告とは............それも、魔王討伐後にまで語り継がれることでしょうか?」
金髪碧眼の美青年──キリタカ・ボルドマンの言葉に、鏡士郎は「その通りだよ」と頷いた。
そして彼は、静かな声で話し始める。
「──僕はこの二年で、世界を巡って様々な場所を見て回った。その中で多くの町や村を訪れて、人々と触れ合ったんだ」
「..............それで?」
「結論から言って、『勇者』は人々を守る存在であり、正義の味方だと信じられている」
「それの何が問題なのですか?」
キリタカは不思議そうな表情を浮かべるが、鏡士郎は表情を崩さないまま言葉を続けた。
「僕が立ち寄った町や村の中にはね──『勇者』を忌み嫌う者達がいた」
「!?」
「それは..........つまり──」
「.............そう。この国と同じように、魔族の脅威から人々を救ってきた国があった。それなのに彼らはある日突然──『勇者』に対して酷い仕打ちをしたんだ」
「酷い仕打ち?」
「ああ、そうだ。僕は直接見てはいないが……どうやら彼らは『勇者』を奴隷のように扱ったようだよ。しかも、それを罪と認めていないらしい」
「....................それは、本当ですか? そんな馬鹿なことが──」
金髪碧眼の美青年──キリタカ・ボルドマンの言葉に、鏡士郎は「その通りだよ」と頷いた。
そして彼は、静かな声で話し始める。
「──僕はこの二年で、世界を巡って様々な場所を見て回った。その中で多くの町や村を訪れて、人々と触れ合ったんだ」
「..............それで?」
「結論から言って、『勇者』は人々を守る存在であり、正義の味方だと信じられている」
「それの何が問題なのですか?」
キリタカは不思議そうな表情を浮かべるが、鏡士郎は表情を崩さないまま言葉を続けた。
「僕が立ち寄った町や村の中にはね──『勇者』を忌み嫌う者達がいた」
「!?」
「それは..........つまり──」
「.............そう。この国と同じように、魔族の脅威から人々を救ってきた国があった。それなのに彼らはある日突然──『勇者』に対して酷い仕打ちをしたんだ」
「酷い仕打ち?」
「ああ、そうだ。僕は直接見てはいないが……どうやら彼らは『勇者』を奴隷のように扱ったようだよ。しかも、それを罪と認めていないらしい」
「....................それは、本当ですか? そんな馬鹿なことが──」
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