今世は好きにできるんだ

朝山みどり

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旅の一日

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急な命令でここにやって来た。途中で行き倒れていた母娘と拾った。一人が呼び出されて帰国したせいで、食事の支度が出来るものがいなくなったので、出来るならばと拾ったのだが、これはいい判断だった。

広場で毎日、芸を披露していると本当に令嬢が声をかけて来た。あまりに予想通りで驚いた。彼女の方も約束通りにやって来たし、技術があがっていた。

そして、出発直前の面会も彼女があっさり退けた。立ち回りかと緊張していたのだが・・・・


あの母娘とうまく行きそうな彼女を見て、なるほどと思ったが、俺の仕事は予定通りに一座を率いて予定通りに旅をする事だ。

これからの計画は俺の知らない所で遂行されるだろう。俺は座長としてみなの命を守ればいいのだ。


◇◇◇◇

今日は野営だそうだ。開けた所に馬車が何台か止まっている。街との間隔が広い所にはこういった場所があるらしい。この地の領主が管理しているそうだ。

ちょっとした食べ物を売っている屋台もある。デメテルはさっそく夕食の支度を始めた。

じゃがいもの皮むきを手伝おうとしたが、止められた。簡単そうに見えて難しい。これって風でナイフを作れば行けるのではと思ったが、試して誰かが怪我しても大変なので、水を用意した。

水のかたまりを容器に入れていると、団長が驚いていた。

マールが上手に皮を剥きながら、褒めてくれた。そして薪をみて思いついた。

「団長さん。木の板ってありますか?」

「あるよ。薪にするまえの物でいいなら」と言うので、荷馬車に確かめに行った。

ひとつ貰って風のナイフで薄く切った。それにナイフで、じゃがいも、薪、包丁、マール、デメテル、馬車、馬と書いた。

それをマールに見せて、

「今、マールは包丁でじゃがいもを切ってる」と単語を指差しながら、見せた。

「アリス!アリス!ありがとう」それをそばに置いてじゃがいもと言いながら皮を剥いていた。


皮むきが終わると

「出来上がるまで体を拭いておいで」とデメテルに言われてわたしたちは馬車に戻った。


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