1 / 19
01 最近変な夢をみると思っていたら
しおりを挟む
夢を見ている。自分でもわかっている。これは夢だ。そして昨日の続きだ。
自分は魔法士で魔獣と戦っている。いや戦う男の支援をしている。自分はその男の後ろから魔獣の動きが遅くなる支援魔法をかけている。
重ねて魔獣の命を削るよう支援魔法をかける。と魔獣の尻尾で前の男が吹っ飛んだ。
落下で怪我をしないよう男の身体を浮かせるとゆっくり地面に下ろした。尻尾で打たれた体に治癒をかけた。
目立つよう治癒をかけると男がいやがるから、練習の末、光がみえない治癒をかけられるようになっていて良かった。
動き回る魔獣に男の動きがついていけないようなので、魔獣の足を地面に埋めた。
男はなんどか魔獣に斬りかかり、やっと魔獣の首を刺して仕留めた。
男が振り返った・・・・
残念、目が覚めたか・・・・男の顔を見たいのに・・・・
大輔は重い体を起こした。
今日から、母親と二人の生活に戻るんだなと・・・・散らかった台所で水を飲んだ。
葬式が終わり親戚が帰って行き物音のしない家・・・広い家、学校は今日まで忌引休暇だ。
取り敢えず、台所を片付けトーストの簡単な食事を済ませると家中に掃除機をかけた。無駄に広い家は管理に時間がかかる。床の間に置かれた桐箱を開け中をあらためる。これをさわっていると不思議に落ち着く。子供の頃から聞かされてきた話・・・・信じられない話だが、大輔は信じている。
病気で死んだ母はそれなりに準備していたようで、葬儀も相続も滞りなく終わった。
写真に向かって行ってきますと言うと、散歩にでて、ついでにコンビニに寄った。
店をでて途中の公園の横を通っていると、足元に光る丸い物が出現した。
いやな感じがしてあわてて避けようとすると、後ろから誰かがおおいかぶさって来た。
重みでその場にうずくまった時、身体が浮かんだ。
浮遊感がなくなり、足に地面を感じた。気が付くと丸い模様の中・・・・あの夢で見たことのある・・・魔法陣のなかに座り込んでいた。痛む首に手を当てた。
◇◇◇
こいつ上のやつだなって感じの男が「ワタヌキ・ダイスケ様ですか?」と聞いた。
「あぁそうだ」とひとりが答えた。
「神子様、召喚に答えていただきましてありがとうございます。我々をこの世界をお救い下さい」
「なにをやればいいんだ?」
「神子様、いて下されば・・・あとは・・・」
「それだけでいいのか?」
「大体は・・・・さようでございます」とその男が満面の笑みで答えたとき
黒いマントの男が足音高く入って来た。
「お前たちは召喚をやったのか?今は時期としてはまずい故、後日の最適の日にと決めたではないか?」と男が言った。
「これは兄上、成功致しましたのでご心配には及びません」と金髪の男が言った。
「心配とかそういうことではございません・・・・今は時期ではないと・・・もっと安定するまで待とうと決まったではありませんか」
「予定を早めただけです。もともとわたしは待つのに反対でした。わたしの神子は今日やって来る。神殿長はそう言ってましたよ、今日が良いと。その通りでした。それに二人も来ましたよ」
「だから、よくないのだ」黒いマントの男の銀髪が光った。
「いいか、召喚された神子はひとりだけだ。このことを漏らすな」
「ぼくは神子じゃないから帰りたいんだが」と召喚者のもうひとりが凛とした声をだした。
「・・・・・」
「必要なのは一人・・・・そちらが神子なら僕は関係ないので帰りたいのだが」とその男は言った。
「貴様は帰りたいだと?」金髪がこう言った。
「王子殿下お控え下さい」と黒いマントの男が言った。
「どうしてだ、帰りたいなど無礼ではないか?」と王子が重ねて言うと
「わたしの意志とは関係なくここに連れて来られました。わたしはあちらに大切なものがあります。帰りたいです。それに召喚はひとりと言うならわたしは帰れますね」
「こちらで崇高な使命を果たせるのだぞ」と王子が答えると
「ですからそれはそちらの神子が・・・わたしは関係ありません」
「そうだな、お前ごときが神子の役割はできそうもない」とダイスケが言った。
男はその声を無視して神殿長に向かって
「責任者ですか?帰してください」と言った。
「いや・・・それは・・・・」
「帰す方法はありますよね。呼んだのだから逆をやれば」
「帰る方法はない貴様はずっとここで暮らすんだ」と王子が言うと
「そうだ、すまないが帰す方法はない」と黒マントの男が言った。
「それでは、この世界で自活できるまでの生活を保証していただけますか?」
「なら、これをくれてやる」と王子が金色のコインをばら撒いた。
男は腰をかがめそれをひろい集めると
「これ一枚がどれほどの価値を持つかは存じませんが、お金は大切なものです。あなたがたは民の収める税金をお預かりさせて頂いて充分に活用することを大切に考える立場の方だと思っていましたが・・・・違うようですね。これはお返しします」
王子に近づくとさっと手を取ってその手のひらに
「金色のコイン、七枚、確かにお返ししました」と言いながら乗せた。
王子に近づく素早い動きに気づいたのは黒いマントの男だけだった。
「それではその神子じゃないほう、俺のところで働いてみないか?なにができる?」
「わかりません、どんな仕事があるのでしょうか?」
「そうだな、おいおいと見つけるがいい、それでは行こうか?」と言うと黒いマントの男はもう一人の男を従えて部屋を出て行った。
廊下を歩きながら黒いマントの男は
「名前を教えてくれ」
「名前か?教えるつもりはない。適当に呼べ」
「教えたくないのか?」と黒いマントの男が聞くと
「あぁ」
「それでは泉はどうだ?」
「イズミ?」
「俺の好きな言葉だ」
「それでいい」
