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09 新しい生活 アーデリア目線

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その日もわたしは、軽く食事をしてまた眠ってしまった。目が覚めるとテーブルに花が一輪飾ってあった。

すぐにノックの音がして、侍女がそっと入って来た。湯浴みをすすめられてお願いした。

いやぁ、素晴らしい。洗髪でとろとろしたわたしは、上がってから施されたマッサージでまた眠ってしまった。

今までの疲れ、母に否定される辛さ、母を独占する妹に嫉妬する辛さ、婚約者を目のまえで誘惑される辛さ、悔しさ・・・・そういった黒い物が、眠りのなかで吐き出されているようだった。


そして目を覚ました時、目にはいる一輪の花が、わたしのなかを満たして行くようだった。



「おはようございます。ねぇあなたがたの名前も聞かないでお世話になってたわ。教えて下さいな」

「わたくしはアナベラ・ブライトと申します」

「わたくしはサリー・メイナードでございます」

「よろしくね、アナベラ。サリー」

「今までさぼりすぎたわ、アレク様に挨拶に行きます。支度を」



「奥様、公爵様が服をたくさん用意されましたので、ご実家からの物でなく贈られたものをお召しいただいてよろしいですか」と言いながら、アナベルがクローゼットを開けた。

「それって・・・えぇそれでお願いするわ」

コルセットを締めながら

「細いですね、もっと召し上がれるようになるといいですね」

とサリーが言ったが、締められている感じがしない。楽だからなにも言わなかったけど・・・・


化粧もすんで全身を鏡で見て驚いた。楽なのに・・・・凸凹がすごい。自分の身体じゃない・・・・


「これはなにかの魔法?そういえばあなた方はどなたが選んだの?アレク様のご実家から?」

「いえ、魔法でなく奥様のそのままですよ。わたくしたち、ここの使用人は王宮で働いていた者が選抜されて参りました。屋敷と使用人は切り離せません」

「あぁそうなのね・・・・わたくし忘れてましたが、王都の屋敷って聞いたとき使用人をどうしようかってことが頭をかすめたけど、すぐに忘れてしまってたわね。よかった。あなた方がいて。後でみなさんに挨拶をします」

そう言っているとノックの音がして

「アーデリア、屋敷を案内したいがいいかい?」

「アレク様、どうぞ」

入ってきたアレクはわたしを見て立ち止まった。

「その、アーデリア。こんなに綺麗だったとは・・・・・その綺麗だ」

なんの飾りのない称賛はわたしの心に届いた。わたしも素直に褒められて嬉しいのを伝えたいと思い

「ありがとうございます。綺麗だと思ってもらえて嬉しいですわ」

仮面は無表情だけど、アレク様の纏う雰囲気が優しくなったような気がした。こういうのは幸せな解釈をしたもの勝ちよね。

彼の左手に右手を乗せて歩き出した。

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