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お祖父様

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お部屋に入るとお祖父様はいつものようにベッドに横になっていた。

待たせてしまったことを詫びながら浄化をかける。歩いてトイレに行けなくなったお祖父様だ。わたしは浄化が使えることをほんとに感謝している。

それから食事を済ませると身体が固くならないように、部屋のなかを少し歩く。この手伝いでわたしは腰が悪くなった。

ショーンがしてくれると助かるのだが忙しいと行って顔を見せない。少し前までは手伝いの女性がいたのだけど、必要ないという意見が多くて断った。

顔も見せないシリウス家の面々がこう言ったのだ。

「わたしひとりでやれるよ。できないってことない」

「ひとりで大丈夫でしょ。お祖父様は動けるし」

「ほんとちゃんと見てればわかるよね」

いつも交代でわたしに押し付けているくせに・・・・わたしは手伝いが必要だと言い続けたけど・・・だめだった。

手伝いのポリーは

「マリアさんにいいことがありますように」と言って去って行った。


「マリア、これを預けて置く。なにごともなかったら捨ててくれ。今まで通りだ。だけど踏みつけられたままじゃいやだと思ったら、これをマーチンの所に持って行け。いつでもいい。生きてりゃ百年後でもいい」

「・・・・ありがとうございます」と素直に受け取った。これは保険だ。大抵の人間はこんなもの使わない。

「それからこれ、期限ぎりぎりだからすぐに・・・・明日遅く来ても大丈夫だから」

受け取ったそれを見て首をかしげると

「それを見る人は少ないよ。当たりくじと言うやつだ。隣町でこっそり受け取ってここに入れて」とカードも渡してくれた。

少し給料もはいっている。

「動けるうちに作っておいた。一応全員分作ったけど使うのはこの一枚だけだ・・・・・ありがとうマリア」



翌日はショーンのノックで目を覚ました。すぐに支度して家を出て隣町に行って手続きを済ました。


お祖父様はいつもの様にベッドにいたが、呼吸が荒かった。

すぐに本宅に行ってお医者さんを呼ぶように、言った。


やってきたお医者さんに、みなが集まるようにと言われてシリウス夫妻とデイジーがやってきた。

「ご苦労様、マリア。後は家族で過ごすから、帰って」と言った。

そんなことだろう思っていたので、すぐにお暇した。門を出る所でショーンと会ったが、

「マリア、帰るのか。薄情だな」と足も止めずに言って去って行った。


その様子を向かいの家のターナー夫人が見ていた。

「今日もマリアがお世話に来たね。この様子ならもうすぐ葬式だね」と独り言をいいながら、喪服をとりだしてブラシをかけ始めた。
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