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18 エドワルドと共に
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エドワルドたちは連れ立ってギルドをでると、エドワルドのすすめる店にはいった。
席に案内されてエールが運ばれると先ず乾杯した。それから自己紹介し合った。
「俺はエドワルド。エドと呼んでくれ。依頼を受けて留守にすることがあるが、この町が拠点だ。冒険者ランクが高いのが自慢だ。・・・その・・・君はあまり興味がなさそうなので自分から言うが、金級だ」
「金!!実際にいるんですね」
「驚いてもらって、嬉しいね」
「僕は登録したばかりで黒です」
料理が運ばれて来ると、エドワルドは取り分けてイズミの皿に乗せていく。
「これはおすすめのなかでもおすすめだ」
一口食べてイズミが小声で「ほんとだおいしい」と呟くと満足そうに笑った。
エドワルドは金級冒険者としてあちらこちら行った話をイズミに話してくれた。
「俺がどんどん話しているが、たいくつじゃないか?」
「とんでもない、聞きたい話ばかりです」
その時ドアを開けて冒険者が何人か入って来た。彼らはエドワルドを見ると
「こんなところにいるとは、どうしたんだ?最近あたりが不穏だろ。隣国は召喚した神子の訓練をしているようだぞ。手伝わなくていいのか?そのうちこちらに派遣してもらうためにも顔つなぎしなくてはな」
「俺には関係ない」
「あと奴隷商人の組織が動き始めてる、国境で支部のボスが殺された件。でかくなるぞ」
イズミは飲もうとしていたエールをテーブルに戻した。
「こちらは?見慣れない顔だな」
「依頼の関係で・・・」と紹介する気がないところをみせると
「冷たいね、こんな美人と一緒にいながら・・・」といいながら椅子に座ろうとするのを
「あっちに行け、飯が不味くなる」
「言ってくれるね。まぁいい。俺はこの機会を掴む」
「やればいいさ」
「ではな、美人さん今度会ったら名前教えてね。あっ俺はカールだ」
「いけ!!」
「こわいね」と言いながらカールはもう先にテーブルに着いていた仲間のところに行った。
「あいつの話は気にするな、俺はイズミの護衛をやる。回復薬は大事なものだ。薬師ギルドが価値を認めた存在だ。大事に守るからな」
「よくわからないけど、ありがとう」
二人は明日ギルドで待ち合わせすることを決めた。
エドワルドはイズミを宿まで送った。
翌日、珍しく朝、ギルドに現れたイズミを冒険者は意識していた。人待ち顔で佇む彼に話しかけたのは、このギルド一番のパーティーのリーダーのマーチンだった。
「君、いつもソロだよね。よかったら一緒に行ってみない?狩りもやってるよね。血抜きがちゃんとしてるって褒められていたし・・・・パーティだと強い魔獣が狩れるから実入りもよくなるし・・・・試しに行ってみよう」
「ありがとう、だけど今日は待ち合わせでここに来てるから」
「待ち合わせ?誰と?なんならそいつを断わる手伝いするよ。ちなみに僕はマーチン」
「断ったりしないよ。護衛をしてもらうんだ」
「護衛なら僕が」
「いや、その人に頼んだから」
「待ち合わせは誰なのか?まだ来ないっていうのは本気じゃなかったのでは?薬草採取の護衛なんて」
「いい仕事だぞ」と上から声が落ちてきた。
「イズミ、早く来てくれていたんだ。悪かった待たせた」
「エドワルドさんが?」とマーチンが呟くと
「あぁ薬草採取の護衛だ」
「なんでまた・・」
「なんでだろうな?薬草が大事だと思ったってことかな。本気で護衛をやろうと思ってる。では行くか」
連れ立って去って行く二人を見送りながら、マーチンは『手をだすなってことか』と納得した。
イズミがこの町に現れた時、冒険者の注目を集めていたのだが、いちはやくマーチンが誘うと宣言した。
パーティ五人全員が銀級と、このギルドの一番の実力者の発言は見事な抑止力となり冒険者はなんとなくイズミのことを遠目にみるだけになっていたのだ。
だが、エドワルドが薬草採取の護衛をする?マーチンは納得できなかった。
エドワルドはイズミに好きな所へ採取に行けと言うと
「遅れてすまなかった、これを作らせていた」と包みを見せた。
「これは?」
「昼だ。これを食べさせたくて」
「それはうれしいですね、でも遅れてないですよ。僕が早くギルドに行ったので・・・えっと朝のギルドをみたかったんで・・・・依頼を受けたり仲間を誘ったりって言うのを」
「なるほど・・・・」
「あのう、昨日合った人たちはどういった?」
「あいつらも冒険者だが別の拠点のやつらだ。隣国への移動の途中みたいだったな」
「隣国でなにか、起きたのでしょうか?」
「うわさ程度しか聞かないな」
「うわさ?」
「神子を召喚したのはいいが、神子の召喚は確かだ。ただ神子の能力が・・・・といううわさだ」
「それって隣国の?」
「そうだ。隣国と行っても行き来は盛んだし冒険者は国境関係なく森で活動しているからな。情報は早くて正確だ」
「そうなんですね」
「それで昨日のやつらは隣国へ行ったんだ」
「そういえば昨日丁寧に説明してもらったんですが、ちょっと疑問がでてきて」
「なんだ?」
「エドワルドさんの依頼料って薬師ギルドが払うんですね」
「そうだな」
「その場合、守秘義務はどうなるんですか?」
「守秘義務?」
「えーーと僕の秘密を守ってもらえるかどうか」
「契約では薬師ギルドは君の秘密を守る。雇われた僕も守る。君が薬草を採る場所は誰にも明かさない」
「僕の使う魔法は?」
「誓ってだれにも明かさない。これは俺の個人的な誓いだ」
「個人的?」
「つまり俺は口が堅いという事だ。イズミが困ることはしない」
「わかりました。そろそろです。お願いします」
席に案内されてエールが運ばれると先ず乾杯した。それから自己紹介し合った。
「俺はエドワルド。エドと呼んでくれ。依頼を受けて留守にすることがあるが、この町が拠点だ。冒険者ランクが高いのが自慢だ。・・・その・・・君はあまり興味がなさそうなので自分から言うが、金級だ」
「金!!実際にいるんですね」
「驚いてもらって、嬉しいね」
「僕は登録したばかりで黒です」
料理が運ばれて来ると、エドワルドは取り分けてイズミの皿に乗せていく。
「これはおすすめのなかでもおすすめだ」
一口食べてイズミが小声で「ほんとだおいしい」と呟くと満足そうに笑った。
エドワルドは金級冒険者としてあちらこちら行った話をイズミに話してくれた。
「俺がどんどん話しているが、たいくつじゃないか?」
「とんでもない、聞きたい話ばかりです」
その時ドアを開けて冒険者が何人か入って来た。彼らはエドワルドを見ると
「こんなところにいるとは、どうしたんだ?最近あたりが不穏だろ。隣国は召喚した神子の訓練をしているようだぞ。手伝わなくていいのか?そのうちこちらに派遣してもらうためにも顔つなぎしなくてはな」
「俺には関係ない」
「あと奴隷商人の組織が動き始めてる、国境で支部のボスが殺された件。でかくなるぞ」
イズミは飲もうとしていたエールをテーブルに戻した。
「こちらは?見慣れない顔だな」
「依頼の関係で・・・」と紹介する気がないところをみせると
「冷たいね、こんな美人と一緒にいながら・・・」といいながら椅子に座ろうとするのを
「あっちに行け、飯が不味くなる」
「言ってくれるね。まぁいい。俺はこの機会を掴む」
「やればいいさ」
「ではな、美人さん今度会ったら名前教えてね。あっ俺はカールだ」
「いけ!!」
