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06 第一印象は良好
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城につくと、アーデリアは一人別室へ案内された。
「時間までこちらでおくつろぎ下さい」
待機していた侍女がお茶を入れてくれた。香りと湯気にほっとした。
そこに控えめなノックがあった。
「ニック侯爵ご令息がいらしてますが・・・・」
「お通しして下さい」
顔全体を仮面で覆った男性が、静かに入って来た。青みがかった黒髪がきれいだなと思った。
「二人で話したいがかまわないか?」
アーデリアがうなづくと侍女二人は出て行った。
「アレクサンダー・ニックだ。いろいろ聞いていると思うが、直接話したいと思って・・・・婚約も断ってくれてかまわない。それから、堅苦しいのは面倒だ。アレクと呼んでくれ」
「アーデリア・デステ。いえ、アーデリア・ヴェールです。侯爵です。わたくしもお話したいと思っておりました」
「では、あなたから・・・・・」
「お言葉に甘えまして、お先に」
「先ず、この婚約は歓迎です。利用させていただいてヴェール侯爵となりました。この話が来たとき、リリベルは喜びました。魔王を封印した勇者の出発をみて皆さんが素敵でしたので。
ですが相手がアレク様と聞いた途端に泣きだして嫌がりまして、そうなったら・・・・・わたくしと、交代と言い出すなと思いました。王子殿下もわたくしよりリリベルと親しくしてらっしゃいましたし・・・両親もリリベルを優先しますので、問題はなにも・・・・」
アレクは黙って、うなづいた。
「わたくしはうれしいと思いました。公爵夫人になるのは悪くありません。領地ではなく年金・・・それもかなりの額ですね・・・領地がないってことは執務はありません。好きな事をする時間が出来ます。なによりわたくしは家族が嫌いです!離れたい。」
「いや、驚きだ・・・順番で確認させてくれ。その執務をしていた・・・いや、わたしを見てこわくないのか?」
アーデリアは笑って答えた。
「仮面はこわくないです。醜いそうですね。その目は見えてますか?」
「見える、問題ない」
「匂いは?」
「問題ない」
「声もでますね、声は前と同じ声ですか?」
「自分ではわからないが多分同じだ」と答える声に笑いが混じる。
「仮面をはずすと醜いと言うか、見にくいだな」とアレクが言うと
「見にくい?見にくいって・・・・それ位平気です。怖い顔は怖いと感じるでしょうが・・・慣れるでしょうし・・・最初は驚くかもですが・・・それよりお金や条件目当てのわたくしに失望しませんか?」
「いや、失望はしないな・・・どういえばいいのだ?その、思ったのと違う話し合いになったと、驚いている」
とアレクは、一度口をつぐんだ。それからこう続けた。
「悲壮な顔の令嬢が待っていると、泣く泣く家の犠牲となって婚約するとか、わたしこそが救ってあげますとか、そんなのだと思っていた」
それを聞いたアーデリアは笑って、
「大きな犠牲を払って魔王を封印したのに、婚約者から嫌われて、拗ねて、いじけて暗い人になってたら面倒だなって思ってました」と言った。
「あなたでよかった。これからよろしく。アーデリア」
「あなたでよかった。ドレスをありがとうございます。初めてドレスを貰いました」
「初めて?婚約者がいたのでは?・・・・すまない失礼なことを」とアレクは軽く頭を下げた。
「いえ、婚約者はリリベルが好きでしたので」とアーデリアはさらりと言った。
その時ドアがノックされた。
「時間のようだ。アーデリア行こう」と手を差し出された手を、アーデリアは取った。
二人はいそいそと歩き出した。
「時間までこちらでおくつろぎ下さい」
待機していた侍女がお茶を入れてくれた。香りと湯気にほっとした。
そこに控えめなノックがあった。
「ニック侯爵ご令息がいらしてますが・・・・」
「お通しして下さい」
顔全体を仮面で覆った男性が、静かに入って来た。青みがかった黒髪がきれいだなと思った。
「二人で話したいがかまわないか?」
アーデリアがうなづくと侍女二人は出て行った。
「アレクサンダー・ニックだ。いろいろ聞いていると思うが、直接話したいと思って・・・・婚約も断ってくれてかまわない。それから、堅苦しいのは面倒だ。アレクと呼んでくれ」
「アーデリア・デステ。いえ、アーデリア・ヴェールです。侯爵です。わたくしもお話したいと思っておりました」
「では、あなたから・・・・・」
「お言葉に甘えまして、お先に」
「先ず、この婚約は歓迎です。利用させていただいてヴェール侯爵となりました。この話が来たとき、リリベルは喜びました。魔王を封印した勇者の出発をみて皆さんが素敵でしたので。
ですが相手がアレク様と聞いた途端に泣きだして嫌がりまして、そうなったら・・・・・わたくしと、交代と言い出すなと思いました。王子殿下もわたくしよりリリベルと親しくしてらっしゃいましたし・・・両親もリリベルを優先しますので、問題はなにも・・・・」
アレクは黙って、うなづいた。
「わたくしはうれしいと思いました。公爵夫人になるのは悪くありません。領地ではなく年金・・・それもかなりの額ですね・・・領地がないってことは執務はありません。好きな事をする時間が出来ます。なによりわたくしは家族が嫌いです!離れたい。」
「いや、驚きだ・・・順番で確認させてくれ。その執務をしていた・・・いや、わたしを見てこわくないのか?」
アーデリアは笑って答えた。
「仮面はこわくないです。醜いそうですね。その目は見えてますか?」
「見える、問題ない」
「匂いは?」
「問題ない」
「声もでますね、声は前と同じ声ですか?」
「自分ではわからないが多分同じだ」と答える声に笑いが混じる。
「仮面をはずすと醜いと言うか、見にくいだな」とアレクが言うと
「見にくい?見にくいって・・・・それ位平気です。怖い顔は怖いと感じるでしょうが・・・慣れるでしょうし・・・最初は驚くかもですが・・・それよりお金や条件目当てのわたくしに失望しませんか?」
「いや、失望はしないな・・・どういえばいいのだ?その、思ったのと違う話し合いになったと、驚いている」
とアレクは、一度口をつぐんだ。それからこう続けた。
「悲壮な顔の令嬢が待っていると、泣く泣く家の犠牲となって婚約するとか、わたしこそが救ってあげますとか、そんなのだと思っていた」
それを聞いたアーデリアは笑って、
「大きな犠牲を払って魔王を封印したのに、婚約者から嫌われて、拗ねて、いじけて暗い人になってたら面倒だなって思ってました」と言った。
「あなたでよかった。これからよろしく。アーデリア」
「あなたでよかった。ドレスをありがとうございます。初めてドレスを貰いました」
「初めて?婚約者がいたのでは?・・・・すまない失礼なことを」とアレクは軽く頭を下げた。
「いえ、婚約者はリリベルが好きでしたので」とアーデリアはさらりと言った。
その時ドアがノックされた。
「時間のようだ。アーデリア行こう」と手を差し出された手を、アーデリアは取った。
二人はいそいそと歩き出した。
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