1 / 30
01 わたしと婚約者と妹
しおりを挟む
婚約者のレイモンド王子が週に一度の訪問でやってきたようだ。侍女がノックと同時にドアを開けると早口で伝えて戻って行った。
わたしは書類を片付けると、ちょっと鏡を見て髪を撫で付けると応接室に向かった。
部屋からは妹のリリベルの笑い声が聞こえる。わたしはノックをした。反応がないのでもう一度ノックをした。
レイモンドの侍従がドアを開けた。
リリベルの侍女のマリはすました顔がくずれ、馬鹿にするようにうすく笑っていた。
「よくお出でくださいました」と挨拶をするとレイモンドは決まり悪そうな顔をしている。
侍女の方を向いて
「わたくしへの知らせが遅いのはどうしてでしょうか?」と言うと
「存じません、お嬢様つきの侍女の責任です」と返事があった。
「わたくしつきの侍女が誰か見当もつきませんが、マリの発言でいると言うことはわかりました。後で確認しましょう」そう言うとそのままじっと待った。
しばらく待った後
「リリベル、あなたの侍女にわたくしにお茶を出すように言っていただける?」
「あっわたくしが、ぼっとしまして、失礼しました」とマリがあわててお茶を用意した。
「お姉様、申し訳ありません、怒らないで下さい」
「アーデリア、リリベルは悪くない」とレイモンドが言うと
「レイモン、ありがとう・・・・わたし、いつもお姉様に怒られるの」
「リリベル、王子殿下を名前で呼ぶのはいけません」
「だって、レイモンが」
「アーデリア、わたしが許可したのだ。リリベルはいいのだ。堅苦しい呼び方でなく名前で呼んでも」
「かしこまりました」
レイモンドはなにか言いたそうにしたが、わたしは黙って渋いお茶を飲んだ。
「レイモン、楽しかったわ」
「また来る、リリベル」とリリベルに笑顔を向けるレイモンにわたしは黙って礼をとった。
「お姉様、レイモンってほんとうに優しいですよね。いつも花束とお菓子を持って来て下さるの」
『それはわたし当てだよね、そこまで・・・嫌われている?だけど婚約者の妹に毎回、花とお菓子を持ってくるって不敵よね。ってほんとに素敵』
「まぁ羨ましいわ、今日はなにを下さったの?」
「青い花を集めた花束とマカロンよ」
「お姉様って婚約者なのになにももらえないなんて、お気の毒」
『そのうち、婚約者もあげる事になりそうね・・・・遠慮せずに貰ってね』
そう思いながら、執務の続きをやる為にわたしは戻った。
わたしは書類を片付けると、ちょっと鏡を見て髪を撫で付けると応接室に向かった。
部屋からは妹のリリベルの笑い声が聞こえる。わたしはノックをした。反応がないのでもう一度ノックをした。
レイモンドの侍従がドアを開けた。
リリベルの侍女のマリはすました顔がくずれ、馬鹿にするようにうすく笑っていた。
「よくお出でくださいました」と挨拶をするとレイモンドは決まり悪そうな顔をしている。
侍女の方を向いて
「わたくしへの知らせが遅いのはどうしてでしょうか?」と言うと
「存じません、お嬢様つきの侍女の責任です」と返事があった。
「わたくしつきの侍女が誰か見当もつきませんが、マリの発言でいると言うことはわかりました。後で確認しましょう」そう言うとそのままじっと待った。
しばらく待った後
「リリベル、あなたの侍女にわたくしにお茶を出すように言っていただける?」
「あっわたくしが、ぼっとしまして、失礼しました」とマリがあわててお茶を用意した。
「お姉様、申し訳ありません、怒らないで下さい」
「アーデリア、リリベルは悪くない」とレイモンドが言うと
「レイモン、ありがとう・・・・わたし、いつもお姉様に怒られるの」
「リリベル、王子殿下を名前で呼ぶのはいけません」
「だって、レイモンが」
「アーデリア、わたしが許可したのだ。リリベルはいいのだ。堅苦しい呼び方でなく名前で呼んでも」
「かしこまりました」
レイモンドはなにか言いたそうにしたが、わたしは黙って渋いお茶を飲んだ。
「レイモン、楽しかったわ」
「また来る、リリベル」とリリベルに笑顔を向けるレイモンにわたしは黙って礼をとった。
「お姉様、レイモンってほんとうに優しいですよね。いつも花束とお菓子を持って来て下さるの」
『それはわたし当てだよね、そこまで・・・嫌われている?だけど婚約者の妹に毎回、花とお菓子を持ってくるって不敵よね。ってほんとに素敵』
「まぁ羨ましいわ、今日はなにを下さったの?」
「青い花を集めた花束とマカロンよ」
