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27 結婚式とパレード
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勇者五人は、お互いが緊張しているのを見て、結婚式は魔王より厄介なんだと思った。いつものように冗談を言う事もなく、真面目な顔をして、夫人にすがって祭壇まで歩いていった。
「アレク、大丈夫よ。一人じゃないわ」とアーデリアがささやいた。彼女は勇者五人がいるからこころ強いわねの意味で言ったのだが、アレクはわたしがついているからの意味にとって、改めて、結婚はいいなと思った。
やがて、式が終わり五人は、用意された馬車に乗り込んだ。人々はあの日、車椅子だった勇者も、右袖がひらひらしていた勇者の姿も覚えていた。そして、仮面で顔を隠していた勇者・・・・・ってあの綺麗な顔の・・・・と驚き、大きくどよめいた。
メアリー・リードは、夫が彼女の為に用意してくれたパレードを見下ろす席から、アレクを見ていた。
アレクの笑顔は隣の夫人に向けられていたが、ときおり、周りの群衆に向いていた。
「わたくしを探しているのだわ」とメアリーは思った。「こんな上から見ていると思わないよね、ごめんなさいアレク」その思いはふいに話しかけてきた夫の声で途切れた。
「メアリーはまだ、あれが気になるようだな」と夫が笑っていた。
「いえ、そんな・・・」と答えるメアリーを、夫は
「自由にしていいが、わたしに恥をかかすことはやめて欲しいね。それでは一度家にもどってお茶会の準備をしようか。どんなドレスを作ったのかな?楽しみだね」と言うとメアリーに手を差し出した。
会場に入るとすぐにメアリーの夫は、知り合いにつかまった。
「あなた、わたくし少しお庭を見てきたいわ」と言うと
「好きにしておいで」と夫は従者をつけて送り出してくれた。
会場をゆっくり歩いていると、ニック侯爵夫妻が、若い女とテーブルで話していた。よく見るとその女はアレクの結婚相手だった。
『アレクはひとりってこと。わたくしを待っているのね』とメアリーはアレクを探した。
すると、何人かに取り囲まれたアレクを見つけた。
「公爵の領地の方にわたくしも、あのような建物を建てたいと思っております。なかにはいる店は、わたくしの領地の商店を入れたいと思っております。後日詳しく話を詰めたいのですが・・・・」
「確かそちらの領地は・・・・」とアレクが言いかけると
「焼き物なんですが、若手が新しい試みを次々と試しております。広めたいのですが、王都での販路は狭く・・・・その点、ドリームヴィレッジでは多くの目にふれますので・・・・」
「そのように評価していただくのは嬉しいですね、妻とも相談して」とアレクが言っていると所へ、
「アレク、わたくしはここにおりますわ」と女の声がした。同時に
「奥様、お控えください。その方は・・・」と男の声がした。
「下がってなさい」
「いえ、いけません。奥様。だめです」の声とともに従者が女性を引きとめようとするが、
「さわらないで」と大声を出した女性が、アレクに抱きつこうとしたが、アレクは女性の腕を持って自分から離した。
「あなたは・・・・」とアレクが珍しく戸惑った声で言うと
「そう、メアリーよ。やっと会えたわね。アレク結婚してるからって、引け目に感じることはないのよ。わたくしだって結婚してるから、お互い様よ」
まわりが異常を感じてしんとなるなか、メアリーのこの言葉はよく通った。
必死に、
「奥様、お控え下さい」と言う従者に、周りのものは同情した。
「アレク、大丈夫よ。一人じゃないわ」とアーデリアがささやいた。彼女は勇者五人がいるからこころ強いわねの意味で言ったのだが、アレクはわたしがついているからの意味にとって、改めて、結婚はいいなと思った。
やがて、式が終わり五人は、用意された馬車に乗り込んだ。人々はあの日、車椅子だった勇者も、右袖がひらひらしていた勇者の姿も覚えていた。そして、仮面で顔を隠していた勇者・・・・・ってあの綺麗な顔の・・・・と驚き、大きくどよめいた。
メアリー・リードは、夫が彼女の為に用意してくれたパレードを見下ろす席から、アレクを見ていた。
アレクの笑顔は隣の夫人に向けられていたが、ときおり、周りの群衆に向いていた。
「わたくしを探しているのだわ」とメアリーは思った。「こんな上から見ていると思わないよね、ごめんなさいアレク」その思いはふいに話しかけてきた夫の声で途切れた。
「メアリーはまだ、あれが気になるようだな」と夫が笑っていた。
「いえ、そんな・・・」と答えるメアリーを、夫は
「自由にしていいが、わたしに恥をかかすことはやめて欲しいね。それでは一度家にもどってお茶会の準備をしようか。どんなドレスを作ったのかな?楽しみだね」と言うとメアリーに手を差し出した。
会場に入るとすぐにメアリーの夫は、知り合いにつかまった。
「あなた、わたくし少しお庭を見てきたいわ」と言うと
「好きにしておいで」と夫は従者をつけて送り出してくれた。
会場をゆっくり歩いていると、ニック侯爵夫妻が、若い女とテーブルで話していた。よく見るとその女はアレクの結婚相手だった。
『アレクはひとりってこと。わたくしを待っているのね』とメアリーはアレクを探した。
すると、何人かに取り囲まれたアレクを見つけた。
「公爵の領地の方にわたくしも、あのような建物を建てたいと思っております。なかにはいる店は、わたくしの領地の商店を入れたいと思っております。後日詳しく話を詰めたいのですが・・・・」
「確かそちらの領地は・・・・」とアレクが言いかけると
「焼き物なんですが、若手が新しい試みを次々と試しております。広めたいのですが、王都での販路は狭く・・・・その点、ドリームヴィレッジでは多くの目にふれますので・・・・」
「そのように評価していただくのは嬉しいですね、妻とも相談して」とアレクが言っていると所へ、
「アレク、わたくしはここにおりますわ」と女の声がした。同時に
「奥様、お控えください。その方は・・・」と男の声がした。
「下がってなさい」
「いえ、いけません。奥様。だめです」の声とともに従者が女性を引きとめようとするが、
「さわらないで」と大声を出した女性が、アレクに抱きつこうとしたが、アレクは女性の腕を持って自分から離した。
「あなたは・・・・」とアレクが珍しく戸惑った声で言うと
「そう、メアリーよ。やっと会えたわね。アレク結婚してるからって、引け目に感じることはないのよ。わたくしだって結婚してるから、お互い様よ」
まわりが異常を感じてしんとなるなか、メアリーのこの言葉はよく通った。
必死に、
「奥様、お控え下さい」と言う従者に、周りのものは同情した。
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