「こわいね」と言いながらカールはもう先にテーブルに着いていた仲間のところに行った。
「あいつの話は気にするな、俺はイズミの護衛をやる。回復薬は大事なものだ。薬師ギルドが価値を認めた存在だ。大事に守るからな」
「よくわからないけど、ありがとう」
二人は明日ギルドで待ち合わせすることを決めた。
エドワルドはイズミを宿まで送った。
翌日、珍しく朝、ギルドに現れたイズミを冒険者は意識していた。人待ち顔で佇む彼に話しかけたのは、このギルド一番のパーティーのリーダーのマーチンだった。
「君、いつもソロだよね。よかったら一緒に行ってみない?狩りもやってるよね。血抜きがちゃんとしてるって褒められていたし・・・・パーティだと強い魔獣が狩れるから実入りもよくなるし・・・・試しに行ってみよう」
「ありがとう、だけど今日は待ち合わせでここに来てるから」
「待ち合わせ?誰と?なんならそいつを断わる手伝いするよ。ちなみに僕はマーチン」
「断ったりしないよ。護衛をしてもらうんだ」
「護衛なら僕が」
「いや、その人に頼んだから」
「待ち合わせは誰なのか?まだ来ないっていうのは本気じゃなかったのでは?薬草採取の護衛なんて」
「いい仕事だぞ」と上から声が落ちてきた。
「イズミ、早く来てくれていたんだ。悪かった待たせた」
「エドワルドさんが?」とマーチンが呟くと
「あぁ薬草採取の護衛だ」
「なんでまた・・」
「なんでだろうな?薬草が大事だと思ったってことかな。本気で護衛をやろうと思ってる。では行くか」
連れ立って去って行く二人を見送りながら、マーチンは『手をだすなってことか』と納得した。
イズミがこの町に現れた時、冒険者の注目を集めていたのだが、いちはやくマーチンが誘うと宣言した。
パーティ五人全員が銀級と、このギルドの一番の実力者の発言は見事な抑止力となり冒険者はなんとなくイズミのことを遠目にみるだけになっていたのだ。
だが、エドワルドが薬草採取の護衛をする?マーチンは納得できなかった。
エドワルドはイズミに好きな所へ採取に行けと言うと
「遅れてすまなかった、これを作らせていた」と包みを見せた。
「これは?」
「昼だ。これを食べさせたくて」
「それはうれしいですね、でも遅れてないですよ。僕が早くギルドに行ったので・・・えっと朝のギルドをみたかったんで・・・・依頼を受けたり仲間を誘ったりって言うのを」
「なるほど・・・・」
「あのう、昨日合った人たちはどういった?」
「あいつらも冒険者だが別の拠点のやつらだ。隣国への移動の途中みたいだったな」
「隣国でなにか、起きたのでしょうか?」
「うわさ程度しか聞かないな」
「うわさ?」
「神子を召喚したのはいいが、神子の召喚は確かだ。ただ神子の能力が・・・・といううわさだ」
「それって隣国の?」
「そうだ。隣国と行っても行き来は盛んだし冒険者は国境関係なく森で活動しているからな。情報は早くて正確だ」
「そうなんですね」
「それで昨日のやつらは隣国へ行ったんだ」
「そういえば昨日丁寧に説明してもらったんですが、ちょっと疑問がでてきて」
「なんだ?」
「エドワルドさんの依頼料って薬師ギルドが払うんですね」
「そうだな」
「その場合、守秘義務はどうなるんですか?」
「守秘義務?」
「えーーと僕の秘密を守ってもらえるかどうか」
「契約では薬師ギルドは君の秘密を守る。雇われた僕も守る。君が薬草を採る場所は誰にも明かさない」
「僕の使う魔法は?」
「誓ってだれにも明かさない。これは俺の個人的な誓いだ」
「個人的?」
「つまり俺は口が堅いという事だ。イズミが困ることはしない」
「わかりました。そろそろです。お願いします」
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