ある王国の王室の物語

エリザベートの記憶

あのお茶会で突然、前世のことを思い出した。なんでまたあのタイミングなんだ。婚約を白紙なんて言われたショックみたいじゃないの。いやだわ。


だけど思い出してなかったら、エリザベートのことだからすぐに自分がいたらないからとかなんて反省して、すぐに席をはずしただろう。ばかばかしい。ああいう場合の正解は居座って我が物顔に振舞うことよ。わたしがやったみたいに。

ほんとふさわしい態度だった。ほどよくお腹がいっぱいになったわたしは執務室に戻り、未処理の書類を宰相の所に直接戻しに行った。

宰相は驚くこともなくあたりまえに受け取った。婚約の事、知ってたな。いつから知っていたんだろう。

知っていながら書類をまわしていたとは狸め・・・・

わたしは王宮の庭を見ながら少し遠回りして馬車乗り場に向かった。

婚約のことがなくなった以上馬車が使えないかもと心配したが、用意されていた。さすがに歩くのはいやだったからありがたく・・・・いや、当然の権利だと使わせてもらった。

屋敷に戻ると執事も侍女も驚いていたが、わたしはさっさと自分の部屋にはいった。


明日から、自分の時間を自分で使えるんだ。明日は街歩きでもしよう。そう思いながら早めにベッドにはいった。