今世は好きにできるんだ

朝山みどり

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大道芸一座

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翌日は学院の制服を着て公爵家の裏口からでると、学院に行った。御一行に伝わる事前提で、

「公爵家でいろいろ勉強しているから休む」と届け出た。


それから、バード家でもらった侍女の制服で町を歩いていると大道芸の一座が広場にいた。

剣舞や踊りをやっていた。これだと閃いたわたしはお金を帽子に入れると、近くのお菓子屋で焼き菓子を買うと、一座を訪ねた。



焼き菓子を差し入れて話をしたいと言うと

「わけありかい」と聞かれて

「はい、この国を出たい」と答えた。

「犯罪者は困るよ」

「家出です。ひとりはあぶないと思って」

「なるほど・・・・なにか芸はできるかい?」と聞かれて

カバンから枝をだして花びらに近い楕円を枝の先からどんどん出した。だした楕円は下に落ずに上にくるくる、下にくるくると舞った。

「うーーん、それだけだと寂しいけど、やってるうちに工夫が出て来るだろう。連れて行ってやるよ。言っとくけど給金は安いよ」

「大丈夫です」

「明後日出発する。これくらいの時間においで」

「よろしくです。アリスです」

「アリス。待ってるよ」



よかった。話が早い。これでこの国を出られる。平民は楽でいい。


さて、公爵家に戻って来たが、王宮の侍女のマッサージが恋しい。アリスとして不自由な暮らしに慣れていたのに、人はすぐに堕落するって事。

これ以上堕落するのは良くない。わたしは見世物としての魔法。見て楽しいのはなんだろうと考えた。

杖から出す花びらの色を変えて行くのはどうだろう。おぉ出来た。花の色を変えられるんだもの。色はわたしの得意分野って事かな?

それなら、衣装の色も。これは難しい。衣装に集中すれば花びらがお留守になるし・・・練習よ。


がんばって練習していたら、昼食が運ばれてきた。学院のお昼より少ないけど美味しい。

食べ終わった頃スージーが片付けに来たので、ついて行く。厨房の様子を見て軽く頭を下げた。

それから図書館に行ったが、大道芸についての本はなかった。

仕方ないので、部屋に戻って花びらの芸の練習をしたが、花びらの芸なんて実用的な命名だ。

花びらを出しながら、なんて名前にするか・・・・・ぼーっと考えた。

『花びらの噴水』『終わりなき夢』『永遠と無限』うーーん。わかりやすいのが一番よね。子供も見るし、最初ので行こうか。


ふっと窓を見るとわたしが写っている?あわてて浴室の鏡を見に行った。

服の色と髪の色が変になってる。まだらになっている。これがんばれば髪の色も変えられる?うーーんそれはこれからの課題。今は『花びらの噴水』ときちんとやれるようにしないとね。確実。これ大事。


今日もちゃんとお茶の時間にバタートーストが来た。いつか儲けてバターをどっぺりと塗って食べるんだ。




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