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婚約破棄もわたしが手配

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わたしの無言に耐え切れなくなったのか、我が母が

「辛いでしょうが、婚約は早く解消しなくてはね」

『だから早く書類を持ってこい。解消より破棄希望』

「だってね、メラニーはお母さんになるの」

『お母さん!・・・・なるほど・・・早い方がいいわね』

この猿どもという思いをこめてショーンをじっと見る。

「だからごねるんじゃない。さっさと破棄するんだ」と我が父が言うので

「破棄でも解消でもします。書類を」

振り出しに戻ったのか、皆が気まずそうな顔をする。

「おまえがここにいるとおなかの子供に危害を加えられそうで心配だから出て行け」と我が父が言いだした。

わたしはさっと立ち上がると

「わかりました」と言い部屋をでようとしたが

「待ってお姉様、結婚式の準備を一緒にしたいの。わたしはお姉様がわたしとショーンの子に危害を加えると思っていません。お姉様お願い・・・・準備する楽しさをお姉様にも味わって欲しいの」

「罪滅ぼしにそれくらいやればいいな」と我が父。

「頼んでいいかいマリア。僕も君を放り出すのは望まない」

『おもしろそうだから、やってみる?でも子供を害したと言われるのもいやね』

「書類の用意をします。早いほうがいいですね」

誰もなにも言わないうちに部屋をでた。



あの人たちの挙動不審は本当にわたしの暴力を気にしてたのか。まぁ結婚式の準備なんてものも経験するのもいいかも。

なんせあいつら全員まとめて破滅させられる爆弾を持っているんだもの・・・・・持ち上げて落とすって最高だよね。


「婚約を破棄する用紙を下さい」と大声で役所の窓口で言うと

「破棄でいいの?解消もあるけど」

「違いがあるんですか?」

係員同士がちらっと笑いを交わしたのがわかったが気づかない振りで質問した。

「たいした違いはないけど・・・・・誰と誰の婚約の話しかい?」

「わたしと婚約者です」

「お嬢さんの婚約?本人なの!」と係員が言うとまわりで待っている人がさりげなくこちらに近づいた。

「はい、わたしの婚約です。破棄と解消で用紙が違いますか?」

「うん、文章が違う」

「それに聞いた人のインパクトが違う」と別の窓口の係員もこちらに来て言った。

「印象が強いのはどっちですか?」

「「破棄」」と係員が声を揃えたがそれ以外からも「「破棄」」「破棄だよね」とか聞こえた。


「では破棄でお願いします」

「誰と誰が破棄するのかい?それと次の婚約者は決まっているのかい?」

「はい、決まっています。急ぎです」

「急ぐって」

「子供が・・・・」

「なるほど・・・それなら破棄だね」「「「破棄」」」「破棄一択だね」と木霊が・・・・





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