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ここにも孤児が

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わたしが舞台用に考えたのは自分がぬいぐるみになる服だ。杖はもちろん人参だ。

演技の時間は一座にいた頃に比べたら、短い。食事をする場所なので、花びらをくるくる回すのではなく、

各テーブルに、青い薔薇を届けるようにした。わたしが渡したり、うさぎが渡したり持って帰った薔薇が長持ちするのも評判になったが、決して花屋ではなく、食事に来た人だけが手に入れられると言うのがまた人気を博した。

そして、時間はたくさんあるので、街を歩いていたら孤児院があった。

なんで目に入ったんだと思ったが、わたしはなかに入った。なかにいるのは薄汚れているが、元気な子供たちだ。

院長先生に話を聞いて、わたしは子供たちに勉強を教える手伝いに来ることにした。

魔石屋の稼ぎを当てればなんとかなるだろう。


マールの時は予算の関係で木の板を使ったが、今回は紙を使える。

身近な言葉を紙に書いて、教材の準備をした。書きながら思う、前世と同じ様な事をやってるなって。ただ、今はあの子達が幸せを掴む手伝いをしたいと思ってやっている。自由になってやりたい事が似たような事だなって・・・

お金もわたしが自分で稼いだものだ。自由に好きにできる。

子供たちはどんどん吸収して行く。魔力のある子もいたが、残念ながら魔力量が少ない。だけどせっかく魔力があるのだから、なにかに使えないかと毎日魔石を触らせている。

魔力が補充されると魔石の色が変わることを利用して、赤い魔石はここ。青い魔石はここ。と分けて箱に収めさせてみた。

きちんと記録を取ってみるとだんだん、予想があがっていた。これがなにを意味するのかまだわからない。軽々にこうだろうと結論を出して、行く道を決めることもしたくない。だけど、おもしろい。


今日は、子供たちをつれて本屋にやって来た。好きな本を選ばせてみたい。

見ていると自分の好きな一冊と年下の子供が喜びそうな一冊を選んでいる。好きな二冊って言ったのにみんな思いやりのあるいい子達だ。

それから子供たちはいい匂いの屋台にも、行列のあるお菓子屋さんには目も呉れず孤児院に戻った。

留守をしていた子供たちは歓声をあげて、出迎えた。


大きい子供は小さい子供に本を読み始めた。院長先生も予想しなかった光景らしく、潤んだ目でお礼を言われた。


わたしと院長先生は台所へ引っ込むとお茶を飲んだ。


孤児院をでて、ゆっくり歩きながら考えた。字を読めるようになり、計算ができるようになれば子供たちはそれなりの仕事ができるようになるだろう。

わたしはそこまでの役割だ。別の孤児院に手を差し伸べればいいのだろうか?

宿舎のまえに来るとテオが待っていた。

「僕の知り合いが田舎から来るんだ。ちょっとおしゃれを教えてあげて」

「なに言ってるんですか?ただの平民、貧乏育ちの平民ですよ」と答えると

「そうだってね。それなら買い物に付き合うだけで、なんせ彼女、面倒で・・・いや、人見知りで」

面倒って言ったよね。

「いえ、わたしは買い物は苦手で・・・」

「頼むよ、人見知りでさ・・・誰かと話す練習をしたほうがいいんだ。特別手当を出すから」

「いいですよ。いつですか?」

「明日なんだ。もうこっちに来ててね。疲れているみたいだから今日はお休み。明日ね」

「わかりました」

「それじゃ、迎えに来るから」とテオは帰って行った。

心配しても仕方ない。わたしは明日に備えて早めにベッドに入った。



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