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20 母娘は
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「お母様が、無駄使いしたから」
「なにを言うの、こんなものまで、抵当に入れていたなんて知らないわよ」
「入れてないわ。署名しただけよ。そうやってお金が入ったらお母様、さすがリリベルって・・・・・そして宝石をお買いになったわ」
「すぐに増えるってあなたが・・・・・」
「あの、奥様。役所から人が・・・・」と侍女が言うと、
「あぁ、助けに来たのね。お通しして」とリリベルが言うと、
「わたしは部屋に行ってるわ」と母親のセーラは部屋を出ようとした。すると侍女は、
「いえ、お二人ともです」言った。言いながら侍女は、部屋に散らばったクッションを元の位置に戻し、クッションが当たって、傾いだ壁の絵をまっすぐにした。それから部屋をでると客を案内して戻って来た。
「王よりの通達でございます」すぐに礼を取ろうとすると、その男は、
「どうぞ、お座りください。座って聞いていただいた方が・・・・・その倒れると危ないですので」と椅子をすすめた。
「はい、そのまま聞いて下さい。デステ侯爵閣下は投資詐欺をかなり、派手におやりになりましたが、被害は少なく、欲に目がくらんだ者に、いい薬となったようだ。だが、このデステ家は借金が膨らみこのままでは領民に被害が出る」
「領民は働いてますよ。税金を増やしても大丈夫ですよ。領主が困っているんですよ。被害なんて出てません」とリリベルが反論すると、
「そうですよ。領主につくすって当たり前ですよ。貴族なのにそんな事も知らないんですか?」
母親のセーラも続いてこう言った。
男は二人の反論を無視して、続けた。
「黙って聞いて下さい。わかりやすくいいますから。デステ侯爵は爵位を返還。領地は王家が一時預かる。二人は用意された家に移る事」
「それでは、手伝いの者が来ておる。身のまわりの者は持って行っても良い」と男が合図すると、女性が二人入って来て、
「わたしたちが手伝います。お部屋はどこですか?」
二人は、力なく女性を見上げたが、返事をしなかった。
翌日、セーラとリリベルは馬車二台に荷物を乗せて、長く暮らした屋敷を出た。
馬車が門を出た時、リリベルが泣き出し続いてセーラも泣き出したが、慰める者はいなかった。
夜になって、宿屋にはいり部屋に案内されたが、手伝いの者が来なかった為、二人は着替えることも出来なかった。
食事は部屋に運ばれたが、盆の上にパンとスープが乗っているだけだった。
「こんなものをわたくしに食べさせるの?」とセーラが盆を二つともテーブルから払い落とした。
返事がなかった。
リリベルは、パンを床から拾うと、食べ始めた。
「なんてことをするの」とセーラは言ったが、
「いらないなら、わたしがいただきますわ」と言うリリベルの返事に、一瞬打とうとするように手を挙げたが、自分もパンを拾い上げた。
翌日の夕方、馬車は感じのいい屋敷の、門をくぐった。
二人と荷物を下ろすと馬車は、裏手に回って行った。
「ここが私たちの家ね」とリリベルが言うと、
「なってない使用人たちだわ。出迎えがない」とセーラが言った。
「ほんと、湯浴みをしたいわ」とリリベルが、自分を嫌そうに見下ろしながら言った。
「えぇ、本当に」とセーラが返した時、玄関が開き男が出てきた。
「あなた!出迎えが遅いわよ。使用人はどこなの?」とセーラが怒鳴った。
「なにを言うの、こんなものまで、抵当に入れていたなんて知らないわよ」
「入れてないわ。署名しただけよ。そうやってお金が入ったらお母様、さすがリリベルって・・・・・そして宝石をお買いになったわ」
「すぐに増えるってあなたが・・・・・」
「あの、奥様。役所から人が・・・・」と侍女が言うと、
「あぁ、助けに来たのね。お通しして」とリリベルが言うと、
「わたしは部屋に行ってるわ」と母親のセーラは部屋を出ようとした。すると侍女は、
「いえ、お二人ともです」言った。言いながら侍女は、部屋に散らばったクッションを元の位置に戻し、クッションが当たって、傾いだ壁の絵をまっすぐにした。それから部屋をでると客を案内して戻って来た。
「王よりの通達でございます」すぐに礼を取ろうとすると、その男は、
「どうぞ、お座りください。座って聞いていただいた方が・・・・・その倒れると危ないですので」と椅子をすすめた。
「はい、そのまま聞いて下さい。デステ侯爵閣下は投資詐欺をかなり、派手におやりになりましたが、被害は少なく、欲に目がくらんだ者に、いい薬となったようだ。だが、このデステ家は借金が膨らみこのままでは領民に被害が出る」
「領民は働いてますよ。税金を増やしても大丈夫ですよ。領主が困っているんですよ。被害なんて出てません」とリリベルが反論すると、
「そうですよ。領主につくすって当たり前ですよ。貴族なのにそんな事も知らないんですか?」
母親のセーラも続いてこう言った。
男は二人の反論を無視して、続けた。
「黙って聞いて下さい。わかりやすくいいますから。デステ侯爵は爵位を返還。領地は王家が一時預かる。二人は用意された家に移る事」
「それでは、手伝いの者が来ておる。身のまわりの者は持って行っても良い」と男が合図すると、女性が二人入って来て、
「わたしたちが手伝います。お部屋はどこですか?」
二人は、力なく女性を見上げたが、返事をしなかった。
翌日、セーラとリリベルは馬車二台に荷物を乗せて、長く暮らした屋敷を出た。
馬車が門を出た時、リリベルが泣き出し続いてセーラも泣き出したが、慰める者はいなかった。
夜になって、宿屋にはいり部屋に案内されたが、手伝いの者が来なかった為、二人は着替えることも出来なかった。
食事は部屋に運ばれたが、盆の上にパンとスープが乗っているだけだった。
「こんなものをわたくしに食べさせるの?」とセーラが盆を二つともテーブルから払い落とした。
返事がなかった。
リリベルは、パンを床から拾うと、食べ始めた。
「なんてことをするの」とセーラは言ったが、
「いらないなら、わたしがいただきますわ」と言うリリベルの返事に、一瞬打とうとするように手を挙げたが、自分もパンを拾い上げた。
翌日の夕方、馬車は感じのいい屋敷の、門をくぐった。
二人と荷物を下ろすと馬車は、裏手に回って行った。
「ここが私たちの家ね」とリリベルが言うと、
「なってない使用人たちだわ。出迎えがない」とセーラが言った。
「ほんと、湯浴みをしたいわ」とリリベルが、自分を嫌そうに見下ろしながら言った。
「えぇ、本当に」とセーラが返した時、玄関が開き男が出てきた。
「あなた!出迎えが遅いわよ。使用人はどこなの?」とセーラが怒鳴った。
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