自分は魔法士で魔獣と戦っている。いや戦う男の支援をしている。自分はその男の後ろから魔獣の動きが遅くなる支援魔法をかけている。
重ねて魔獣の命を削るよう支援魔法をかける。と魔獣の尻尾で前の男が吹っ飛んだ。
落下で怪我をしないよう男の身体を浮かせるとゆっくり地面に下ろした。尻尾で打たれた体に治癒をかけた。
目立つよう治癒をかけると男がいやがるから、練習の末、光がみえない治癒をかけられるようになっていて良かった。
動き回る魔獣に男の動きがついていけないようなので、魔獣の足を地面に埋めた。
男はなんどか魔獣に斬りかかり、やっと魔獣の首を刺して仕留めた。
男が振り返った・・・・
残念、目が覚めたか・・・・男の顔を見たいのに・・・・
大輔は重い体を起こした。
今日から、母親と二人の生活に戻るんだなと・・・・散らかった台所で水を飲んだ。
葬式が終わり親戚が帰って行き物音のしない家・・・広い家、学校は今日まで忌引休暇だ。
取り敢えず、台所を片付けトーストの簡単な食事を済ませると家中に掃除機をかけた。無駄に広い家は管理に時間がかかる。床の間に置かれた桐箱を開け中をあらためる。これをさわっていると不思議に落ち着く。子供の頃から聞かされてきた話・・・・信じられない話だが、大輔は信じている。
病気で死んだ母はそれなりに準備していたようで、葬儀も相続も滞りなく終わった。
写真に向かって行ってきますと言うと、散歩にでて、ついでにコンビニに寄った。
店をでて途中の公園の横を通っていると、足元に光る丸い物が出現した。
いやな感じがしてあわてて避けようとすると、後ろから誰かがおおいかぶさって来た。
重みでその場にうずくまった時、身体が浮かんだ。
浮遊感がなくなり、足に地面を感じた。気が付くと丸い模様の中・・・・あの夢で見たことのある・・・魔法陣のなかに座り込んでいた。痛む首に手を当てた。
◇◇◇
こいつ上のやつだなって感じの男が「ワタヌキ・ダイスケ様ですか?」と聞いた。
「あぁそうだ」とひとりが答えた。
「神子様、召喚に答えていただきましてありがとうございます。我々をこの世界をお救い下さい」
「なにをやればいいんだ?」
「神子様、いて下されば・・・あとは・・・」
「それだけでいいのか?」
「大体は・・・・さようでございます」とその男が満面の笑みで答えたとき
黒いマントの男が足音高く入って来た。
「お前たちは召喚をやったのか?今は時期としてはまずい故、後日の最適の日にと決めたではないか?」と男が言った。
「これは兄上、成功致しましたのでご心配には及びません」と金髪の男が言った。
「心配とかそういうことではございません・・・・今は時期ではないと・・・もっと安定するまで待とうと決まったではありませんか」
「予定を早めただけです。もともとわたしは待つのに反対でした。わたしの神子は今日やって来る。神殿長はそう言ってましたよ、今日が良いと。その通りでした。それに二人も来ましたよ」
「だから、よくないのだ」黒いマントの男の銀髪が光った。
「いいか、召喚された神子はひとりだけだ。このことを漏らすな」
「ぼくは神子じゃないから帰りたいんだが」と召喚者のもうひとりが凛とした声をだした。
「・・・・・」
「必要なのは一人・・・・そちらが神子なら僕は関係ないので帰りたいのだが」とその男は言った。
「貴様は帰りたいだと?」金髪がこう言った。
「王子殿下お控え下さい」と黒いマントの男が言った。
「どうしてだ、帰りたいなど無礼ではないか?」と王子が重ねて言うと
「わたしの意志とは関係なくここに連れて来られました。わたしはあちらに大切なものがあります。帰りたいです。それに召喚はひとりと言うならわたしは帰れますね」
「こちらで崇高な使命を果たせるのだぞ」と王子が答えると
「ですからそれはそちらの神子が・・・わたしは関係ありません」
「そうだな、お前ごときが神子の役割はできそうもない」とダイスケが言った。
男はその声を無視して神殿長に向かって
「責任者ですか?帰してください」と言った。
「いや・・・それは・・・・」
「帰す方法はありますよね。呼んだのだから逆をやれば」
「帰る方法はない貴様はずっとここで暮らすんだ」と王子が言うと
「そうだ、すまないが帰す方法はない」と黒マントの男が言った。
「それでは、この世界で自活できるまでの生活を保証していただけますか?」
「なら、これをくれてやる」と王子が金色のコインをばら撒いた。
男は腰をかがめそれをひろい集めると
「これ一枚がどれほどの価値を持つかは存じませんが、お金は大切なものです。あなたがたは民の収める税金をお預かりさせて頂いて充分に活用することを大切に考える立場の方だと思っていましたが・・・・違うようですね。これはお返しします」
王子に近づくとさっと手を取ってその手のひらに
「金色のコイン、七枚、確かにお返ししました」と言いながら乗せた。
王子に近づく素早い動きに気づいたのは黒いマントの男だけだった。
「それではその神子じゃないほう、俺のところで働いてみないか?なにができる?」
「わかりません、どんな仕事があるのでしょうか?」
「そうだな、おいおいと見つけるがいい、それでは行こうか?」と言うと黒いマントの男はもう一人の男を従えて部屋を出て行った。
廊下を歩きながら黒いマントの男は
「名前を教えてくれ」
「名前か?教えるつもりはない。適当に呼べ」
「教えたくないのか?」と黒いマントの男が聞くと
「あぁ」
「それでは泉はどうだ?」
「イズミ?」
「俺の好きな言葉だ」
「それでいい」
12
お気に入りに追加
135
あなたにおすすめの小説
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞

ヒロイン不在の異世界ハーレム
藤雪たすく
BL
男にからまれていた女の子を助けに入っただけなのに……手違いで異世界へ飛ばされてしまった。
神様からの謝罪のスキルは別の勇者へ授けた後の残り物。
飛ばされたのは神がいなくなった混沌の世界。
ハーレムもチート無双も期待薄な世界で俺は幸せを掴めるのか?
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。


僕のユニークスキルはお菓子を出すことです
野鳥
BL
魔法のある世界で、異世界転生した主人公の唯一使えるユニークスキルがお菓子を出すことだった。
あれ?これって材料費なしでお菓子屋さん出来るのでは??
お菓子無双を夢見る主人公です。
********
小説は読み専なので、思い立った時にしか書けないです。
基本全ての小説は不定期に書いておりますので、ご了承くださいませー。
ショートショートじゃ終わらないので短編に切り替えます……こんなはずじゃ…( `ᾥ´ )クッ
本編完結しました〜

魔法学園の悪役令息ー替え玉を務めさせていただきます
オカメ颯記
BL
田舎の王国出身のランドルフ・コンラートは、小さいころに自分を養子に出した実家に呼び戻される。行方不明になった兄弟の身代わりとなって、魔道学園に通ってほしいというのだ。
魔法なんて全く使えない抗議したものの、丸め込まれたランドルフはデリン大公家の公子ローレンスとして学園に復学することになる。無口でおとなしいという触れ込みの兄弟は、学園では悪役令息としてわがままにふるまっていた。顔も名前も知らない知人たちに囲まれて、因縁をつけられたり、王族を殴り倒したり。同室の相棒には偽物であることをすぐに看破されてしまうし、どうやって学園生活をおくればいいのか。混乱の中で、何の情報もないまま、王子たちの勢力争いに巻き込まれていく。

今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。
柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。
詰んでる。
そう悟った主人公10歳。
主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど…
何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど…
なろうにも掲載しております。

魔王様の瘴気を払った俺、何だかんだ愛されてます。
柴傘
BL
ごく普通の高校生東雲 叶太(しののめ かなた)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。
そこで初めて出会った大型の狼の獣に助けられ、その獣の瘴気を無意識に払ってしまう。
すると突然獣は大柄な男性へと姿を変え、この世界の魔王オリオンだと名乗る。そしてそのまま、叶太は魔王城へと連れて行かれてしまった。
「カナタ、君を私の伴侶として迎えたい」
そう真摯に告白する魔王の姿に、不覚にもときめいてしまい…。
魔王×高校生、ド天然攻め×絆され受け。
甘々ハピエン。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる