妹がいらないと言った婚約者は最高でした

朝山みどり

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15 南へ旅行

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勇者たちが結婚した後、リリベル・デステとレイモンド・デステ侯爵が、結婚した。結婚式は厳かに行われた。

王子と言えども、第五王子となれば王室が使う予算はそこそことなり、リリベルが望む派手な結婚式は出来なかった。

それどころか、母親のセーラとリリベルの二人は、夢のような計画を立てるばかりで、物事が追いつかずセーラの侍女がレイモンドに相談して、王宮から侍女を派遣して貰って、なんとかなった。


リリベルはアーデリアにアレクサンダーと共に参加して欲しいと招待してきたが、怖がられたら大変だからと、アーデリアだけが出席した。

教会での式が終わると、そのままお茶会が開かれた。

アーデリアは学院にも行かず、社交をしていないので、知り合いもいない。

リリベルの学友が賑やかにはしゃぐのを、横目でみながら、アーデリアは果実水を飲み、カナッペとお菓子をつまんだ。

さて、帰ろうかと馬車乗り場に向かった所で、レイモンドに会った。


「よく、いらして下さいました。ニック公爵夫人。それともヴェール侯爵と呼んだほうがいいんでしょうか?」


「ニック公爵夫人の方で、殿下はなんとお呼びすればよろしいでしょうか?」

「デステ侯爵家の婿をなんと呼べば・・・・そうですね。わたしにも名前がありまして、レイモンドと読んで下さい」

「レイモンド様、ご結婚おめでとうございます」とアーデリアが、言うと

「ありがとうございます。これからの人生は苦楽の苦が多そうですがね。あなたが忙しかったわけですね」

「どうなんでしょうね。それでは失礼します」と言うとアーデリアはさっさと歩き出した。


屋敷に戻ると、アレクが庭にいた。温室を作る相談をしていた。


この庭で温室を作ってみて、気に入れば領地にも作ってみたいと言うのだ。

「温室って実物はまだ見たことがないですね」とアーデリアが言うと、

「隣国にあると聞いたが、この国にはないですね。本で読んだだけ・・・・それで作ってみたいと思いまして・・・」とアレクが言うのを聞いて

「それでしたら、南の暖かい部屋に鉢植えを、たくさん持ち込みましょう・・・・温室の真似事になるのでは?」とアーデリアが言うと

「それはいいですね。やってみましょう」と言う事で、その部屋の絨毯を片付けて、一番おおきな植木鉢を、それから浴槽を持ち込んだ。


浴槽に植えた野菜は、ぐんぐん育って他所より二週間早く収穫できた。

お花も早く咲いた。気をよくしたアレクは、南の国に行って苗を仕入れると言い出した。

それを聞いたアーデリアは、

「それっていいですね。二人で行きましょう」



こうして二人は、一ヶ月程かけて南へ旅行した。

果物の苗、野菜の種、花の種、文献も買い込み庭師を一人連れて戻った。



アーデリアは、南の国の明るい布をたくさん買い込んだ。南の国とは光の量が違うから着るには難しくても小物を作ってみようと思ったのだ。

荷物用の屋根なし馬車を二台と屋根のある馬車二台と一緒に、王都に戻ったのは半年後だった。


◇◇◇

新しく「神子の余分」を投稿しはじめました。読んでみて下さい。



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