「お姉様って婚約者なのになにももらえないなんて、お気の毒」
『そのうち、婚約者もあげる事になりそうね・・・・遠慮せずに貰ってね』
そう思いながら、執務の続きをやる為にわたしは戻った。
149
お気に入りに追加
5,219
あなたにおすすめの小説
妹しか守りたくないと言う婚約者ですが…そんなに私が嫌いなら、もう婚約破棄しましょう。
coco
恋愛
妹しか守らないと宣言した婚約者。
理由は、私が妹を虐める悪女だからだそうだ。
そんなに私が嫌いなら…もう、婚約破棄しましょう─。
婚約破棄直前に倒れた悪役令嬢は、愛を抱いたまま退場したい
矢口愛留
恋愛
【全11話】
学園の卒業パーティーで、公爵令嬢クロエは、第一王子スティーブに婚約破棄をされそうになっていた。
しかし、婚約破棄を宣言される前に、クロエは倒れてしまう。
クロエの余命があと一年ということがわかり、スティーブは、自身の感じていた違和感の元を探り始める。
スティーブは真実にたどり着き、クロエに一つの約束を残して、ある選択をするのだった。
※一話あたり短めです。
※ベリーズカフェにも投稿しております。
【完結】あの子の代わり
野村にれ
恋愛
突然、しばらく会っていなかった従姉妹の婚約者と、
婚約するように言われたベルアンジュ・ソアリ。
ソアリ伯爵家は持病を持つ妹・キャリーヌを中心に回っている。
18歳のベルアンジュに婚約者がいないのも、
キャリーヌにいないからという理由だったが、
今回は両親も断ることが出来なかった。
この婚約でベルアンジュの人生は回り始める。
もううんざりですので、実家に帰らせていただきます
ルイス
恋愛
「あなたの浮気には耐えられなくなりましたので、婚約中の身ですが実家の屋敷に帰らせていただきます」
伯爵令嬢のシルファ・ウォークライは耐えられなくなって、リーガス・ドルアット侯爵令息の元から姿を消した。リーガスは反省し二度と浮気をしないとばかりに彼女を追いかけて行くが……。
そんなにその方が気になるなら、どうぞずっと一緒にいて下さい。私は二度とあなたとは関わりませんので……。
しげむろ ゆうき
恋愛
男爵令嬢と仲良くする婚約者に、何度注意しても聞いてくれない
そして、ある日、婚約者のある言葉を聞き、私はつい言ってしまうのだった
全五話
※ホラー無し
【完結】婚約者の好みにはなれなかったので身を引きます〜私の周囲がそれを許さないようです〜
葉桜鹿乃
恋愛
第二王子のアンドリュー・メルト殿下の婚約者であるリーン・ネルコム侯爵令嬢は、3年間の期間を己に課して努力した。
しかし、アンドリュー殿下の浮気性は直らない。これは、もうだめだ。結婚してもお互い幸せになれない。
婚約破棄を申し入れたところ、「やっとか」という言葉と共にアンドリュー殿下はニヤリと笑った。私からの婚約破棄の申し入れを待っていたらしい。そうすれば、申し入れた方が慰謝料を支払わなければならないからだ。
この先の人生をこの男に捧げるくらいなら安いものだと思ったが、果たしてそれは、周囲が許すはずもなく……?
調子に乗りすぎた婚約者は、どうやら私の周囲には嫌われていたようです。皆さまお手柔らかにお願いします……ね……?
※幾つか同じ感想を頂いていますが、リーンは『話を聞いてすら貰えないので』努力したのであって、リーンが無理に進言をして彼女に手をあげたら(リーンは自分に自信はなくとも実家に力があるのを知っているので)アンドリュー殿下が一発で廃嫡ルートとなります。リーンはそれは避けるべきだと向き合う為に3年間頑張っています。リーンなりの忠誠心ですので、その点ご理解の程よろしくお願いします。
※HOT1位ありがとうございます!(01/10 21:00)
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも別名義で掲載予定です。
断罪された公爵令嬢に手を差し伸べたのは、私の婚約者でした
カレイ
恋愛
子爵令嬢に陥れられ第二王子から婚約破棄を告げられたアンジェリカ公爵令嬢。第二王子が断罪しようとするも、証拠を突きつけて見事彼女の冤罪を晴らす男が現れた。男は公爵令嬢に跪き……
「この機会絶対に逃しません。ずっと前から貴方をお慕いしていましたんです。私と婚約して下さい!」
ええっ!あなた私の婚約者ですよね!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる